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Mumbai Meri Jaan(2008)#228-6

2011.03.21
オススメ度 =陳腐 ★★=退屈 ★★★=平均点 ★★★★=面白い! ★★★★★=お気に入り!!

Mumbai Meri JaanMumbai Meri Jaan
(ムンバイー、我が命)
★★★★☆
ムンバイー・メーリー・ジャーン

製作:ロニー・スクリューワーラー/監督:ニシカント・カマト/原案・脚本・台詞・作詞:ヨーゲーシュ・ヴィナヤク・ジョーシー/脚本:ウペンドラ・シダーイー/撮影監督:サンジャイ・S・ジャダーヴ/音楽・背景音楽:サミール・パテルペーカル/プロダクション・デザイン:マヘーシュ・サルガオンカル、ダナンジャイ・モーンダル、パリマール・ダース・ポーッダル/衣装:サチン・ローヴァレーカル/VFX:Tata Elxsi/音響設計:サンジャイ・マゥーリヤー、アルウィン・レーゴー/アクション:ジャーヴェード-アエージャズ/編集:アミット・パワル

出演:パレーシュ・ラーワル、K・K・メノン、イルファーン、R・マダヴァン、ソーハー・アリー・カーン、ヴィジャイ・マゥールヤー、サクシャーム・ダイマー、スミター・ジャイカル、ディヴヤー・ジャグダレー、シュリーヴァラブ・ヴヤス

公開日:2008年8月22日(日本未公開)/135分
Filmfare Awards:脚本賞、編集賞、批評家選作品賞
Screen Awards:音響設計賞
リヨン新世代映画祭:作品賞

*不安を煽る文面はありませんが、氣分が優れない場合はページを閉じて様子を見てください。

STORY
2006年7月11日18時24分~35分、帰宅時間で混み合ったムンバイー郊外線。行き交う7つの列車で連続爆破テロが次々と発生。乗り合わせた、あるいは爆破現場に遭遇した登場人物たちは事件のショックから心が激しく揺さぶられ、壊れつつも、やがて街に暮らす人々との関わりから再生してゆく…。

Revie-U
トゥカラーム・パティールは勤続35年、映画によく登場する悪徳警官ではないが、賄賂は拒まないごく普通の平警官。定年退職目前に、連続爆破テロが発生。波風を避けて来たかに思える長い人生の区切りにひと波乱起きる。

演ずるパレーシュ・ラーワルは、Naam(名前)」(1986)などの敵役から身を起こし、「Sir」(1993)でFilmfare Awards 敵役賞を受賞。
テルグ映画のメガ・スター(スーパースターでなく)チランジーヴィーがボリウッド進出を画策したジュヒー・チャーウラー共演「The Gentleman」(1994)で熱血警官にシフト、「Tamanna(希望)」(1998)で孤児を育てるヒジュラー役を熱演するもG.air(除け者)」(1999)の邪(よこしま)な縁戚などのポジションに甘んじていたが、Filmfare Awards 道化役賞受賞「Heta Pheri(イカサマ)」(2000)からメインリードに昇格。ゼロ年代は破竹の勢いで出演作が続く、ボリウッドを代表する名優となった。

Mumbai Meri Jaan

(c)UTV Motion Pictures, 2008.

このトゥカラームに絡むのが、相棒の若手警官スニール・カダム
扮するは、Tees Maar Khan(勇ましき大法螺野郎)」(2010)でアクシャイ・クマールの取り巻き役ヴィジャイ・マゥールヤーSatya」サティヤ(1998)の小さな役でキャリアをスタートし、マイナー街道を歩む。ナゲーシュ・ククヌール監督がDor」運命の糸(2006)に続いて手がけた「Bombay to Bangkok」(2008)でラッパー志望のギャングを好演。Rang De Basanti(浅黄色に染めよ)」(2006)のシッダールタが単独主演でヒンディー映画進出した「Striker」(2010)やWhat’s Your Raashee?(君の星座は何?)」(2009)のアーシュトーシュ・ゴーワリカル監督による新作「Khelein Hum Jee Jaan Sey(俺たちは闘いに命を賭ける)」(2010)などの台詞も担当。

彼らの登場場面でTV報道されているのが、2005年4月にマリン・ドライヴで少女をレープし逃亡したムンバイー警察の巡査スニール・モーレー事件
列車爆破テロを切り口にムンバイーを描くにあたって、定年を迎える老警官と若手警官を用意し、これに「スニール」の名を与えているのが脚本の妙。
本作のサブリード(準主役)であるスニールは正義感に篤く、モーレー事件の報道から警官の低いモラルについて同僚警官の前で一席ぶつ。

Mumbai Meri Jaan

(c)UTV Motion Pictures, 2008.

その夕、爆破テロが発生。ボリウッド映画でしばしばロケーションが為されるヒル・ステーション(避暑地)のマーハーバレーシュワルにハネムーンへ行くはずだったスニールは、休暇がキャンセルとなって夜警に駆り出される。
と言っても、馴れ合いのトゥカラームのこと。違法営業のバーから賄賂を得るなど、対テロ捜査などどこ吹く風。苛つくスニールの目の前で、酔ったスレーシュに突き飛ばされて腰を抜かす始末。スニールは、道端で安酒を売っていたトーマスに当たるも怒りは収まらない。

さらに路肩に駐めたクルマの中でドラッグを吸引していた若者を捕まえれば、<配慮>した上司が逆にスニールを追い払い、「職を失いたいのか?」と問い詰めるほど。

雨の中で立ち尽くすスニールに「こんなのは何でもない」と、トゥカラームは正義に燃えていた昔話を言い聞かせる。ある日、大物の麻薬密輸犯を捕まえたが、上司は「これはコカインじゃない。砂糖だ」と釈放してしまったという。慰めるつもりが、若いスニールは反発し、ふたりの溝は増すばかり。
持ち前の正義感からかえって、平警官では変えられぬ現実に苛立ち、トゥカラームのように賄賂を小遣い稼ぎに退職まで35年も自分を騙し続けるのか、と極度に悩んだスニールは、遂にトゥカラームの送別会でトイレに籠もって自殺未遂を起こす。

Mumbai Meri Jaan

(c)UTV Motion Pictures, 2008.

そのトゥカラーム、さすがに年の功がある。酔って街を歩く自警団氣取りのスレーシュを遠回しに諭しては家に帰し、翌朝、スレーシュは自分の過ちに氣づく。
これまでの35年間も、街の最前線に立って来たトゥカラームは一見、大捕物とは縁がなかったが、ごく平凡な、小さな人生で起きる過ちを波風立てることなく、それなりに正道へ戻して来たことだろう。
退職の席でトゥカラームは誓う。「また生まれ変わったら、もう一度、警官になるだろう。そして、正義に身を捧げたい」と。
その言葉がスニールに重くのしかかっていた心の澱(おり)を溶かし、これから迎える彼の半生の中でトゥカラームの来世が正しい道を歩むことだろう。

 

災害被害に遭われ亡くなられた方々に謹んでお悔やみを、現在も災害被害に困窮している方々へ心から声援を、また、いち早く平穏が戻りますようお祈り申し上げます。

1:イントロダクション
2:列車に乗るも間一髪助かったニキル(R・マダヴァン)
3:自警化する失業中のスレーシュ(K・K・メノン)
4:経済成長から取り残された下流層のトーマス(イルファン・カーン)
5:テロで婚約者を失ったTVリポーターのルパリ(ソーハー・アリー・カーン)
6:退職間近の平警官トゥカラーム(パレーシュ・ラーワル)
7:バックグラウンド

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