Hum Tumhare Hain Sanam(2002)#221
ハム・トムハレー・ヘェン・サナム
製作:K・C・ボカディヤー/脚本・監督:K・S・アディヤーマン/台詞:リーマー・ラーケーシュナート/美術:R・ヴェルマー/編集:D・N・マリック/撮影:T・アーナンダ・クマール/詞:サミール、マーヤー・ゴーヴィンド、カルティク・アワスティ、ジャレース・シルワーニー/背景音楽:ウッタム・スィン/音楽:6トップ・ミュージック・ディレクターズ!(バッピー・ラーヒリー、サジード-ワジード、ダブー・マリック、ニキル-ヴィネイ、バリ・バラッムバット)
出演:サルマーン・カーン、シャー・ルク・カーン、マードゥリー・ディクシト、アトュール・アグニホートリー、スマン・ランガーナタン、アローク・ナート、アルーナー・イラーニー、ラクシュミーカーント・ベールデー、パーヤル・マルホートラ、ディニーシュ・ヒングー
特別出演:アイシュワリヤー・ラーイ
公開日:2002年5月24日(年間9位。上半期トップ5ヒット!/日本未公開)
STORY
入院中の友人の兄妹ゴーパルとニーターの面倒を頼まれた富豪デーヴナラヤン(アローク)は、孫姉弟ラーダーとプラシャーントより大切にしてしまう。遂に腹を立てて、実の娘ラクシュミー(アルーナー)は姉弟を連れて家を出る。十数年後、デーヴナラヤンは息子同様のゴーパル(シャー・ルク)とラーダー(マードゥリー)を結婚させるが、彼女には家を出た時から一緒に育てられた孤児のスーラージ(サルマーン)という幼馴染みがいて…。
Revie-U *結末にふれています。
シャー・ルク・カーン、サルマーン・カーン、マードゥリー・ディクシトの豪華トリオに加え、麗しきトップスターがゲスト出演。これでヒットしないはずがない!
オープニング一番に現れるのが、デーヴナラヤンを演じるアローク・ナート。「家族の四季」Kabhi Khushi Kabhi Gham…(2001)以降、立て続けに父親役の出演が続く。ポスト・アヌパム・ケールの勢いだが、どれもゲスト的で役柄としては重くない(ちなみにアヌパムの出演作が減っているのは、初の監督作「Om Jai Jagadish」に時間を取られているからだろう)。
姉弟の母親ラクシュミーには、アルーナー・イラーニー。「Beta(息子)」(1992)同様、悪徳母親か? と思いきや、デーヴナラヤンが危篤との知らせを受けて病院へ駆けつける最中にオートリキシャーがトラックと激突! 投げ出された上に、ラーダーの目の前で別の車に撥ねられてしまう!! 第一幕早々のサプライズとなる。一方、デーヴナラヤンはというと、無事退院して卓球ができるまで回復する。
これまた第一幕で、すんなりゴーパルとラーダーが結婚。幼なじみのスーラージが、ラーダーに想いを抱いているニュアンスがミソ。
このスーラージは幼い頃に、家を出たラクシュミーたちと一緒に暮すことになる名もない孤児。ラクシュミーが名前をつけてやったほどだから、弟以上に仲がいい。スーラージは子供の頃から歌が好きで、長じて人気歌手になっているという設定。
貧しいながらも出会った孤児をその場で家族同様に受け入れるのは、同じくサルマーンとマードゥリー主演の「サージャン/愛しい人」Saajan(1991)も同様で、インドの懐の深さが感じられる。
さて、ゴーパルとラーダーの新婚生活だが、なにかと邪魔が入ってなかなか「フットボール」が楽しめない。いいところで、やたらとラーダーに電話をかけてくるスーラージに、次第にゴーパルが嫉妬し始め…と、まさにソープオペラだ。
遂には、ゴーパルがラーダーを追い出し、やがて離婚届も。元はといえば、家の受話器が外れていただけ(スーラージの方は、恋人のスマンと長電話)なのだが、これをゴーパルが勘違いする。
スーラージがゴーパルに直談判しても火に油を注ぐだけ、とあって、ラスト前で助け船を出すのがスーラージの恋人スマン。最後の最後になって、ようやくの登場となる。それまでの長電話シーンでは、スーラージのひとり芝居でオフの返し台詞さえなかったのだ。そのために、スーラージとラーダーが本当はデキてるのでは??と思わせる演出になっている(一応)。
このスマンを演じるのが、ゲスト出演のアイシュワリヤー・ラーイ! ちょうどサルマーンと別れる別れないの、とか騒がれていただけに、アイシュの出演はキャンセルなどとも噂されていた。
して見れば、画面の中のアイシュは瞳が無表情でどこかぎこちない。一瞬、「ヒート」(1995=米)のロバート・デ・ニーロとアル・パチーノ並みにサルマーンとのからみは別撮りしたのか? と勘ぐってしまう。ところが、これはスマンが盲人の設定なのであった。
ラストは、スーラージがステージ上でファンにスマンを紹介。和解したゴーパルとラーダーも駆けつけて、めでたしめでたし。サルマーンのステージ・ダンス2曲分と4大スターを生で堪能できた観客エキストラの皆さんは至極ハッピーであったことだろう!!!
さてサポーティングであるが、ラーダーの弟プラシャーント役にアトュール・アグニホートリー。スーパースター、アミターブ・バッチャンの熱狂的なファンという設定で、母親に投げ捨てられたビッグBのポスターパネルをジャンプして受け止める。この弟、ゴーパルからは財布から金をくすねたとか、風呂場の電氣修理をしていたところにニーターが風呂に入って来てノゾキと罵られ、なかなかの受難役。
そのニーター(由美かおる風入浴シーンあり)は、「Badal(雲)」(2000)にゲスト・ダンサーとして出ていたスマン・ランガーナタン。
スーラージのマネージャー役に、お馴染みラクシュミーカーント・ベールデー。ゴーパールの部下役にディニーシュ・ヒングー。
また、 なにかとゴーパルを誘惑しようと試みる女秘書モナ役は、「Kaho Naa…Pyaar Hai(言って…愛してるって)」(2000)の豪華クルージング・シーンでリティク・ローシャンにゾッコンだったお色氣マダム、パーヤル・マルホートラ!
ストーリーからして実にアナクロちっくではあるが、これだけの豪華キャストでソープオペラを見られると思えば贅沢か。ただし、トップ5ヒットに留まったのは、演出の古さ故。
これに比べ、シャー・ルク、マードゥリー、アイシュ主演、サンジャイ・リーラー・バンサーリー監督作「Devdas(デーヴダース)」(2002)は7月12日にリリース(封切り)されたばかりというのに、わずか2週間で本年トップ2に躍り出ている! 次週にはトップ1の「Raaz(神秘)」(2002)を追い抜くのは必至だろう。
*追記 2011,03,07
例によってタミル映画「Thotta Chinungi」(1995)のリメイド。ただし、タミル版の監督K・S・アディヤマン自らヒンディー版の監督を務める。いささか古く感じるのは、完成/公開まで6年かかったとか言われているため。
とすると、スーラージの恋人スマンがなかなか登場しないのは、配役されてなかったから??
とにかくラッキーだったのは、アイシュを特別出演に迎え、「Devdas」(2002)の公開直前にリリース出来たことだろう。これが「Devdas」以降までずれ込んでしまったら、作品レベルからしてフロップとなっていたことだろう。
監督のK・S・アディヤマンは、その後、タミル映画界へ戻ったが、再びサルマーン主演でヒンディー映画「Shaadi Karke Phas Gaya Yaar」(2006)にシルパー・シェッティーをヒロインに迎えて制作している。