Ram Jaane(1995)#161
Ram Jaane(神のみぞ知る) 01.12.23 ★★★
ラーム・ジャーネー
製作:プラヴェーシュ・C・メーヘラー/監督:ラジーヴ・メーヘラー/原案・脚本・台詞:ヴィネイ・シュクラー/撮影:S・パップー/詞:アナン(=アーナンド)・バクシー/音楽:アヌー・マリック/背景音楽:シャーム-スリンデル/振付:ニメーシュ・バット/アクション:モーハン・バッガード/美術:ニティーシュ・ローイ/編集:M・S・シンディー/助監督:シュリーカーント・シャルマー
出演:シャー・ルク・カーン、ジュヒー・チャーウラー、ヴィヴェーク・ムシュラン、パンカジ・カプール、ティヌー・アナン(=アーナンド)、グルシャン・グローヴァル、プニート・イサル
助演:デーヴェン・ヴァルマー、アムリット・パル、アルン・バリー
公開日:1995年11月30日(年間トップ7ヒット!/日本未公開)
STORY
札付きのギャングとして育った孤児のラーム・ジャーネー(シャー・ルク)が刑務所から出所すると、幼なじみのムルリー(ヴィヴェーク)が出迎える。彼は孤児院を開いていて、やはり幼なじみのベラ(ジュヒー)と親しい。しかし、ラーム・ジャーネーが彼女に惚れてしまったことから、孤児院がギャング絡みで運営困難に追いやられる。ギャングたちから孤児院を守ったラーム・ジャーネーだが、裁判により死刑が言い渡され・・・。
Revie-U *結末に触れています。
なんとシャー・ルク・カーンが死刑囚に! 彼演じるラーム・ジャーネーは、赤ん坊にしてゴミ捨て場に置き去りにされた孤児(みなしご)。長じて札付きのストリート・チルドレンになるが、ある時、寺院を守る聖者に自分の名前を尋ねたところ、返って来たのが「ラーム・ジャーネー(神のみぞ知る)」。
名は体を表す、と言うが、これが彼の運命となった。
アンダーワールドのボス、サミール・サンワーラー(ティヌー・アナン)を手助けして、ギャングとなったラーム・ジャーネーは、宿敵インスペクター・チョウター(プニート・イサル)に再び逮捕される。やがて刑務所より出所、彼を出迎えたのが幼なじみのムルリーであった。子供の頃、チョウターに逮捕された時にラーム・ジャーネーは彼をかばったために逃げ遅れて捕まったのだった。
そのムルリーは、寺院の隣で孤児院「アプネ・ガル(我が家)」を運営している。彼のもとに親しげに現れるのが、やはり幼なじみのベラ。彼女を見初めたラーム・ジャーネーの想いは、遥かセーシェルへ飛んでしまう!
本作のシャー・ルクは、トップスター入り後、久々の悪役(更に早口に)。そのためか、ベラにネッキングする仕草も妙にリアルだったり、いつものシャー・ルクとはちょっと違う。
しかし、シャー・ルクが絞首刑を宣告されてしまうとは、驚きである。明らかにマサーラー映画としてはマイナス要因であるからして、最後の最後までドンデン返しがあるかと思いきや、なんとそのまま終わってしまうのだ! 本作と「ダンサー・イン・ザ・ダーク」(2000=デンマーク)との関係は不明であるが・・・。
このショッキングさで年間トップ7ヒットをキープしたのだろうが、演出のキレとしては今ひとつ。
ヒロインは、シャー・ルクと盟友のジュヒー・チャーウラー。ふたりのコンビ作としては第3作目にあたる。
サブヒーロー、ムルリーに扮するはヴィヴェーク・ムシュラン。人の良さそうな甘いフェイスながら、やはりシャー・ルクと比べると存在感が弱く、作品の足を引っ張るのが否めない。その後も「Uljhan」(2001)などC級街道に留まっている。
サポーティングには、「ボンベイ」Bombay(1994)でヒンドゥー極右リーダーを演じていたティヌー・アナン(=アーナンド)、メイクに凝りまくるグルシャン・グローヴァル、「デザート・フォース」デザート・フォース(1997)のプニート・イシャールなどなど。いつものジョニー・リーヴァルが不在なだけに、今ひとつ物足りない印象であった。
年間トップ7入りと健闘、まずまずのヒットとなったが、シャー・ルク、ジュヒーの主演作ではそれぞれトップ10圏外に落ち着いた。
ラーム・ジャーネー。
*追記 2011,01,06
本作の元ネタは、香港ノワール「英雄正伝」(1986)、大本はジェームズ・キャグニー主演のギャング映画「汚れた顔の天使」(1938=米)とのこと。
この時期、サンジャイ・ダット主演で香港「男たちの挽歌」英雄本色(1986)を翻案した「Aatish」(1994)が制作されたため、それを受けての企画と思われる。
>プニート・イサル
リティク・ローシャン主演「Krrish」(2006)でプリヤンカー・チョープラーが訪れるサマー・キャンプのリーダーや「Bunty Aur Babli(バンティとバブリー)」(2005)でラーニー・ムカルジーの父親役にして、デビュー作「Coolie(クーリー)」(1983)のファイト・シーンでアミターブ・バッチャンを骨折させた「伝説」を持つ。
劇中、ラーム・ジャーネーらが映画館で観ているのはミトゥン・チャクラワルティー主演「Jaal(陰謀)」(1986)。本作と同じユナイテッド・プロダクション制作、レーカー、ジーテンドラ(トゥシャール・カプールの父)、タヌージャー(カジョールの母)と錚々(そうそう)たる顔ぶれが揃っている。
本作でラーム・ジャーネーがベラと想いを重ねるのがマンダキーニー。彼女の看板である滝壺シーンが用意されているのもツボ。
ユナイテッド作品のシャー・ルク主演作では本作とまるきり傾向が異なるライトなシャー・ルク「Chamatkar(奇跡)」(1992)も押さえておきたい。
>しかし、シャー・ルクが絞首刑を宣告されてしまうとは
少しも悪びれずに死刑台に連れてゆかれるラーム・ジャーネーが自分を慕う少年孤児たちの前だけは惨めに命乞いをしてみせるスケッチが胸を打つ。が、それを劇場で観ている虞犯少年にとっては結局、極悪ヒーローに見えてしまう…。
ラーム・ジャーネー。