Golmaal(2006)#273
「Golmaal(ごまかし)」★★★
ゴールマール
製作:シュリー・アシュタヴィナヤク、シネ・ヴィジョン、K・セラ・セラ/監督:ローヒト・シェッティー/脚本:ニーラージ・ヴォーラ/撮影:アシーム・バジャージ/作詞:ヴィシャール・ダドラーニー、クマール/音楽:ヴィシャール-シェーカル/振付:ガネーシュ・アチャルヤー/背景音楽:サヌーン・チョードリー/衣装デザイン:アンナ・スィン、サンボ/美術監督:ナレンドラ・ラフリカル/アクション:ジャイ・スィン・ニジャル/VFX:プライムフォーカス/編集:スティーブン・ベルナルド
出演:アジャイ・デーヴガン、アルシャード・ワールシー、トゥシャール・カプール、シャルマン・ジョーシー、パレーシュ・ラーワル、スシュミター・ムカルジー、リミー・セーン、ムケーシュ・ティワリ、ラージェーシュ・ヒルジー、マノージ・ジョーシー、サンジャイ・ミシュラー
公開日:2006年7月14日(日本未公開)
STORY
万年医大生のゴーパル(アジャイ)、マドゥー(アルシャード)、ラッキー(トゥシャール)、ラクシュマン(シャルマン)らのボンクラ4人組は大学寮を追い出されてしまう。そこで目の不自由な老夫婦が住む館に孫のサミールを偽って入り込み・・・。
Revie-U
4人組のボンクラ映画ブームに火をつけたバカ映画(おバカでなく)が本作。
なにしろ、4人乗りのカスタムバイク(後輪が縦列2輪)からしてバカ度たっぷり。
オープニング・タイトルバックでアジャイ・デーヴガンが2台併走するバイクのシートの上に直立しているのは、彼のデビュー作「Phool Aur Kaante(花と棘)」(1991)における初登場シーンの復刻(もっとスピードを出しての走行し、その上、180度の<股割>まで披露!)。
と云うのも「Phool Aur Kaante」で助監督を務めていたのが、本作の監督ローヒト・シェッティーその人だから。アジャイとの友情記念と云うところであろう。
ボンクラ学生の主役に30代半ばのアジャイが、というのもすでにギャグ(10年居残り!)。
アジャイの凄いところは、本作のようなバカ映画をこなす一方で本作と同じ年にシェイクスピアの「オセロ」を題材にした重厚な「Omkara」(2006)に主演しているところ。この幅の広さが、さすがボリウッド・スター。
「Mujhe Kucch Kehna Hai(私に何か言わせて)」(2001)のトゥシャール・カプールがグンガー(聾唖)役なのは、デビュー当初からのヒーロー路線がまるで火が付かず、アクシャイ・クマール×アジャイ主演「Insaan(人として)」(2005)でアッキーとアジャイの格闘シーンで止めに入ったところ、<金的>にヒット。乱闘シーン中、悶絶していたのがウケたのだろう。
ボンクラ4人組の中にあって良心的なキャラクターなのが、愛国映画「Rang De Basanti(浅黄色に染めて)」(2006)のシャルマン・ジョーシー。それだけに本シリーズから外れ、現代恋愛事情を描いた「Life in a…Metro(大都会)」(2007)などにシフトし、「3 Idiots」3バカに乾杯!(2009)へキャリア・アップ(とは云うものの、4バカ映画「Dhol(乱れ打ち)」にも出演)。
ヒロインは、年間トップ3ヒット「Dhoom(騒乱)」(2004)で売り出したはずのリミー・セーン。
しかしながら、ヒロイン女優としては早々にスポイルされ、続編「Dhoom:2」(2006)ではお義理で1シーン客演という扱い。
本作でもヒステリックな面ばかり目立ち、やはりどこかトゲがあるのが不人氣の原因だろう。
サポーティングは、サンジャイ・ダットの大ファンで黒のクルターに身を包み一見コワモテながら、からきし弱腰というヴァスーリー・バーイ(兄貴)に「Aap Mujhe Achche Lagne Lage(君は僕を好きになる)」(2002)のムケーシュ・ティワリ。不快指数200%の悪役から、アジャイ共演作「Apaharan」(2005)あたりから温情役にシフト。この後、すっかりアジャイ組となって本作シリーズや佳作「Sunday」(2008)等に出演。コメディでは「One Two Three」(2008)が見物。
学長役に「Bhool Bhulaiyaa(迷宮)」(2007)のマノージ・ジョーシー。
珍妙な愚連隊の兄貴役に、川谷拓三似のサンジャイ・ミシュラー。
一見弱そうなコブラ拳法使い役に「Kaho Naa…Pyaar Hai(言って…愛してるって)」(2000)でリティク・ローシャンの友人役を演じたラージェーシュ・ヒルジーを配役。
元ネタは、プリヤダルシャン監督のマラヤーラム作品「Kakkakuyil」(2001)で、そのドタバタぶりは米「ワンダとダイヤと優しい奴ら」とのこと。
マラヤーラム作品を自前でヒンディー・リメイクしているプリヤダルシャンとしては悔しかったのか、さっそくマラヤーラム映画「In Harihar Nagar」(1990)をリメイクしボンクラ4人組「Dhol(乱れ打ち)」(2007)を監督。原版は自作でないところが臆面もないプリヤダルシャンらしい。
もっとも、親戚になりすまして一家の心を摑む詐欺師が最後に秘密を暴かれて…というのは、ヒンディー映画でもひとつの定石となっていて、終盤、ポイントとなる宝箱の中に思い出の品が詰まっているなどサンジャイ・ダット主演「Khoobusrat(見目美しき)」(1999)を思わせる(プリヤダルシャンのマラヤーラム作品自体、しばしばヒンディー映画を下敷きにしていたりする)。