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…Aur Pyar Ho Gaya(1997)#224

2011.03.10
オススメ度 =陳腐 ★★=退屈 ★★★=平均点 ★★★★=面白い! ★★★★★=お気に入り!!
...Aur Pyar Ho Gaya

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「…Aur Pyar Ho Gaya(そして愛し始めた)」
★★★☆
…アォル・ピャール・ホー・ガヤー

製作:ソハイル・マクラーイ/監督:ラーフル・ラーワイル/脚本:ホーニー・イラーニー/原案・台詞:ルミ・ジェファリー/撮影:マンモーハン・スィン/作詞:ジャーヴェード・アクタル/音楽:ヌスラット・ファテー・アリー・ハーン/音楽アレンジ&背景音楽:アマル・ハルディプル/振付:サロージ・カーン、ファラー・カーン、ガネーシュ・アチャルヤー/アクション:ラヴィ・デーワン/美術:スニール・スィン/CG:EFX/アイシュのメイク・ヘアスタイル・衣装:ミッキー・コントラクター/編集:ムクンド・チョウドリー

出演:ボビー・デーオール、アイシュワリヤー・ラーイ(新人)、シャンミー・カプール、アヌパム・ケール、シャンミー、ビーナー、プリヤー・テンドゥルカル、ジャミー・ジャフェリー、ラヴィ・マルホートラ、ダルシャン・サンデェール、アショーク・ラート、プリティー・チャーウラー、ディンプル・イナムダル、アンキーター・ゴーサリア、マーヤー・モーレー、スチットラー・グプタ、
ゲスト出演:アヴタール・ギル、アーシフ・シェイク
カメオ出演:サニー・デーオール

公開日:1997年8月15日(年間22位/日本未公開)153分
Screen Awards:新人女優賞(アイシュワリヤー・ラーイ)
海外ロケ:シンガポール、スウィス

STORY
祖父(シャンミー・カプール)父親(アヌパム)公認で見合いのためにスイスに出向いたアーシー(アイシュ)は、やたらと出会うボビー(ボビー)が見合い相手と知り、恋に落ちる。が、その実、ボビーの母親ガヤトリー(ビーナー)がアーシュの父親にビジネス上の罠をかけ…。

Revie-U
世界の至宝アイシュワリヤー・ラーイ・バッチャンのヒンディー・デビュー作。ボビー・デーオールとの相性もそう悪くない(例によってアイシュと出会って見蕩れるプードル顔がたまらない!)。
しかし、年間22位と振るわぬ成績に終わっている。ボビーも3作目ながら、カジョールマニーシャー・コイララとの共演作Gupt(秘密)」(1997)がひと月前に公開され、そちらがトップ3に食い込んでいるため、映画がつまらなかったか、よほどアイシュが人氣なかったか、のどちらかだろう(苦笑)。

デビュー当初のアイシュワリヤーは踊りも芝居もなっていないと酷評されていた、などと伝聞されるが、イントロデュースに相応しく歌姫アーシャー・ボースレーのプレイバックが奢られた、彼女の登場群舞ナンバルthodasa pagla(ちょっとイカれた女の子)」で見せる彼女の舞いは、一朝一夕に出来る技ではないのが一目瞭然。ボリウッド・トップスターとなるべき天性と素養が備わっていることが見て取れ、単なるミス・コン上がりの女優とは一線を画し、先の批評はまったくの見当外れであることが判る。

なにしろ、銀糸で仕立てられた藤色なチョーリーガーグラーは上品ではあるがバックダンサーに比べて地味な印象。それでいて、その巧みな古典舞踊から観る者の目を釘付けにして放さない。そのまま同年トップ2Dil To Pagal Hai(心狂おしく)」(1997)に乱入してマードゥリー・ディクシトと対峙できるほど。
コリオグラファー(振付師)のサロージ・カーンもさぞ、振付のしがいのある女神の降臨に胸が躍ったことだろう。彼女の顔を見せるようでなかなか見せないじらしぶりが佳い。

前半がスウィスの見合い旅行、後半が結婚に向けてのすったもんだ、とDDLJ(1995)とDulhan Hum Le Jayenge(花嫁は僕が連れてゆく)」(2000)の間を埋める立ち位置。ヒロインがガイジンにからまれたり、酒を飲んで酔っぱらったりというのも「Dulhan Hum Le Jayenge」やHadh Kar Di Aapne(恋はぶっちぎり)」(2000)に引き継がれている。

特筆は、音楽を担当している故ヌスラット・ファテ・アリー・ハーンが婚約ナンバルkoi jane koi na jane(誰が知る、誰が知らぬ)」で自ら顔見せ出演していること(どうもリップシンクの撮影が性に合わなかったのか、映画の撮影ということで緊張していたのか、いつもの迫力が感じられないのが残念)。
ヌスラットは、この他にもKartoos(弾頭)」(1999)、Dillagi(冗談)」(1999)、Dhadkan(鼓動)」(2000)、Kacche Dhaage(不完全な鎖)」(1999)などのボリウッド作品に楽曲を提供しているが、変幻自在なフィルミーアレンジはボリウッドのアレンジャーによるもの。

例によってmeri sason meinウディット・ナラヤンは調子っ外れで、なんともそこがたまらない。
アルカー・ヤーグニクの美声が酔わせるuttar dakshinも耳に残る。
ちなみに作詞のジャーヴェード・アクタルは、本作の脚本家ホーニー・イラーニーと熟年離婚して、シャバーナ・アーズミーと再婚。 ホーニーとの息子がDON(2006)の監督にして「Rock On!!」(2008)で俳優デビューを果たしたファルハーン・アクタル、娘が「Luck by Chance」チャンスをつかめ!(2009)で監督デビューしたゾーヤー・アクタル

見どころは、やはりアイシュワリヤーのすべて! 燦然と輝く陽光の下でフィルムに定着したアイシュの幻影は、まさに至福!! インド衣装をはじめ、シックな乗馬服姿からカーチェイスのためにそれとなく用意された淡いスカーフを頭から首に巻いた洋装など、さまざまなアイシュを存分に楽しめるのが嬉しい。

アイシュ祖父役にインドのプレスリーと謳われたシャンミー・カプールをフィーチャル。すっかり禿げ上がり、樽のような胴回りとなってしまったが、長めのオールバックがややカールしていて往年の姿が伺われる。
そのシャンミーに合わせたのか、父役のアヌパム・ケールもなんとロン毛の禿げ頭に。
ボビーの母役は、本作の監督ラーフル・ラーワイル「アシュラ」Anjaam(1994)でシャー・ルク・カーンの母親を演じていたビーナー・バナルジー。しっとりとした美貌を持つ貴婦人で、絹の高級サーリーを纏った立ち振る舞いが威厳を伴って女性実業家役が堂に入っている。

アイシュは限りなく愛らしく、英語の台詞も実にエレガント。彼女の演技についての酷評は、美し過ぎる彼女へのやっかみに思える。
フロップの要因としては時代はまだまだカジョールに風が向いていたか、ヌスラットが手がけたタイトル・ナンバルが前衛過ぎたか。

*クライマックスで、ボビーが追いかけるアイシュが乗った離陸前のエア・インディア機はCGI。この時代にしてはよく出来ている。

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