Pukar(2000)#195
PUKAR(叫び) Re 01.06.06 ★★★★
プカール
製作:スリンデール・カプール/製作代表:ボニー・カプール/共同製作:バーラト・シャー/原案・脚本・台詞・監督:ラージクマール・サーントーシー/脚本・台詞:アンジューム・ラージャーバーリー/台詞:K・K・ライナー/撮影:アショーク・メーヘター、バーバー・アズミー、サントーシュ・シヴァン/
音楽:A・R・ラフマーン/詞:マジュルーフ・スルターンプリー、ジャーヴェード・アクタル/振付:プラブデーヴァ、ラージュー・スンダラーム、ファラー・カーン、ラージュー・カーン/アクション:ティヌー・ヴェルマー/美術:ニティーシュ・ローイ、スニール・ピッライ、サブー・シリル/編集:V・N・マイェーカル
出演:アニル・カプール、マードゥリー・ディクシト、ナムラター・シロードカル、ダニー・デンゾンパ、オーム・プリー、クルブーシャン・カルバンダー、シヴァジー・サータム、ファリーダー・ジャラール、ギリーシュ・カルナード、ゴーヴィンド・ナームデーヴ、アンジャン・スリワースタ、ムケーシュ・リシ、スディール・ジョーシー、K・D・チャンドラン、ニーラージ・ヴォーラ、ヴィジュー・コーテー、ディリープ・ラージ、ヤシュ・パル
特別出演:ラター・マンゲーシュカル、プラブデーヴァ
公開日:2000年2月4日(年間9位ないし11位/日本未公開)
National Film Awards:主演男優受賞(アニル・カプール)/ナルギス・ダッタ賞(スリンデール・カプール、ラージクマール・サントーシー)
STORY
カシミール、分離主義ゲリラ出没地帯のシヴァ寺院を詣でたミシュラージ大臣(ゴーヴィンド・ナームデーヴ)が誘拐される。インド陸軍の英雄ジャイ・デーヴ少佐(アニル)は作戦中止命令を無視し、過激派リーダーのブルーシュ(ダニー・デンゾンパ)を逮捕。祝賀会で踊る幼なじみのアンジェリ(マードゥリー)の想いをよそに、ジャイは将軍の娘でミス・フォトジェニックのプージャー(ナムラター)にひと目惚れし結婚を決意する。嫉妬に狂ったアンジェリーを騙し込み、裏で過激派とつながっているミシュラージとティワリ長官(アンジャン・スリワスターワ)はジャイからブルーシュ移送ルートの暗号を盗み出させて奪回。暗号を漏らしたスパイ容疑でジャイは軍籍を剥奪され・・・。
Revie-U*結末にやや触れています。
ニューウェーヴさながらのナチュラル・ライティングと、スケール感あふれるアクションが展開。しかしながら、過激派と結託した政府役人たちはコテコテ、その上、アニル・カプール、マードゥリー・ディクシト、ナムラター・シロードカルをめぐる三角関係は…マサーラー版「シュリ」(韓国)か?! さすがボニー・カプール(アニルの兄)製作。
アニルは本作でNational Film Awards主演男優賞を受賞!!! 普段あまりと変わらないぞ。と思いきや、暗号パスが盗まれ英雄から一転してスパイ容疑へ失墜する中、クライマックスの英雄的行動へ。この辺のヒロイズムが受賞のポイントなのだろう。
一方、過激派リーダーに扮するダニー・デンゾンパの怪演も天晴れ! 頭を丸めた目玉剥き出しの役作りは、まるで東映の悪役山本麟一。「Officer」(2000)でも未亡人の財産を狙う敵役をクールに演じていたが、とても同一人物には思えない。さすが出演作130以上に及ぶ名悪役。 軍幹部をオーム・プリー、グルブーシャン・カールバンダーとシブ目の堅優陣が固めているのもうれしい。
氣になるロマンスの行方はと言うと、一応、幼なじみの愛が勝つ展開。しかし、マードゥリーを差し置いて、アニルを夢中にさせるナムラターは、ミス・インド。霞んでしまうマードゥリーの天下は終わったのか・・・。
音楽にA・R・ラフマーン、ゲスト・ダンサー/振付に「ボンベイ」Bombay(1994)のプラヴデーヴァをフィーチャル。祝賀会のミュージカル・ナンバー「kya sera sera」ではプラブデーヴァ本人も登場し、マードゥリーと鮮やかなダンスを見せている。ナムラターと踊るグランドキャニオン・ロケの「sunta hai mea」もいいが、秀逸なのはアラスカ・ロケの「hi janan hi janan」。氷河(!!!)を彷徨うアニルがブルーのサリーを纏ったマードゥリーを見つける・・・・失墜した英雄アニルが崩れた教会でマードゥリーの愛に氣づくミュージカル・ナンバルがこれ。
クライマックス、爆弾が仕掛けられた時計台の祭典で「ek tu hi bharosa」を歌うのはプレイバックの女神、インドのナイチンゲール(サヨナキドリ)ことラター・マンゲーシュカル刀自本人!! 「DDLJ」(1995)でカジョールをプレイバックしていたのがこの人。
*追記 2011,02,09
>アニル・カプール
National Film Awards主演男優賞を獲得しただけに圧倒的。ゼロ年代中盤からの低迷がウソのよう。
>ナムラター・シロードカル
アイシュワリヤー・ラーイと姉妹役を演じた英印合作「Bride & Prejudice」(2004)及びサニー・デーオール主演「Rok Sako To Rok Lo」(2004)を最後に寿引退。結婚相手はテルグ映画「Anji」(2004)出演時に現地で知り合った?テルグ・スターのマヘーシュ・バブー。2児あり。
>ダニー・デンゾンパ
本作でインド国家を揺るがす敵役を演じながらも、2003年にインド政府より勲四等パドマー・シュリーを授章。シッキム出身で、かの「セブン・イヤーズ・イン・チベット」(1997=米英)にも出演。注目は、ティベット系の厳しい暮らしぶりを描いたアート系「Frozen」(2007)。ダーバン国際映画祭撮影賞を受賞した秀作で、日本のミニシアターが存続していたら…と思うと残念。
>プラブデーヴァ
タミル映画界のダンサー/振付師/俳優/監督。本作出演でボニー・カプールに氣に入られたのか、「Shakti(ザ・パワー)」(2003)でもゲスト・ダンサーとして登場。サルマーン・カーン再ブレイクに火を付けた「Wanted」(2009)では監督として招かれている。
>ラター・マンゲーシュカル
50年以上前のヒンディー映画を観てもヒロインをプレイバックしているのが彼女。それだけに、新人女優のファースト・ナンバルに招かれることが多い祝福的存在。
本作の翌年、インド政府より勲一等バーラト・ブーシャンを授章。