Baaghi(2000)#213
Baaghi(反逆者) 01.04.15 UP/01.12.03 Re ★★☆
製作:ラーメーシュ・シャルマー/監督:ラージェーシュ・クマール・スィン/原案・脚本:イクラーム・アクタル/台詞:ジェリーズ・シルワーニー/撮影:サンジャイ・マルワンカル/音楽:サジード-ワジード/詞:ファイズ・アンワル/背景音楽:ディリープ・セーン-サミール・セーン/アクション:シャーム・カゥーシャル
出演:サンジャイ・ダット、アディティヤ・パンチョリー、マニーシャー・コイララ、インデール・クマール、ティナ・セーン、モーハン・ジョーシー、グルシャン・グローバー、シワジー・サータム、サンジャイ・ナルヴェーカル、デーニーシュ・ヒングー
公開日:2000年4月7日(日本未公開)
STORY
ギャングスター、ラージャー(サンジャイ)は隣に転居して来たバラモン一家の息子スーリヤと親しくなる。しかし、成長したスーリヤ(インデール)が選んだ恋人キラン(ティナ)は、彼が恋人ラーニー(マニーシャー)と死別し、ギャングとなるきっかけを作った兄貴分ヴィクラム(アディティヤ)の妹であった・・。
Revie-U
復活したサンジャイ・ダット主演のマサーラー・ノワール。サンジャイへScreen Awards 主演男優賞をもたらせた「Vaastav(現実)」(1999)に引き続き、父親役だったシワジー・サータムが隣に引っ越して来たスーリヤの父親で大学のヒンディー教授役。ラージャーの弟分役にやはりサンジャイ・ナルヴェーカルがキャスティングされている。
だが、間の抜けたというか人を喰ったBGM、センスのない演出とかなりの退屈作。ラストでスーリヤとキランの結婚式でラージャーとヴィクラムの死闘ぶりをかきたてるためか、少年時代のスーリヤとラージャーが結びつくエピソードだけでも小1時間。なにしろサブタイトルは「an emotional saga of a rebel」(ホントはun emotional?)。その後、いきなり大学生のインデール・クマールに成長。若いカップルをサンジャイが見守る形になるのだが、インデールもティナ・セーンも魅力に乏しいのが難点。
キランに恋したスーリヤが勇氣を試され、断崖へ突っ込む車に立ちはだかるというエピソードは、内面が荒涼としたサイーフ・アリー・カーンがバイクや車で断崖を飛び越すスタントに挑戦しプリティー・ズィンターの愛を得る「Kya Kehna!(なんと言っても!)」(2000)でも見られたよくあるシチュエーション。
ちなみにティナは、ミトゥン・チャクラワルティー主演C級ローカル活劇「Aaagi Hi Aag(火には火を)」(1999)でお色氣殺し屋マダムを、同じくサンジャイ&マニーシャー主演「Kartoos(弾頭)」(1999)でジャッキー・シュロフの部下として登場、ティナとのみクレディットされている。
ヒロインのマニーシャー・コイララは、「Kartoos」、「Khauf(恐怖)」(2000)とサンジャイとの共演が続く。ところが、本作のマニーシャーはゲスト出演と言っていいほどの出番で、せいぜい20分程度の出演。しかも、なぜかマニーシャーの声はアテレコ。なるべく似た声の女優に当てさせているが、違和感は大いにありだ。単にスケジュールの問題か(マニーシャは前年だけで15本出演!)、はたまたプロデューサーと大喧嘩したのか?!
サンジャイ復活とは言え、まず見ていられるのはマニーシャーのダンス・ナンバル「ek kabhi do kabhi(ひと目、ふた目)」と、クライマックスにおけるサンジャイvsアディティヤ・パンチョリーの市街戦ぐらい。大いに謎が深まる一作である。
*追記 2011,02,27
間延びした「トップガン」のようなバックスコアに対して、フィルミーソング担当のサジード-ワジード(「Dabanng」)は耳に馴染む仕事ぶり。ティナとインデールが踊る「chaha tha tujhe」も軽快で、スニディー・チョハーンとソーヌー・ニガムの伸びやかなプレイバックが心地よい。
その後、ティナはキャリアは途絶え、インデールもサルマーン・カーン主演「Wanted」(2009)で友人役ながらほとんどたむろして立ち話している程度。
時より姿を見せるマニーシャー・コイララは、はっとするほど美しく、一服の清涼剤。
朱に交われば赤くなる運命の少年スーリヤがラージャー宅に出入りし遊興に暮れるグンダー(愚連隊)に憧れてゆく様がなによりサンジャイ・ダット自身の生い立ちを想わせる(苦笑)。