Kyo Kii…Main Jhuth Nahin Bolta(2001)#242
Kyo Kii…Main Jhuth Nahin Bolta
(なぜなら…私はウソは申しません!) 01.12.14 ★★★
キョー・キー…メェ・ジューター・ナヒーン・ボルター
提供:ジーテンドル/原案・監督・編集:デーヴィッド・ダワン/製作:ショーバナー・カプール、エクター・カプール/脚本:ユーナス・サージャワール、イムティアズ・パテール/撮影:K・S・プラカーシュ・ラーオ/美術:R・ヴェルマン/詞:デーヴ・コーへリー、プラティク・ジョセフ/音楽:アナン(=アーナンド)・ラージ・アナン/振付:ガネーシュ・アチャルヤー、B・H・T・K
出演:ゴーヴィンダ、スシュミター・セーン、アヌパム・ケール、サティーシュ・コゥーシク、シャラード・カプール、ランバー、キラン・クマール、モーニシュ・ベーへル、アーシーシュ・ヴィダヤールティー、ラザック・カーン、グッディー・マールティー
公開日:2001年9月21日(日本未公開)
STORY
最高裁弁護士として一旗揚げるべく、田舎から大都会ムンバイーへやって来たラージ(ゴーヴィンダ)。町で見かけた美女ソーナー(スシュミター)に一目惚れ、おまけに彼女は有能弁護士テージパル(アヌパム)の娘でもあった。トントン拍子で彼女と結婚。ラージは、願ってやまなかった大金持ちになるはずであった。しかし、ソーナーが持参金持たずに嫁いできたことからラージの中で何かがガラガラと崩れ…。
Revie-U
デーヴィッド・ダワンとゴーヴィンダの名コンビ第17作目! デーヴィッドは本年前半に、サンジャイ・ダット&ゴーヴィンダで「Jodi No.1(相棒No.1)」(2001)をリリースしているから、半年に1本と言うハイペース。現在ボリウッドでも最も売れている監督であろう。
本作のゴーヴィンダは、新進の弁護士が役どころ。と言っても、最高裁の前に露店(!!)で営業する弁護士だ。法衣の黒マントを着た姿は、「Raja
Babu(ラージャー坊ちゃん)」(1994)のコスプレ写真を思い出させる。
彼が尊敬してやまない敏腕弁護士がテージパル。扮するはアヌパム・ケールで、登場場面の法廷シーンでは見事な弁護に大喝采を浴びる。ここで名優ぶりをさらりと見せ、以後は例によってのコミカル親父に徹する余裕がまたニクイ。
さて、ゴーヴィンダの初仕事である。早口が売りの彼であるから、さぞ名弁護士ぶりを見せるかと思えば、なんとアガッてしまい言葉が出ないと逆手を突く。
この裁判は、彼が一目惚れしたテージパルの娘ソーナーの依頼だけに、勝訴してもわずかな報酬しか受け取らず清廉な印象を与える。
ヒロイン、ソーナー役は元ミス・ユニヴァース1994のスシュミター・セーン。さすがにアイシュワリヤー・ラーイと甲乙つけ難いゴージャスさを持っていて、アメリカ・ロケのミュージカル・ナンバルにも観入ってしまう。もっともコメディエンヌとしてはまだまだ磨かれるべきであろう。
ソーナーと結婚して玉の輿に乗るつもりでいたラージは当てが外れ、扱っていた殺人事件の裁判からアンダーワールドに深入りしてゆく。
ボスのカーラー役にアーシーシュ・ヴィダヤールティー、その仲介者クラナールにキラン・クマール、そして手下にラザック・カーンがキャスティングされている。
アーシーシュはあっさりとした程度だが、ラザックの出番が意外に多い。苦節ン十年の彼もようやく花開いたかのような近年の売れっ子ぶりである。その芝居も不敵なチンピラをコミカルギリギリのところで演じて冴えたところを見せる。
インタルミッション(休憩)を挟んで舞台は7年後。豪邸に住み、自力でサクセスしてみせたラージは、愛妻と子供たちに囲まれ幸福な毎日にあるように見える。ところが、彼はアンダーワールドと関わった7年前から浮氣に走っていたことが発覚(もちろん彼が財を成したのもアンダーワールドの弁護を引き受けたことによる)。その相手のターラと言うのが、なんとランバーなのだ!
「アルナーチャラム」Arunachalam(1997=タミル)に比べると幾分スリムになったとは言え、それでも現代ボリウッド女優の水準からすると依然超弩級のランバー。本作の出演によりボリウッド映画雑誌数冊でもグラビアが組まれていたが、正直なところ、ミス・ユニヴァースのスシュミターを新妻ソーナーにキャスティングしていながら、7年間も関係が続く愛人役にランバーとは…。
こんな父母の不和を嘆いた息子の祈りが通じて、ラージは本心を隠しておけない毒舌となってしまう。つまり本作は「ライアー・ライアー」(1996=米)の翻案でもあるのだが、どちらかと言うと、田舎から出て来た純朴な青年が大都会で欲望に目覚め結局は得たものを失う「Shree 420(詐欺師)」(1955)の系譜に連なる。もちろん、デーヴィッド・ダワンなので作品に深いテーマなどなく、とにかく笑ってもらえればよい、というスタイルだ。
その他のサポーティングはと言うと、「Josh(激情)」(2000)のシャラード・カプールがテージパルの婿アダラーシュ役で第3幕の敵役となるやり手弁護士を好演。
そして、カーラーらの殺しの現場を撮影し狙われるビデオジャーナリスト、ラージュー役にモーニシュ・ベーヘル。成功したラージの家政婦にグッディー・マールティーの顔ぶれが見える。
また、田舎から出て来たラージを面倒見る万年露店弁護士モーハンに、サティーシュ・コゥーシクが扮している。彼は古株のコメディアン兼監督で、本年前半にもトゥシャール&カリーナー・カプール主演「Mujhe Kuch Kehna Hai(私に何か言わせて)」(2001)をリリースし、スマッシュヒットを飛ばしていた。
プロデューサーのエクター・カプールは、提供者ジーテンドルの愛娘。つまり、トゥシャールと兄妹。2000〜2001年デビューの新人女優と言っても通じる美形(?)なので、自分がデビューしたいと言い出してもおかしくないくらい。
まだ若い彼女がプロデューサーにクレディットされているのは単なる家族主義かと思いきや、実は彼女はバルラージ・テレフィルムの敏腕プロデューサーとしてTV番組の数々を制作、ついこの方、男性エグゼクティヴの数々を押しのけて「Society」誌によるSOCIETY ACHIEVERS AWARDS ビジネス部門を受賞したばかりの才女にしてテリウッド(インドTV業界)の成功者なのである。
興行的には、ムンバイーの第1週59%とゴーヴィンダ主演作では低めの入り(ランバーのせい?)。「Jodi No.1」に比べると6割減の興業に終わった。
*追記 2011,04,07
製作者のエクター・カプールは、TVシリアル「Kyunki…Saas Bhi Bahu Thi…(なぜなら…姑も嫁だった…)」シリーズが大当たり(ケートキー・ダーヴェーも出演)。その成功に乗って大作映画も手がけ、サンジャイ・ダット主演「Shootout at Lokhandwala」(2007)、ヴィヴェーク・オベローイ主演「Mission Istaanbul」(2008)、ニューストリーム「LSD(愛とセックスと裏切り)」(2010)なども放ち、今後のボリウッドを語る上で目が離せない存在となりつつある。