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Kismat Konnection(2008)#157

2011.01.03
オススメ度 =陳腐 ★★=退屈 ★★★=平均点 ★★★★=面白い! ★★★★★=お気に入り!!
Kismat Konnection

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「Kismat Konnection(運命のコネクション)」
★★★☆
キスマット・コネクション

製作:ラーメーシュ・S・タウラーニー/監督:アズィーズ・ミルザー/共同監督:ハルーン・ミルザー/原案:ラヒラー・ミルザー/脚本:ヴィバー・スィン、サイ・カビール/台詞:サンジャイ・チェル、アーシーシュ・カリア/撮影:ビノード・プラダーン/作詞:サイード・クァードリー、シャビール・アフメド/音楽:プリータム、サジード-ワジード/美術:キシャン・R・グプタ、スカンター・パニグラフィー/振付:アフメド・カーン/VFX:プライム・フォーカス、レッド・チリースVFX/編集:アミターブ・シュクラー

出演:シャーヒド・カプール、ヴィッディヤー・バーラン、ヴィシャール・マルホートラ、オーム・プーリー、ヒマーニー・シヴプーリー、ハイデール・アリー、シャーナーク・アナン(=アーナンド)、カルナイル・ボーラー、アミット・ヴァルマー、ディンプル・シャルマー、

特別出演:ジュヒー・チャーウラー、シャー・ルク・カーン(ナレーター)、ボーマン・イラーニー

公開日:2008年7月18日(日本未公開)

STORY
学生時代に人氣者だったラージ(シャーヒド)は、卒業後、建築家となるが1件も注文が入らない不運男に転落。しかも街角で出会ったプリヤー(ヴィッディヤー)は彼に災難をもたらす疫病神女。運に見放されたラージは、謎の占い師ハッシーナー・バーノー・ジャーン(ジュヒー)を訪ね、実はプリヤーこそ幸運をもたらす女神だと知る。そこで出世のためにプリヤーに近づくが・・・。

Revie-U
シャー・ルク・カーン主演ラジュー出世する」Raju Ban Gaya Gentleman(1992)の監督アズィーズ・ミルザーの第5作。
本作で初めてシャー・ルク以外の主演作となるが、ストーリーは初心に返って?「ラジュー~」を下敷きにしている。

「ラジュー~」は、ラージ・カプール主演Shree 420(詐欺師)」(1955)の翻案で、ダージリンから大都会ボンベイにやって来たエンジニア(建築技師)志望のラージューが下町で出会ったレーヌーとはじめは対立しながらも恋に落ち、苦労してゼネコン入社するも社長令嬢の示したスノッブなショッピング・コンプレックス建設に対して「ミドルクラスが望んでいるのは学校や病院」とチャチャを入れる。

本作ではすでに主人公のラージは大都会トロントに住んでいるが、職業は建築家。ヒロインとなるプリヤーとは、はじめ疫病神とも思えるくらい犬猿の仲。建築家として初の大仕事を手に入れるも、プリヤーの務めるコミュニティセンターを潰すことになる・・・と、大枠は「ラジュー~」から継承している。

Kismat Konnection

(c) Tips Films, 2008.

主演は、若手スターNo.1のシャーヒド・カプール。この時期、36 China Town(2006)などで共演していたカリーナー・カプールと別れることとなり、まさに運命の岐路にあった。
ダンス・シーンで見せるステップのキレの良さとは裏腹に、甘い童顔がボリウッドスターとして押しの弱さに見えなくもないという微妙さ。共演回数の多いアイーシャー・タキアアムリター・ラーオなど少女キャラとは相性がいいが、共演相手によっては幼く見えてしまい好みに分かれるところか。

ヒロインは、Heyy Babyy(2007)のヴィッディヤー・バーラン。顔のアウトラインもシャーヒドに近く、まずまずのケミストリーを見せる(ややお姉さん?)。
出会いの場面では「幸運の女神」ならぬ「疫病神」と描かれてるため、ラージが500ドルと出世のチャンスがかかったビリヤードの決定的瞬間にキュー(スティック)をわざとブレさせ、相当に感じが悪い(苦笑)。

しかし、これにより結局、大当たり。初めての出会いも、急いでるラージのダッチ・チャージャーと彼女のニュー・ミニが出会い頭でニアミス。口論している最中にラージが狙っていたパーキング・スペースが埋まってしまうものの、そこに駐めていたら工事のペンキがこぼれて被害を受けていた…という結果としての「幸運の女神」なのだった。

さて、「ラジュー~」における主人公の導き手ジャイ(ナーナー・パーテーカル)に相当するのが、謎の占い師ハッシーナー・バーノー・ジャーン。
扮するは、「ラジュー~」のヒロイン、レーヌーを演じていたジュヒー・チャーウラー
幻想的な「魔女の館」に住んでいる設定が佳い(ただし、演出はハズし氣味)。

サポーティングは、ラージのクライアントにKurbaan(犠牲)」(2009)やDabangg(大胆不敵)」(2010)のオーム・プーリー。アポイントメントを思い出す時、心臓発作と勘違いさせる芝居が可笑しい。
その妻で、後半、プリヤーに目をかけるのが、ヒマーニー・シヴプーリーKuch Kuch Hota Hai」何かが起きてる(1998)の寮母など2000年前後はサブキャラクターで出ずっぱりだった彼女もボリウッドの海外志向に伴いメジャー作品から姿が減ったのが残念。本作ではパンジャービーらしいすっとぼけた天然さと情愛深さがにじみ出ていて、一服の清涼剤となる。
ラージの相棒役には、シャーヒドのデビュー作「Ishq Vishk(愛に恋)」(2003)で共にデビューしたヴィシャール・マルホートラNaqaab(仮面)」(2007)では損な役回りであったが、本作ではシャーヒドを支え続ける。
また、「ラジュー〜」の面接シーンに出ていた端役俳優ディンヤール・ティランダーズが、役員会議でしっかり起用されていたのが嬉しい(ノンクレジット)。

音楽監督は、俊英プリータム。クラブ・ナンバル「aai pappi」やエンディング・ナンバル「move your body now」などのアッパー・サウンドから「is his love」などのメローなナンバルまでそつなくまとめているのがさすが。
毛色を変えたバングラー・ナンバル「soniye ve」が、Wanted(2009)のゲスト・コンポーザーのサジード-ワジード
振付は、シャーヒドのデビュー作「Ishq Vishk」から「Milenge Milenge(また会おう)」(2010)まで6作を手がけ、彼主演「Fool N Fainal」(2007)を監督、「Paathshaala」(2010)を製作するシャーヒドの幼馴染みアフメド・カーン
自身も「Mr.India」Mr.インディア(1987)の子役出身であり、話が合うのだろう。

アズィーズとシャー・ルクはPhir Bhi Dil Hai Hindustani(それでも心はインド人)」(2000)で製作会社ドリームズ・アンリミテッドを共同で設立しただけでなく、シャー・ルクのオフ・スクリーンもドキュメントした「Inner / Outer World」で家族同然に過ごす姿が映し出されていた(シャー・ルクの子供たちをあやすところなど、ほとんど祖父と孫)。
Chalte Chalte(ゆきゆきて)」(2003)の後、アズィーズの妻が他界し、ようやくその悲傷から立ち直ってメガホンをとったのが本作。そのためか、CMディレクターでシャー・ルクのエアテルやヒュンダンCFを手がけたアズィーズの息子ハルーンが共同監督として参加している。

Kismat Konnection

(c) Tips Films, 2008.

アズィーズの演出はテクニックを駆使して畳みかけるようなタイプではなくどこかユルさが残り、監督としては凡庸な部類に入る。
それだけにちょっとしたスケッチで優しさがにじみ出て、愛すべき効果が生まれる。
特に本作では、プリヤーがオンタリオ湖畔でいつも出会う顔見知り(ボーマン・イラーニー)に癒される運びが最愛の妻を亡くした悲しみから立ち上がったアズィーズ本人に重なる。

なお、シャー・ルク・カーンがナレーターを務めている。

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