Baadshah(1999)#005
Baadshah(帝王)/1999 01.06.10 ★★★★
バッシャー
監督:アッバース-ムスターン/音楽:アヌー・マリック/詞:ジャーヴェード・アクタル、サミール
出演:シャー・ルク・カーン、トゥインクル・カンナー、ジョニー・リーヴァル、アムリーシュ・プリー、ラーキー・グルザール、ラザック・カーン、シャラート・サクセーナ、ニーラージ・ヴォーラ、ディーパク・ティージョリー、サチン・ケダーカル、ソォーラブ・シュクラー
公開日:8月27日(年間トップ8ヒット!)
STORY
バッシャー(シャー・ルク)は、相棒ラームラール(ジョニー)ら4人を抱える私立探偵。カジノで巻き上げられたダイヤモンドを奪い返したことから子供の誘拐事件を依頼される。が、いつの間にかCBI(中央捜査局)の秘密捜査官「バッシャー」に間違われ、実業家タパール(アムリーシュ)によりゴア州のガヤートリー・バッチャン首相(ラーキー)暗殺を強いられる。しかし、事件には意外な黒幕が・・・。
Revie-U
B級テイスト満載のアッバース-ムスターン。兄弟二人組の監督は自ら「Director Duo」とクレディットしている。インドの○○という短絡的な言い方をすれば、インドのウォシャウスキー兄弟でしょうな。因みにシャー・ルク・カーンがブレイクするきっかけでもあった「Baazigar(賭ける男)」(1993)の監督兄弟。入り組んだプロット、派手なギャグ装置もうまく使いこなし、パロディーセンスを感じさせる。
トゥインクル・カンナーに近づくシャー・ルクがブラインドの振りをするくだりは目くじらを立てられそうだが、後半、CBIの秘密兵器「透視ゴーグル」に対応しているのであった。前半は濡れた服を着替えるトゥインクルを偽ブラインドのシャー・ルクが見てしまう(!)、後半は敵陣に乗り込むシャー・ルクが「透視ゴーグル」をかけて思わずトゥインクルを「透視」しちゃうというわけ。別にトゥインクルが「脱いだり」するわけではないが、どちらもシャー・ルクがカタカタ震えてしまうギャグが洒落ている。
また、クライマックスの暗殺計画では、拳銃を渡されたシャー・ルクが渋々式典が行われるホテルへ乗り込むものの、なんと金属探知器のボディチェックもフリーパス! セキュリティも暗殺に加担していることが解って、なかなかサスペンスフルな演出だ。
アムリーシュ・プリーもタジタジになる女性首相役のラーキー。今回も、死んだと思って口を滑らす暗殺首謀者の夫(サチン・ケダーカル)にカッと目を見開き、復讐のキワモノ女優をアピール!
作品の足を引っ張る(?)ことの多いトゥインクルもダンスが上達し(??)、なかなか可憐に見える。さすがにスタイルは抜群! 自慢のおヘソも健在だ。
脚本にも参加しているニーラージ・ヴォーラはCBIの秘密兵器開発チーフ。いわば007シリーズのQというよりR(モンティ・パイソンのジョン・クリース)ですな。筆者としてはインチキ顔のラザック・カーンや「ラジュー出世する」Raju Ban Gaya Gentleman(1992)でも出ていた下町の面々を見られるのがうれしい。
*追記 2010,09,03
タイトルの発音はデーヴァナーガリー的には「バードシャー」となるべきところだが、dが消音となり劇中では「バッシャー」と発音されている。脚本上でもこれを前提に書かれていて、「バッシャー(帝王)」と「バッチャー(子供)」、そして暗殺のターゲットとなる「バッチャン首相」に掛けられている。バッチャンと言えば、アミターブ・バッチャンが知られるが、このバッチャン姓は文学者であった彼の父、ハリワンシュ・ラーイ・バッチャンの代から名乗られたもので、名前の由来も「バッチャー」に因んでいる。