Hadh Kar Di Aapne(2000)#218
ハド・カル・ディー・アープネー
製作:ラジーヴ・アナン、ラーケーシュ・マルホートラ/監督:マノージ・アーグーラーワル/ストーリー:サティーシュ・ジャイン/脚本:ラジーヴ・カウル、プラフール・パレーク/台詞:アンワール・カーン/撮影:ニルマール・ジャーニー/詞:アナン・バクシー/音楽:アナン・ラージ・アナン/背景音楽:スリンデール・ソーディー/美術:リラーダール・S・サーワント/アクション:アンドリブ・パタン/振付:チンニー・プラカーシュ、ガネーシュ/編集:アルン-シェーカル
出演:ゴーヴィンダ、ラーニー・ムカルジー、ジョニー・リーヴァル、パレーシュ・ラーワル、サティーシュ・コゥーシク、ティヌー・アナン、ニルマール・パーンディー、リトゥー・シヴプリ、パドミニー・カプラー、アヴタール・ギル、ナヴニート・ニシャン、ターナーズ・カリーム、ヘレン・ボールディー、スミター・ジェイカル、ヒマーニー・シヴプリー
友情出演:ラーケーシュ・ベディ、シヴァ
公開日:2000年4月14日(年間15位/日本未公開)
STORY
離婚裁判で争う友人サンジャイ(ニルマール)からヨーロッパ旅行へ出かける妻の監視を頼まれたラージ(ゴーヴィンダ)。一方、妻のアンジェリー(リトゥー)も友人のアンジェリー(ラーニー)を影武者に用意。だが、ラージは顔写真を忘れてアンジェリーに恋してしまい…。
Revie-U
シャー・ルク・カーン&カジョールの「DDLJラブゲット作戦」DDLJ(1995)を置き換えた団体ツアー物は、サルマーン・カーン&カリシュマー・カプールの「Dulhun Hum Le Jayenge(花嫁は僕が連れて)」(2000)、「Dil Ne Phir Yaad Kiya(心がまた疼き出す)」(2001)など、すでにひとつの出し物として定番化しているが、そんな予備知識を持たずとも本作は十分愉しめる。
オープニングからしてジョニー・リーヴァルが離婚裁判で争っている夫婦それぞれの弁護士をダブルロール(二役)でカッ飛ばすかと思えば、ゴーヴィンダはエディ・マーフィーばりに意味不要な1人10役(!!!)で豪華オーストラリア&ヨーロッパ・ロケを大暴走(マダム系の女装がけっこうお似合い。
ジョニーのWロールは違和感ないデジタル合成だが、ゴーヴィンダはアナログで勝負。謎のTV寸劇男3変化まで怪演するシュールぶり!)。ちょい小太りムチムチボディのバリバリダンスでむさ苦しいエナジーを爆発させるゴーヴィンダ・パワーに脱帽してしまう。ウルトラ早口が売り物のゴーヴィンダだけにヒンディー音痴には当たり外れがあるかと思うが、本作は視覚的な笑いも多くゴーヴィンダ初心者でも十分愉しめる。
アンジェリー役のラーニー・ムカルジーは、「Dil Kye Kare(心迷って)」(1999)のマヒマー・チョウドリーからヒロインをバトンタッチ。ハスキーヴォイスなコメディエンヌぶりを発揮し、スィクのイケる男装も披露。
サポーティングは、ラージに浮氣調査を依頼する大学時代の友人サンジャイ役に、「One 2 Ka 4(1+2=4)」(2001)のニルマール・パーンディー。プーランの愛人となるヴィクラムを演じた「女盗賊プーラン」Bandit Queen(1994)の目も覚めるような美青年の頃とは隔世の感がある。
アンジェリーの両親には、ティヌー・アナン(=アーナンド)とスミター・ジャイカル。
一方、団体ツアーの面々は、迷脇役のオン・パレード。パレーシュ・ラーワルと「Hamara Dil Aaas Hai(私の心はあなたのもの)」(2000)のターナーズ・カリーム、サティーシュ・コゥーシクと「Raja Hindustani(ラージャー・ヒンドゥースターニー)」(1996)のナヴニート・ニシャン、アヴタール・ギルと「Kuch Kuch Hota Hai」何かが起きてる(1998)のヒマーニー・シヴプリー。「Dulhan Hum Le Jayenge」同様のドラッグ密輸人役にヘレン・ボールディー、不機嫌な顔を見せるツアー・コンダクター役にボリウッドのスター・トレーナー、ケヴィン・パッカードが出演。ほぼ業界の慰安旅行と化している。
またコリオグラファーのガネーシュ・アチャルヤーが、シドニー・ロケのミュージカル・ナンバル「main bhi qarar」中、ダフ屋として登場。
*追記 2002,02,19
アナン・ラージ・アナンの音楽は、特にゴーヴィンダ登場ナンバル「main bhi qarar」がインパクトを与える。ヘヴィなビートにソーヌー・ニガムの粘りっこいプレイバック、そしてアルン-シェーカルの巧みな編集が生みだす気が遠くなるほどの暑苦しさ! ゴーヴィンダを受け入れるか、激しく拒絶するかの踏み石となろう。
*追記 2011,03,04
例によって原版は、米「洋上のロマンス」(1948/未公開TV放映)。こちらは時代が時代だけに船の旅となっていて、これをボリウッド的団体ツアー物に昇華。
夫役ニールマール・パーンディーは、ワーナー配給の印パ・ボクシング映画「Lahore」(2010)で久々にメジャー作品に出演するも、2010年2月5日に心臓発作で他界。まだ48歳であった。
この時期のラーニー・ムカルジーは、シャー・ルク・カーン主演作でもセカンド・ヒロイン止まり。最新作「No One Killed Jessica」(2011)と違い、アワード・キラーに成長するなど夢のまた夢、本作のようにゴーヴィンダやボビー・デーオール相手に燻っていた雌伏時代であったが、ジャスピンデール・ナールラーの燃えるようなハイテンション・プレイバック「kudi kanwari」に乗って軽快なステップを踏む姿が愛らしい。