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Kites : The Remix(2010)#210

2011.02.24
オススメ度 =陳腐 ★★=退屈 ★★★=平均点 ★★★★=面白い! ★★★★★=お気に入り!!

KItes The Remix「Kites:The Remix」★★★★☆
カイツ:ザ・リミックス(ハリウッド・バージョン)

提供・編集:ブレット・ラトナー/原案・製作:ラーケーシュ・ローシャン/共同製作:スネイハー・ローシャン/脚本・監督:アヌラーグ・バス/脚本:ロビン・バット、アーカーシュ・クラーナー/台詞:サンジーヴ・ダッタ/撮影監督:アヤナンカ・ボース/音楽:グレーム・レヴェル/振付:フレクシー・ストゥ、サンディープ・ソパルカル/衣装監督:スニート・ヴェルマー/プロダクション・デザイン:ラジャト・ポッダル/アクション:スピロー・ラザトス、シャーム・コゥーシャル/VFX:レッド・チリース・VFX/編集:アキーヴ・アリー

出演:リティク・ローシャン、バルバラ・モリ、ニコラス(ニック)・ブラウン、カビール・ベディ、マードゥリー・バーティア、アナン(=アーナンド)・ティワリ、ユーリ、ボブ・ブラハマバット
ゲスト出演:カングナー・ラナウト

公開日:2010年5月21日(全米オープニング10位/日本未公開)/92分

Kites The Remix

(c) Film Fraft, 2010

STORY
ラスヴェガスのサルサ・インストラクターJ(リティク)、裏の商売は市民権所得のための偽装結婚屋。色仕掛けで迫ってきたジーナー(カングナー)を冷たくあしらうものの、彼女の両親が富豪と知って手のひらを返したように近づく。早々、彼女の兄トニー(ニコラス)の結婚式に招かれ、ダイビング中にその妻ナターシャ(バルバラ)を見かけ強く惹かれる。だが、ジーナーの一家は暴力を厭わぬカシノ王で…

Revie-U
インド映画史上初の全米オープニング・トップ10を獲得したリティク・ローシャン主演Kites(2010)。もっともこれは、92分に<リミックス>されたハリウッド・バージョンであった。

Kites The Remix

(c) Film Fraft, 2010

編集を施したのは「ラッシュアワー」シリーズ、「X-MEN:ファイナルエディション」の監督ブレット・ラトナー
当初「Remix」バージョンということから、ハリウッド的にアクション場面を強調し、撮影されたOKテイクからすべてリマスタリングするのかと想像していたが、脚本・監督アヌラーグ・バスが仕込んだストーリー・ラインを時間軸含めて改変(改悪)いていないのは好感が持てる。
また、英語ダビングの吹き替え版という訳でもなく、ヒンディー/スパニッシュ台詞もそのまま使用し、英語字幕で通しているため不自然ではない。

ただ、音楽監督に「エクスペリメント」、「4デイズ」、古くは「パワーレンジャー」なども手がけるグレーム・レヴェルを起用。ダンス・ナンバルfireなどラージェーシュ・ローシャンのフィルミーソングだけでなくサリーム-スレイマンのバックスコアもまるまる外し(DVDのメニューBGMのみ)、ダンス・コンテストの場面ではヒップホップ調、メキシコに入国する場面ではジプシーキングス風の楽曲が貼り付けられているが、ボリウッド・バージョンを観てしまうと作品の本質に手が届いていないように思える。
リティク自身がプレイバックしているkites in the skyを聴くことが出来ないのは残念である。これらのフィルミーソングはアメリカ人の耳にはメロー過ぎると感じるのだろうか。

さて、ばっさり削除されたのは、主にカングナー・ラナウトのパート(苦笑)。
というより、リティクとメキシコ系ヒロイン、バルバラ・モリのラヴ・ストーリーを中心にギリギリまで絞り込み、余計な部分は一切そぎ落としたと言える(雨のヴェガスでゆったりと踊るエピソードは残されている)。
唯一、ボリウッド・バージョンでは使っていない映像を用いているのは、メキシコに逃亡した結婚式にインサートされるバルバラのセミヌード・ショット。背面からではあるが、彼女がトップレスで撮影に臨んだことが解るため、ボリウッド・バージョンではカットされた模様。

Kites The Remix

(c) Film Fraft, 2010

そのバルバラ。ボリウッド女優と比べるとやや華が足りないものの、リティクとのスクリーン・ケミストリーはかなり上々(オフ・スクリーン・ケミストリーも?)。
早口でスパニッシュをまくしたてる氣丈な様が愛らしい。

アイシュワリヤー・ラーイ・バッチャン共演Guzaarish(要望)」(2010)では<肉体を脱ぎ捨てた>リティクであったが、本作同様、無駄な贅肉を落としきって驚異的な筋肉美を見せる。彼のナイーヴな面も効果的で、感動のポイントはボリウッド・バージョンに劣らない。

92分という戦略的なランニング・タイムは忙しい時に観るにはよいが、やはり、サイド・ストーリーを削りまくった分、忙(せわ)しく感じる。
また、詩的なボリウッド・バージョンと異なり、ラストの銃撃戦で銃声がオフになっているのは銃器王国アメリカとしては納得できないのか、ごく低く追加されていること、エンディングでより解りやすくするためにカイトがインサートされている点が作品としてのハードルを下げているように思える。

ハリウッドに巣くう二流・三流の怪しげな映画人でなく、ブレット・ラトナーというメジャーをしっかり摑んだ本作の意氣込みは大きい。
リティクと父親のラーケーシュ・ローシャン「Krrish 2」のプロジェクトがペンディングしているようであるが、ぜひ本作を上回るハリウッド/ボリウッド・バージョンを放って欲しいところ。

本製品DVD(正規盤)は、米北米向けリージョン1。PCでの試聴ではリージョンの切り替え回数の制限を受けるが、オール・リージョン対応の中国製プレーヤーでは難なく試聴できる。
また、ボリウッド・バージョンも同梱のDVD2枚組となっていて、かなりお得。

Kites The Bollywood

「Kites」The Bollywood Version.

2011年3月13日(日)、大阪アジアン映画祭(ABCホール)にて本作のボリウッド・バージョン「Kites」(2010)が「カイト」の邦題で上映。詳細はインフォメーション・ページ、または公式サイト http://www.oaff.jp/index.htmlにて。

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