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Dostana(1980)#182

2011.01.27
オススメ度 =陳腐 ★★=退屈 ★★★=平均点 ★★★★=面白い! ★★★★★=お気に入り!!

Dostana(1980)「Dostana(友情)」 ★★★★
ドースタナ

製作:ヤシュ・ジョハール/共同製作:ヒールー・ジョハール/監督:ラージ・コースラー/脚本:サリーム-ジャーヴェード/撮影:故ナリマン・イラーニー/作詞:アナン(=アーナンド)・バクシー/音楽:ラクシュミーカーント-ピャーレーラール/振付:マノーハル・ナイドゥー/特殊効果:ゴルダーンバーイ、ダーヤーバーイ/美術:ラーム・イェデーカル/アクション:ヴィール・デーヴガン、スリンデール、カサム、グルミート・スィン/編集:ワマン・ボースレー

出演:アミターブ・バッチャン、シャトルガン・スィナー、ズィーナト・アマン、プレーム・チョープラー、アムリーシュ・ブリー、ヘレン、プラーン、ジャギルダール、サジャン、イフティカル、K・N・スィン、トリローク・カプール、ルビー・マイェール、アビマンユー・シャルマー
客演:パインタル
助演:ジャグディーシュ・ラージ、スディル、マック・モーハン、シャラート・サクセーナ、モーハン・シェッティー、ユーヌス・パルヴェーズ、ゴーガ・カプール、スダー・チョープラー

公開日:1980年10月17日(年間2位/日本未公開)

STORY
同窓生のヴィジャイ(アミターブ)は敏腕刑事、ラヴィ(シャトルガン)は豪腕弁護士、職種に私情を挟まず、彼らの友情は長きに渡って続いていた。美しいシータル(ズィーナト)を互いに愛すまでは・・・。

Revie-U *真相に触れています。
カラン・ジョハールが製作したアビシェーク・バッチャン×ジョン・エイブラハム主演Dostana(友情)」(2008)のリメイク原版と思われたのが本作。継承されているのは、男男女の配役とタイトルのみ。
本作はカランの亡き父ヤシュ・ジョハール製作の代表作のひとつで、カランは父製作アミターブ・バッチャン主演「Agneepath(火の路)」(1990)をアビシェーク主演でリメイクを企画、と一時伝えられていたが、やはり名前のみ継承のオリジナル脚本となりそうだ。

主演はボリウッドの帝王アミターブ・バッチャン、親友役のシャトルガン・スィナーDabangg(大胆不敵)」(2010)のヒロイン、ソナークシー・スィナーの父にしてヒンディー映画スター初の内閣大臣経験者。野性的な雰囲氣を漂わし、身長も足の長さもアミターブと互角。どこかワルっぽい風合いを持つため、本作のように敵役へとまわりながらストーリーを締める風格を持つ。

ヒロインはミス・アジア・パシフィック1970から映画界入りしたズィーナト・アマン
UCLA留学で仕込んだフラワー・チルドレン的キャラクターが一世を風靡した「Hare Rama Hare Krishna」(1971)が決定打となり、70年代の人氣女優に。旧Don(1978)はじめアミターブとの共演作も多い。野性的なセックス・アピールを放ち、本作ではグリーンのビキニ姿が実にソー・ホット。

一応、ベースは刑事アクションとなっていて、パンタロン・スタイルのサファリ・ジャケットに身を包み、拳銃片手に走るアミターブのアクション・シーンはエレキギターとトランペットを強調したグループ・サウンズ的バックスコアからして「太陽にほえろ!」を見るよう。

話の本筋は、刑事ヴィジャイと弁護士ラヴィの友情が若きシータルとの恋に引き裂かれる葛藤にある。
出会いもデートに誘うのも、名ブランド、カチンスのスーツに身を包みフォード・ムスタングのオープンカーを乗り回すC.I.D(犯罪特捜部)のスマートなヴィジャイの方。
一方、ラヴィは初めて訪ねて来たシータルが建築雑誌を手に「こんなバングラーに住んでみたい」と漏らしたひと言ですっかりその氣となり、さっそくバングラーを発注してしまう先走りタイプ(ちなみに、バングラーは日本風に言えば「バンガロー」になるがキャンプ場にあるような「掘っ立て小屋」でなく(苦笑)、豪邸のこと。語源はベンガル風の住宅)。
そのくせ口説くのは奥手で、すでに恋仲となっているヴィジャイに<委託>するのだった。

見せ場はヴィジャイが容疑者を取り調べ中に殺してしまったとする裁判。
情報屋トニーからの知らせで、密輸シンジケートの仲間をようやく逮捕するも、留置場に潜入した一味が取り調べ直後に殺害、ヴィジャイに濡れ衣を着せたのだった。
ところが、ヴィジャイを弁護しようとする弁護士はひとりもおらず、困り果てたシータルがラヴィの事務所を訪ねる。そして、ラヴィは報酬の代わりにシータルの「夜伽」を要求。ヴィジャイの無罪獲得には代えられず、彼女はそれを承諾。しかし、裁判ではラヴィが証人喚問を次々とボイコットし、果たして宿敵となった親友の有罪へ仕向けるのか…と実にスリリング。

サポーティングは、ヴィジャイが標的とする密輸シンジケートのボス、ダガー役に定番プレーム・チョープラー
ダガーの右腕に「インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」アムリーシュ・プリー
ダガーの情婦シルビア役に、サルマーン・カーンの第2母ヘレン。元祖キャバレー・クイーンとして知られる彼女だが、本作ではアイテム・ナンバルはなし。
ヴィジャイを尾行する男に、まだ悪役一本槍のシャラート・サクセーナ
ヴィジャイに内通する情報屋トニー役に「Don」の名バイプレーヤー、プラーン。本作でも障害を負った息子を養う「泣かせ」役となっている。
ヴィジャイを追求する検事に「Don」などダンディな警官役を定番とするイフティカルを配役。

本作の脚本はSholay」炎(1975)、「Don」などのヒットメーカーで知られる脚本家デュオ、サリーム-ジャーヴェード
サリームはサルマーン・カーンの父、ジャーヴェードDil Chahta Hai(心が望んでる)」(2001)やDON(2006)の監督にして俳優業に入れ込んでいるファルハーン・アクタルの父。
ところが、サリーム-ジャーヴェードは本作の数年後にコンビを解消。
一説によれば、ジャーヴェードが再婚した女優シャバーナ・アーズミーが要因とも伝えられるが(あるいはヘレン?)、その真相は藪の中。
現在に至るも深い遺恨を残したままで、大御所作詞家として君臨するジャーヴェード・アクタルはサルマーン主演作にはひとつとして詞を提供しておらず(唯一の例外は米「Marigold」)、Yun Hota Toh Kya Hota(もし起きたら、何が起きるか)」(2006)でも9.11で生き別れる兄弟がサリームとジャーヴェードになっているばかりか、ファルハーンが監督したリメイク版「DON」のオープニング・クレジットでは「サリーム/ジャーヴェード」のコンビ名が横開きのドアで離ればなれとなるなど、もはや「別れ」の象徴となっている。

ところが昨年、サルマーンとファルハーンが15分ほど「会見」したとか。
先走ってアクシャイ・クマール主演で「Tees Maar Khan(勇ましき大法螺野郎)」(2010)を監督したファラー・カーンシャー・ルク・カーンの諍いもここに来て雪解けムードにあり、こちらも積年の蟠(わだかま)りを水に流して欲しいところ。
本作の終盤、行き違いを悟ったラヴィが詫びの電話を入れた時のヴィジャイが答える何氣ない台詞が耳に残る。
「ケー・セー、ヤール(元氣かい、友よ)」

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