Home » DVDレビュー

Ajnabee(2001)#015

2001.11.10
オススメ度 =陳腐 ★★=退屈 ★★★=平均点 ★★★★=面白い! ★★★★★=お気に入り!!

Ajnabee(2001)

ティラキタのDVD商品を見る

Ajnabee(見知らぬ隣人)/2001 01.11.10 ★★★

 

 

製作:ヴィジャイ・ガラーニー/監督:アッバース-ムスターン/原案・脚本:ニーラージ・ヴォーラ/脚本:ロビン・バット、サンジーウ・ドゥッガル/台詞・脚本:シュヤーム・ゴーエル/撮影:ラージャン・キナギー/音楽:アヌー・マリック/詞:サミール/背景音楽:スリンデール・ソーディー/振付:サロージ・カーン、レカー・チンニー・プラカーシュ、ガネーシュ・アチャルヤー、ラージュー・カーン/美術:R・ヴェルマン

出演:アクシャイ・クマール、ボビー・デーオール、カリーナー・カプール、ビパーシャ・バスー、ジョニー・リーヴァル、ナレンドラ・ベディ、シーラー・シャルマー

ゲスト出演:シャラート・サクセーナ、デリープ・タヒル

公開日:9月21日

STORY

ポロ・コーチのラージ(ボビー)は、ふとした縁で知りあったプリィヤ(カリーナー)と結婚。スイスへ転職し、甘い新婚生活が始まる。隣人は、魅惑的なソニア(ビパーシャー)を妻に持つヴィッキー(アクシャイ)。ちょっとアブナイ香りのする彼らと親しくなり、揃ってモリーシャスへ出かける。果たして、ヴィッキーはラージに妻の交換を提案。一度は激怒したラージだが、ある日、酔った彼はそれを承諾してしまう。しかし、そのツケは、ソニアの殺人容疑という形で返って来る・・・。

Revie-U *真相に触れています。

Chori Chori Chupke Chupke(そっとこっそり)(2001)ではメロドラマに徹していたアッバース-ムスターンが、得意のサスペンスへ復帰! 前作では代理母に取り組んだ彼らが選んだ今回の題材は、交換殺人。それも夫婦コーカン絡みと、ヒンドゥー社会ではまたまた際どい。

第1幕は「CCCC」同様、基本的に幸福な日々が描かれるが、オープニングの掴みはアッバース-ムスターンらしいB級テイストでニヤリとさせられる。

ヒンドゥー・カーリー寺院、ムスリーム廟、教会と、どこへ行ってもプリィヤはラージにつけ回される。遂にラージは、彼女の家まで押しかけて来る。が、これは彼女が彼の傘を間違えて持ち帰ったため(失笑)。

ストーカーかと思って猟銃まで持ち出していたプリィヤの父は、彼がポロのコーチだと知るとラージをすっかり気に入ってしまう。プリィヤも恋心を抱き、ふたりはめでたく結婚となる。

ラージもそうだが、プリィヤからして宗教の違いに関係なく祈りまくっているのは疑問にも思える。しかし、ヒンドゥーの人々は基本的に神への祈りそのものが好きなようだ。DDLJ(1995)でも、カジョールが旅先の教会がステキだからとわざわざ祈りに行くエピソードがあり、多神教であるヒンドゥーが他宗教の聖堂で祈るシーンはわりと見られる。

そんなラージとプリィヤの隣人となるのが、ヴィクラームとソニアのどこか怪しげな夫婦。

ソニアは何かとラージの気を引こうし、ヴィッキーはラージの運転するクルマにバイクで激突。ムチウチの仮病で保険金をせしめてしまう。これはまだ可愛い方で、彼の真の目的は妻の殺害にある。

真相を足早に明かすと、ヴィッキーが一緒に暮していたのは実は踊り子のニータであった。彼女と別れ難くなったヴィッキーは、100万ドルの保険金を掛けた妻ソニアの殺害を計画。そして、隣家に越して来たラージが身代わり犯人に選ばれたわけだ。

ヴィッキーは酔いどれたラージへ再びスわッピングを持ちかけて部屋に運び込み、呼び寄せた本妻ソニアを空港へ迎えに行ってはレストランでアリバイ工作を用意。家に戻って、ソニアをバスルームで殺害。この殺されたソニアこそ、ラージがモリーシャスで一瞬見かけてヴィッキーから女友達だと言われた女であった・・・。

ここでは詳しく検証しないが、どれもちょっと考えればボロが出るお粗末なトリックばかり。裁判所から逃亡したままのラージは真相を掴んだからと言って、ヴィッキーらを追って航海中の豪華客船へ乗り込んでしまうし、トリックも犯人であるヴィクラームが終盤にすべて語り明かすのも在り来たりだ。

ストーリー自体はハリウッドの翻案であるが、ニーラージ・ヴォーラロビン・バットらにしては今ひとつ手緩い仕上がりだ。アッバース-ムスターンの演出を含めた彼らの能力からすると、もっと斬新な展開が可能だっただけに陳腐さが惜しまれる。

主役のボビー・デーオールは、年間トップ2ヒットとなったSoldier(ソルジャー)(1998)に続くアッバース-ムスターン作品。Gupt(秘密)(1998)など冤罪物が多い気がするボビーは、今回も裁判所を抜け出し自身の力で無罪を証明しようとする・・・はずが、エンディングではインドへそのまま帰国してしまってめでたしめでたし?? しかし前半、ヴィッキーの家を訪ねた折り、誰何の声に誰も反応しないことから2階まで上がって着替え中のソニア(ニータ)を目撃してしまったりして、内心は隣の奥さんに興味津々なところが小さなサスペンスを生んでいる。

アクシャイ・クマールは、Khiladi
420
(偽闘士)
(2000)の敵役デーヴを思わせるアブナイ役柄。バイクに乗ったり、サンドバギーを愛車に選ぶところなど、ワイルドな本人の私生活と重なるようなイメージである。犯人として冴え渡ったところを見せるものの、トリックが大したことないのが玉に瑕。

ヒロインのカリーナー・カプールは、ますます女盛りとなり実に艶っぽい。ミュージカル・ナンバー「mohabbat
naam hai kiska」
で踊る仕草もソー・キュート。今回は大した見せ場はないが、この分だと姉カリシュマーを追い越す日も近いだろう。

注目は、これがデビュー作のビパーシャー・バス。野性的なフェロモンを撒き散らす彼女に迫られたら、ボビーならずとも鼻の下が伸びそう。演技もひどくなく、2001年度の新人の中では上々の部類。すでに南インド映画界からの出演依頼も舞い込んでいる。

ヒットメーカーのアヌー・マリックが音楽を担当。終盤手前、豪華客船のパーティールームでアクシャイとビパーシャーが踊るミュージカル・ナンバル「mehbooba
mehbooba」
は、ボビー&カリーナーの踊りも入っていたオンエア用のプロモーション・クリップとは別バージョンである。同じ画像のリフレインが諄かったクリップ版に比べ、さすがに本編はすっきりまとまっている。

スリンデール・ソーディーが手掛ける、どこかで聴いたような背景音楽も重圧感があってよい。

サポーティングには、シャラート・サクセーナが保険金の調査員、デリープ・タヒルが陽気なバカ笑いを見せる父親役で登場。
隣人役のジョニー・リーヴァルは、ただでさえデカイ目玉を遠視用メガネでさらにデカくして笑わせてくれる。本作ではたっぷりと彼のギャグ・シーンがあることから、アッバース-ムスターンの2人が「CCCC」では狙いでギャグを控えていたことが判る。

関連する記事

タグ: , , , , , ,