Safari(1999)#160
「Safari」 01.04.16 ★★★☆
製作・原案・脚本・監督:ジョーティン・ゴーエール/脚本:サリーム・アガー/台詞:ムスターク・ジャリリー/撮影:チャマン・K・バジョー/音楽:シャーム-モーハン/詞:ラーニー・マリック/美術:ディリープ・スィン/振付:ナイミーシュ・ブラフムバット、ジャイ・ボーラデー、オスカル/アクション:マヘンドラ・ヴェルマー/編集:オームカル・バークリー
出演:サンジャイ・ダット、ジュヒー・チャーウラー、スレーシュ・オベローイ、モーニーシュ・ベーへル、タヌージャー、アヴタール・ギル、アーシーシュ・ヴィダヤールティー、ラーザ・ムラード、シャラート・サクセーナ、スディール
助演:プラモード・カプール、サンジャイ・ゴーラディア、ラーケーシュ・スリワースタ、ジャヤー・マートゥル、アシュヴィン・コォーシャル、アジャイ・チョードリー、ナスィーム・カーン、マヘーシュ・ラージ、ガンシャーム、ベビー・フーマー
STORY
財閥の娘アンジェリー(ジュヒー)は、工場建設プロジェクトの視察のためアラビア海に浮かぶ孤島マンジーラへ飛ぶ。しかし、ゲリラの殺人現場を目撃! 島に住むキャプテン・キシャン(サンジャイ)に救出されるが、サファリの過酷な自然の脅威を受ける。彼女に恋したキシャンはムンバイーへ向かうも、マンジーラ開発に固執する彼女の母親から島の自然保護かアンジェリーかの選択を迫られ・・・。
Revie-U
なんとオープニングタイトルは、「少年ケニア」&「ジャングル大帝」を思わすアニメーション(15秒ほどだが)。
サンジャイ・ダットの役どころは、まさしく「クロコダイル・ダンディー」。ワニ(ゴム製)やゴリラ(着ぐるみ)と素手で格闘! 複葉機やキシャンのボートなどベニヤやコンパネによる日曜大工以下のレベル。雄大なサファリのフライト・シーンは、ストックショットによるもの。
というと、エド・ウッド並みの極めてチープな映画に思えるかも知れないが、氣絶する時に回る星はCG! ゲリラとの追跡、先住民との交流、底なし沼からの脱出、レトロチックなフィルミーソング、愛の歓喜とテンポよい演出に痛く愛着を感じてしまう。さらに、バブリーな自然開発にも訴える壮大なテーマが含まれているとは!
見どころは、ジュヒー・チャーウラーの愛らしさに尽きる。大きく見開いた眼(まなこ)とナイスバディ。ジャンガルでの南国衣装にも大いにそそられる。嗚呼、至福のひととき!
かと思えば、「スバラシキニチヨウビ、カクシトリデノサンアクニン、ワルイヤスホドヨクネムル、スガタサンシロウ、ゾク・・・」などと、ビジネス一辺倒の母親タヌージャー(カジョールの母親)が突如電話口で日本語(!?)を話すシーンにびっくり! 「ネムル」がちゃんと芝居と対応してることからも監督の確信犯ぶりは判るものの、字幕が入るわけでないからインドの観客にとっては無意味な遊びなのだが。
父親役のスレーシュ・オベローイは、ジュリアン・サンズ出演「マニカの不思議な旅」(1989=仏)、アヌパム・ケールと「プライド〜運命の瞬間」(1998=東映)にも出演。名優だけに暖かみのある芝居で本作にチャームをもたらしている。
それにしても、サンジャイの靴下は本当に臭そう!!!
*追記 2011,01,05
オープニングでジュヒーとタヌージャーがそれぞれ電話で話ながら邸宅内を歩いているのは、インドでもモバイル(携帯電話)サービスが始まったあたりの撮影で、この時期、同様のスケッチがしばしば見られた(大きさは、まだ子機ほど)。
都会から田舎にやって来た令嬢が現地の案内人に恋をして、後半は男が都会に馴染めず、というのは「Raja Hindustani」(1996)及びその大本「Jab Jab Phool Khile(花が咲く時)」(1965)の系譜。よくあるストーリーだが、思い出の人形(+船)を見てヒロインが懐かしむことからも「JJPK」を意識していることが見て取れる。
父親役スレーシュ・オベローイは、その後、息子のヴィヴェーク・オベローイが「Company」(2002)でデビュー。
アンジェリーに恋慕するビジネスパートナー役が、タヌージャーの姉ヌータンの息子モーニーシュ・ベーへル。「Duplicate(瓜二つ)」(1998)に続き、ジュヒーに振られる役となる。
ジャンガルに潜むゲリラのリーダーに、まだ悪役時代のシャラート・サクセーナ。カメラを手に「ヤシカ、オートマチック・フォーカス、パワー・ズーム、ジャパニーズ・カメラ」と説明台詞があり、クロサワ・ネタからして監督のジョーティンはかなりの親日家と思われる。
そのジョーティン・ゴーエルは、本作でキャリアが止まっていたものの、ここに来て念願のCGアニメ「Bird Idol」(2010)を監督。それもワーナー・ブラザースとのジョイント・プロジェクトというから驚き。本作のタッチからして、演出家としてアニメ向きだろう。
音楽監督デュオのシャーム-モーハンはあまり聞かぬ名前だが、楽曲はどれも軽快で耳に心地よい。
どうやら、その後、プレイバック・シンガーのサーダナー・サルガムやカヴィター・クリシュナムールティーを起用したモダン・バジャン(ヒンドゥー讃歌)やニューエイジ・ミュージックへ進んだ模様。
ジャンガル・ロケは、立木が湖面から姿を見せるケーララ州ペリヤル国立公園(ペリヤル・ワイルドライフ・サンクチュアリ)と、「Guru」(2007)や「Raavan」(2010)と同じ滝の名所アティラームパリー(アティラッピリー)・フォールズで敢行。
>それにしても、サンジャイの靴下は本当に臭そう!!!
氣絶したジュヒーの目を覚ますのに使われるのが、この靴下(笑)。