Raja Ko Rani Se Pyar Ho Gaya(2000)#189
Raja Ko Rani Se Pyar Ho Gaya(王子が王女に恋をして) 01.04.02/08.03.24 ★★★
製作:ショーグン・プロダクション/脚本・監督:T・K・ラジーヴ・クマール/台詞:ラーマチャンドラ・シェルク、マンケーシュ・クルカルニー/撮影:ラヴィ・K・チャンドラン/作詞:ジャーヴェード・アクタル/音楽:ジャティン-ラリット/背景音楽:シャルレート/振付:カーラ、アフムド・カーン/美術:サブー・シリル、アミット・モーハン/編集:シェーカル・プラサード/衣装:ニーター・ルッラー、マニーシュ・マルホートラ(forマニーシャー)/スリル:ティヤガラジャン、パラニ
出演:マニーシャー・コイララ、アラヴィンドスワーミー、ディーナー・パータク、ゴーガ・カプール、クニカー、シャバーズ・カーン、ナワーヴ・シャー、スシュマー・セート、ヴィホーン・ナーヤク、カンナン(象・新人)
特別出演:ジャッキー・シュロフ、ディヴィヤー・ダッタ
公開日:2000年12月22日(日本未公開)/149分
STORY
祖母(ディーナー)から王子が王女に恋する話を聞いて育ったモーヒト(アラヴィンドスワーミー)は、旅行中、川に転落したマニーシャー(マニーシャー)を助け、同時に恋をしてしまう。彼女を追ってムンバイーに行く口実は、代々伝わる象の置物が「盗まれた!」。兄のマンションに逗留したモーヒトは、運よく彼女と再会。が、祖母が大切にしていた象の置物を壊してしまう。憂慮したマニーシャーが一案、子象のアプー(カンナン)を贈って・・・。
Revie-U
日本でも公開されたマニ・ラトナム監督作「ボンベイ」Bombay(1994=タミル)のマニーシャー・コイララとアラヴィンドスワーミーの共演作!
アラヴィンド主演ということからも判るように、チェンナイ資本のヒンディー進出作。ラージャースターンやムンバイー(英語字幕はBombay)を舞台にしてはいるが、セット撮影やマンションのくだりはチェンナイで撮影され、ヒンディー語のアフレコが施された模様。
とは言っても冒頭のメーラー(縁日)シーンではナーガリーの書き文字があえて記されているので、タミル映画のヒンディー化ではなく、ソーナーリー・ベンドレーを起用した「Dil Hi Dil Mein(心は心に)」(2000)と同様、あくまで北インドのマーケットを狙って作られたのだろう(そのためか、ボリウッド旧作フィルミーが随所に鏤められている)。
チェロ・プレイヤーのマニーシャーが自宅で演奏するメロディは、ラージェーシュ・カンナー×タヌージャー(カジョールの母)主演の象映画「Haathi Mere Saathi(象さんと一緒)」(1971)のメモラブル・メロディなのが嬉しいサービス。
これがデビューとなる子象カンナン扮するアプーの表情は、モーフィングによるVFXであろう。それにしても名演!
タイトル「Raja Ko Rani Se Pyar Ho Gaya」は、マニーシャーがアーミル・カーンと共演した「Akele Hum Akele Tum(ひとりぼっちの僕、ひとりぼっちの君)」(1995)のヒット・ナンバル(アヌー・マリク作曲/ウディット・ナラヤン/アルカー・ヤーグニク)より引用。
「Bhool Bhulaiyaa(迷宮)」(2007)で新婚早々のヴィッディヤー・バーランがラージャーとなった夫シャイニー・アフジャーに地声で口ずさんでいたフレーズがこれ。
マニーシャーは役名がマニーシャーだと言うのにアテレコ。美しさが目を引く頃なだけに残念。
(モーヒトがイメージするに、シュリデヴィーの瞳、レーカーの唇、マードゥリー・ディクシトの鼻筋、カリシュマー・カプールの髪と言いながら、モンタージュのために映画グラビアの顔をザクザク切り出すとは!)
アラヴィンドスワーミーは、声色も手伝ってどこか太めのアビシェーク・バッチャンといった印象。どちらも育ちがよく人が良さそうなのだが、芝居に深みがない点が共通か。
そのアラヴィンドがボンベイに出て来て、出くわすロケ現場シーンでジャッキー・シュロフと、「Veer Zaara(ヴィールとザーラー)」(2004)でZee Cine Awards助演女優賞を獲得、「Aaja Nachle(踊りに来て)」(2007)でマードゥリーの親友役を演じていたディヴィヤー・ダッタ(ダビング=アテレコ)が彼自身/彼女自身として登場。
後半、マニーシャーに結婚の圧力をかける敵役1に「Badal(雲)」(2000)のシャバーズ・カーン、敵役2が「Escape from Taliban」(2003)でマニーシャーを騙して第2夫人に迎えるナワーブ・シャー(本作ではまだ自毛の長髪が凛々しい)。
マニーシャーの祖母に「家族の四季」Kabhie Kushi Kabhie Gham…(2001)のスシュマー・セート、アミターブ・バッチャンの怒れる若者映画で常連敵役だったゴーガ・カプールがモーヒトの怖面祖父を好演。
そしてなにより、冒頭にてラージャーとラーニーの昔話(人形劇)を語る祖母役、「Raja Babu(ラージャー坊ちゃん)」(1994)のディーナー・パータクがなにより佳い。
T・K・ラジーヴ・クマールの演出はまずまず。
カットバックを多用したシェーカル・プラサードのアヴィッド(ノンリニア・デジタル)編集も上々。
「Om Shanti Om」オーム・シャンティ・オーム(2007)のサブー・シリルがアート・ディレクターとしてクレジットされているが、幽玄なナンバル「aao na aaona」中のセットと劇中のマンション・セットのセンスとクオリティが大違いであるため、劇中はプロダクション・デザイナー、アミット・モーハンのパートか。あるいは、当時はまだ垢抜けない仕事ぶりだったか。
小粒ながらなかなかに愉快な作品。ぜひマニーシャー自身のアフレコを実現してほしいところだ。
*追記 2011,02,03
>アラヴィンドスワーミー
「ボンベイ」Bombay(1995)が北インドを中心としたボリウッド市場でも年間5位にランクインしたとはいえ、さすがに興行ヴァリューはなくマニーシャーとの共演作とはいえ、年間50以下のスーパー・フロップ。本作を最後に俳優業より実業に力を入れた模様。
ちなみにヴィヴェーク・オベローイ×ラーニー・ムカルジー主演「Saathiya(伴侶)」(2002)のオリジナル版「Alaipayuthey(さざ波)」(2000=タミル)では後半思いがけず登場する特別出演している。
>祖母役ディーナー・パータク
グルザール監督作「Kitaab(本)」(1977)の出演当時と大差ない元氣な姿で登場。ディーナーは、ゼロ年代のボリウッドに影響を与えたディーパー・メーヘター監督作「Bollywood / Hollywood」(2002)にも出演。
>ボリウッド旧作フィルミーが随所に
新作ネタでは、年末公開ながら同じ2000年1月公開で一世を風靡したリティク・ローシャンのデビュー作「Kaho Naa…Pyaar Hai(言って…愛してるって)」のヒット・ナンバルを使用(実際には1999年秋から大ブレイク)。