Satya(1998)#252
「Satya」サティヤ 01.04.20 ★★★
製作・監督:ラーム・ゴパール・ヴァルマー/脚本:アヌラーグ・カシャップ、ソォーラブ・シュクラー/音楽:ヴィシャール・バルドワージ/詞:グルザール/背景音楽:サンデープ・チョウタ/編集:アプルワ・アスラーニー、バヌー・ダーヤー/録音賞H・シュリダール
出演:J・D・チャクラワルティー、ウルミラー・マートンドカル、マノージ・バージパイ、パレーシュ・ラーワル 、ソォーラブ・シュクラー、ニーラージ・ヴォーラ、シェファリー・シェッティー
公開日:1998年7月3日 (年間トップ7ヒット!)/1999年東京国際映画祭上映
Filmfare Awards:背景音楽賞、編集賞、録音賞
Screen Awards:助演男優賞(マノージ・バージパイ)、助演女優賞(シェファリー・シェッティー)、脚本賞
STORY
大都会ムンバイーにやって来たサッティア(チャクラワルティー)は不祥事から服役し、獄中でギャングスター、ビクー(マノージ)の兄弟分となる。出所後、対立するギャングとの抗争も激化。警察のギャング一掃作戦に追いつめられたサッティアは、正体を知った恋人のヴィディア(ウルミラー)からも拒絶され…。
Revie-U
1999年東京国際映画祭シネマプリズム部門で上映。インド版「スカーフェイス」とのふれこみであったが、コケインに溺れた自暴自棄なギャング像とは一線を画する、市井の人間としての末路が描かれている。
ボリウッド・ニューウェーヴの旗手ラーム・ゴーパル・ヴァルマー(RGV)ながら、切れはイマイチ。テルグ映画界出身のJ・D・チャクラワルティーが平凡なためか?
注目は、ビクー役のマノージ・バージパイ。この後、RGVがプロデュースした「Shool(槍)」(1999)で熱血警官の主役にフィーチャルされ、今最もホットな俳優とされる。ウルミラー・マートンドカルはローワー・ミドルクラス出身の歌手役ながら、ステージやレコーディングで歌うシーンはなし。
サッティアからの脅しを受けて彼女を採用する音楽監督役に「Mann(想い)」(1999)、「Jung(闘い)」(2000)のニーラ-ジ・ヴォーラ。ギャング一掃を公約する新任警察署長に、やはりテルグ語映画界のメガスター、チランジーヴィをボリウッドに招いた「The
Gentleman」(1994)でも鬼警部役を演じていたパレーシュ・ラーワル。脚本も兼ねる「女盗賊プーラン」Bandit Queen(1994)のソォーラブ・シュクラーなど姿を見られるのも愉しい。
もともと映画マニアのRGVだけに、ビクーが逮捕されるシーンにシャー・ルク・カーン&マードゥリー・ディクシト主演「Dil To Pagal Hai(心狂おしく)」(1997)のフィルミーソング「dholna」が流れ、サッティアが警官に包囲される映画館のシーンでは「デザート・フォース」Border(1997)が上映、インタルミッション(休憩)や戦場ミュージカルなどが見れる。ビクーが指示した映画人暗殺のエピソードは、1997年に起こったプロデューサー、グルシャーン・クマールがボリウッドのマフィアによって殺害された事件を彷彿とさせる。が、本作の提供である出資者バーラト・シャーもアンダーワールド疑惑で逮捕。RGVは現在製作中の新作もシャーの出資のため、頭を抱えているようだ。
*追記 2011,05,05
主演のJ・D・チャクラワルティーは、監督・主演作「Durga」(2002)で再びボリウッドに乗り込もうとするが玉砕。ブラック・コメディー「Darwaza Baandh Rakho(ドアを閉めとけ)」(2006)などの監督を手がける。
むしろ本作で脚光を浴びたのが、ビクー役のマノージ・バージパイ。特別出演「Fiza」(2000)でのフィーチャルぶりからして、当時、かなりのインパクトを与えた。しかし、ミュージカル・ナンバルも用意されたマサーラー・ラブコメ「Dil Pe Mat Le Yaar!!」(2000)で道化芝居に向かないことを露呈。役柄が狭さから、見せ場のない敵役の「Veer Zaara(ヴィールとザーラー)」(2004)などメジャー作品では急速にサブリード化を歩む。
それでもパーガル(抜作)役に挑戦した主演作「Hanan」(2005)でのダクー(盗賊)場面など魅せるものがある。
梁山泊的作品でもあり、カッルー伯父役ソォーラブ・シュクラーは「Raat Gayi,Baat Gayi?」(2009)などニューストリームの小粒映画を、音楽監督役ニーラージ・ヴォーラも「Khiladi 420(偽闘士)」(2000)など台詞/脚本の他、監督作をそれぞれ5作輩出し続け、音楽のヴィシャール・バルドワージも「7 Khoon Maaf(7人殺しを許して)」(2011)など意欲的な作品を監督、脚本に参加しているアヌラーグ・カシャップは「Dev.D」(2009)などニューストリームの旗手として脚光を浴びる存在となっている。