Pyaar Tune Kya Kiya…(2001)#212
Pyaar Tune Kya Kiya…(君に恋をした…)/2001 01.09.04 ★★★☆
ピャール・トゥーネー・キャー・キヤー
製作:ラーム・ゴーパル・ヴァルマー/脚本・監督:ラジャット・ムカルジー/撮影:サンジャイ・カプール/音楽:サンディープ・チョウター/詞:ニティン・レイクワール
出演:ファルディーン・カーン、ウルミラー・マートンドカル、ソーナーリー・クルカルニー、スレーシュ・オベローイ、ラヴィ・バースワーニ、ラージパル・ヤーダウ、カッヌー・ギル
公開:2001年4月27日(日本未公開)
STORY
フォトグラファーのジャイ(ファルディーン)は、海辺で撮影中、ストレッチをする美女に出会す。彼女の写真が使用された新雑誌の創刊パーティーで、父親ジャスワール(スレーシュ)と共に現れたリヤー(ウルミラー)は自分がカヴァー・モデルにされたことを驚く。ジャイは彼女を説得、連日フォトセッションを組むうち、「結婚」の言葉をかける。それまで父親からの縁談を断り続けて来た彼女もメロメロになり、ジャイの家を訪ねると出迎えたのは彼の妻ギーター(ソーナーリー)であった…。
Revie-U*真相に触れています。
「Jungle」(2000)のファルディーン・カーンとウルミラー・マートンドカル、そしてScreen Awards 助演男優賞を受賞したラージパル・ヤーダウが引き続き登場。ファルディーンの精悍なところからして「Jungle」の終了後すぐに撮影に入ったのだろう。同年公開の「Love Ke Liye Kuch Bhi Karega(愛のために何もかも)」(2001)ではあまりにも見違えた太めな体躯が来になってしまったが、本作の技量からすると今後が楽しみなではある…。
1990年代に注目されたストーカー映画、シャー・ルク・カーンの「Darr(恐怖)」(1993)、「アシュラ」Anjam(1994)、最近ではスニール・シェッティーの「Dhadkan(鼓動)」(2000)、2000年の東京国際映画祭でも上映されたラーム・ゴーパル・ヴァルマーの「ストーミーナイト」Kaun?(1999)などいくつか偏愛映画が話題を呼んだ。男側からのストーキングがほとんどであったのは、イメージダウンにつながるため女優が出演したがらない背景もあったのだろう。
前半、縁談を頑なに拒んでいたリヤーがジャイが親しくなるまで、かなりスローな展開。ジャイが既婚という意外な事実で後半となる。職業柄、フォト・セッションでの「キレイだね! 最高! 結婚したいヨ!」のような掛け声はリップ・サービスであり、ジャイには恋愛感情は微塵もない。ミュージカル・シーンで一緒に踊っていたのもリア側の妄想だったというわけだ。
後半、リヤーは電話魔となり自殺願望でジャイの気を引こうとする。リアクションも妻のギーターがヒスを起こす程度で「Darr」のシャー・ルクに比べるとリヤーのストーカー行為は大人し目で、劇伴(バックスコア)がオーバーなだけに思える。が、これはラストで刃物を振り回すリヤーのインパクトを強めるためだろうか。実際、ウルミラーの演技はかなりエキセントリック。
冒頭の登場シーンで見せるストレッチ・シーンで、ウルミラーの鍛え抜かれた身体はダンサーと言うよりまるで格闘家のようだ。前半は強氣な女ながら「結婚」の言葉に恥じらう可愛い一面を見せたかと思えば、後半一氣にストーカー的情緒不安定なサイコ・モードに突入! ラストでは半狂乱どころか、精神病院へ強制入院となり退院できる見込みなし、という救いのないエンディング!! ナイフでギーターを突き刺す芝居も迫力があり過ぎる。他のスターならまず蹴ってしまうような敵役を引き受けたのもラーム・ゴーパルとの長年の信頼関係故だろう。
一方、ラージパル・ヤーダウは、編集部のチャイ係ながら裏で編集長を脅して大金をせしめる幕間喜劇的なエピソードにフィーチャルされている。しかし、「Shool(槍)」(1999)の赤帽、「Jungle」のゲリラと比べると印象が薄いのが残念。
ファルディーン、ウルミラーらに比べると、スレーシュ・オベローイ、ラヴィ・バースワーニーの芝居が古く見えるのは単にメイクの問題だろう。
ちなみにギーター役のソーナーリー・クルカルニーは、「アルターフ」Mission Kashmir(2000)に続く出演となる。
RGVは、このところプロデュースにも力を入れ、後陣の育成にも余念がないが、どこか趣味性の高い企画は監督せずにプロデュースにまわるリュック・ベッソンの立ち位置を思わせる。もっとも、「Satya」サティヤ(1998)、「Shool」、「Jungle」とイメージ的なミュージカル・シーンに留めてハリウッド指向を心がけていたが、先鋭化し過ぎと反省したのか本作や「Love Ke Liye Kuch Bhi Karega」はマサーラー寄りのスタイルを取っている。
全編流れる、ハリウッド・サスペンスから抜き出したようなオーケストレーション・スコアは、「Jungle」でFilmfare Awards バックグラウンド・スコア賞に輝いたサンディープ・チョウターによる仕事。ガネーシュ・ヘーグデーの振付もパワフルだ。
まずまずなクオリティながら、公開直後にファルディーンがコカイン取引で逮捕されてしまい、3週目で50%を切る興業成績であった。
*追記 2001,11,10
本作の後、RGVとウルミラーは袂別。RGVは新作「Company」(2002)のヒロインにマニーシャー・コイララを据え、ウルミラーはゲスト出演した「Lajja(恥)」のラージクマール・サントーシー作品に出演すると言われる。
*追記 2011,02,26
>ファルディーン・カーン
主演のはずの「Dulha Mil Gaya(花婿をみつけた)」(2010)が撮影中から演技の出来に危ぶんだプロデューサーが本来ゲスト出演のシャー・ルク・カーンに泣きつき急遽大幅に出演シーンを増加。ポスター等にも登場するが、かえって駄作のレッテルが貼られフロップ。次回作のオファーは、まだない模様…。
>ウルミラー・マートンドカル
RGVによる中編サスペンス「Kaun?」(1999)が「真犯人」の邦題で東京国際映画祭で上映された後、「ストーミーナイト」に改題されて公開。ここでも可愛げなヒロインに思えて…。
RGVとは結局ヨリを戻し?「Company」のオープニング・ナンバルに特別出演、続くサイコ・ホラー「Bhoot(亡霊)」(2003)ではFilmfare Awards 批評家選主演女優賞を獲得するも、キワモノ女優路線に走ることとなる。
>ラーム・ゴーパル・ヴァルマー
2005年に暗殺された政治家パリターラ・ラビンドラの実話事件を例によってダークなテイストで映画化した「Rakht Charitra」2部作(2010)がフロップ。マニ・ラトナムの「Raavan」ラーヴァン(2010)に対抗して?ヒンディー版と一部再撮影を施したタミル/テルグ版を試みたが観客の支持は得られず。