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Jung(2000)#246

2011.04.19
オススメ度 =陳腐 ★★=退屈 ★★★=平均点 ★★★★=面白い! ★★★★★=お気に入り!!

JungJung(闘い)★★★★ 01.03.20UP/01.12.03 Re
ジャング

製作:サティーシュ・タンダン/監督:サンジャイ・グプタ/脚本:アヌラーグ・カシャップ、アビナーウ・カシャップ/撮影:サミール・アールヤー/音楽:アヌー・マリック/詞:サミール、デーヴ・コーフリー/背景音楽:バッピー・ラーヒリー/振付:ガネーシュ/アクション:ビクー・ヴェルマー/美術:ニティン・デーサーイー

出演:サンジャイ・ダット、ジャッキー・シュロフ、ラヴィーナー・タンダン、シルパー・シェッティー、ニーラージ・ヴォーラ、アディティヤ・パンチョリー、ソォーラブ・シュクラー、ナヴィン・ニスチョール

公開日:2000年5月12日(日本未公開)

STORY
ある日、敏腕警視ヴィル(ジャッキー)の息子が癌だと発覚。輸血が適合するのは、彼が逮捕した獄中の極悪ギャングスター、バリー(サンジャイ)だった。だが、手術を目前にバリーは逃亡してしまう・・・。

Revie-U
かつて大量の銃器不法所持で獄中生活を送り、奇跡の復活を果たした野獣派サンジャイ・ダット。迎え撃つは、ボリウッド屈指の渋さを誇るジャッキー・シュロフ。まるで「ヒート」(1995=米)を思わせる2大スターの対峙だ。

このふたりは前年、「ニキータ」(1994=仏)の翻案Kartoos(弾頭)(1999)でも警官と囚人というキャラクターで登場している。

鬼気迫るサンジャイの怪演は、まさに復讐そのもの。「Kartoos」よりパワーアップし、全身を鎖でつながれた囚人姿は「ザ・ロック」(1996=米)のショーン・コネリーを超えフランケンシュタインの怪物!  ヒットこそしなかったが、サンジャイのふてぶてしさは是非とも代表作の1本としてカウントしたい。

ちなみに役名のバリーは、ヒンドゥー神話で、インドラを打ち負かし神々を三界から追放したもののヴィシュヌの化身に打ち負かされ冥界の王となったダイトヤ・バーリに由来すると思われる。

一方、ジャッキーは掴みのアクション以降、息子の看病で病院に付きっ切りとなるため、真の敵役は悪徳刑事カーンに扮するアディティヤ・パンチョリーとなる。Yes Bossイエス・ボス(1997)では色白の優男であったが、本作では口髭をたくわえ精悍な敵役ぶりを見せる。サンジャイとの死闘はBaaghi(反逆者)(2000)でも見られたが、本作では「ザ・ドライバー」(1978=米)&「レザボア・ドッグス」(1991=米)と見応えたっぷり!!

ダブル・ヒロインは、ヴィルの妻ネイナー役ラヴィーナー・タンダンとバリイの情婦ターラー役のシルパー・シェッティーShool(槍)(1999)の印象を拭い去れないラヴィーナーを霞ませるシルパーの輝きに目が行ってしまう!
バラタナティアムをマスターしたシルパーは現在、ダンサー役としてトップ・クラスの女優と言えよう。

シャバへ出て水を得た魚のサンジャイ&シルパー組に対し、ジャッキー&ラヴィーナ組はストーリーが停滞しがちなのが難点。このへんは脚本及び演出の不具合であろう。もっとも、「ミッドナイト・エクスプレス」(1980=米)を思わせる、2大スターに氣を使ったエンディングにはニンマリしてしまう。

近年、ボリウッドのアクション度はますますエスカレートし、大量の火薬を使ったガンエフェクトは往年の香港ノワールを彷彿させ、マサーラー・ノワールと言うべき域に達している。クライマックスは、サンジャイ自らステアリングを握る壮絶なカー・スタント(スピンターンなどお手の物)が展開! まあ、サンジャイは野獣だからいいとして、激突するスタント・カーに同乗していなければならないシルパーとコメディアンのニーラージ・ヴォーラは完全に真っ青である。

ヒットメーカーのアヌー・マリックを起用しながら、ダンス・シーンも別立てのアーティストが登場するミュージック・クリップに終わっているのが残念。復活したサンジャイのスケジュール調整がつかなかったためか? 東京ロマンチカばりのムード演歌mere
bina tum
もよろしい。

なお、撮影はハイダラーバードのラモジ・フィルム・シティが多用され、空港オープン・セットが病院の外観シーンに、多彩な公園セットがヴィル一家の家族ミュージカル・シーンに使われている。

サポーティングには、ヴィルの上司役にラジュー出世するRaju Ban Gaya Gentleman(1992)、Hindustan
Ki Kasam
(インドの誓い)
(1999)のナヴィン・ニスチョール。バリイの弟分ラーッチャー役に、ニーラージ・ヴォーラ。アンダーグラウンドのボス、ムサ役にソォーラブ・シュクラー。ヴィルの息子の主治医役にサチン・ケダーカルが配されている。

*追記 2011,04,19
下敷きは、マイケル・キートン×アンディ・ガルシア「絶対×絶命」(1998)。シルパーが悩ましく踊るダンス・ナンバルaaila reの撮影中、日本のテレビ・クルーに連れてゆかれた某監督が取材に行ったものの、サンジャイと監督のサンジャイ・グプタには相手にされず。

また、脚本は今をときめくニューストリームの旗手アヌラーグ・カシャップDev.DUdaan)、Dabangg(大胆不敵)」(2009)の監督アビナーヴ・カシャップ兄弟によるもの。

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