Qayamat Se Qayamat Tak(1988)#135
Qayamat Se Qayamat Tak(破滅から破滅へ) 02.08.22 ★★★
カヤマト・セー・カヤマト・タク
製作・ストーリー・脚本・台詞:ナーシル・フセイン/監督:マンスール・カーン/撮影:キラン・デーオハンス/詞:マジローフ・スルターンプリー/音楽:アナン(=アーナンド)-ミリンド(=ミリンド)/美術:シブ/アクション:アフムド・バーイ/振付:スレーシュ・バット/編集:ザファール・スルターン
出演:アーミル・カーン、ジュヒー・チャーウラー、ゴーガ・カプール、ダリープ・タヒル、アロークナート、ラージ・ズトシー、リーマー・ラグー、アルン・マトゥール、シーフナーズ、ブリージ・ゴーパル、ヴィジュー・コーテー、アルジュン、アーシャー・シャルマー、マスタル・イムラーン
ゲスト出演:アジート・ヴァチャニー
公開日:1988年4月29日(年間トップ5ヒット!/日本未公開)
Filmfare Awards 監督賞、作品賞、脚本賞、音楽監督賞、撮影賞、男性プレイバック・シンガー賞(ウディット・ナラヤン)受賞
STORY
結婚の約束を反故にされた妹が自殺したことからダンラージ・スィン(ダリープ)は、相手の結婚式へ乗り込んで恋人だった花婿を射殺! やがて刑期を終えて出所するが、息子のラージ(アーミル)が宿敵ランディール・スィン(ゴーガ)の娘と知りながらラーシュミー(ジュヒー)と恋に落ちてしまう・・・。
Revie-U
「ラガーン」Lagaan(2001)でNational Film Awardsを受賞したアーミル・カーンの(再)デビュー作!
製作・脚本のナーシル・フセインはアーミルの叔父、監督のマンスール・カーンは従兄弟にあたる。そのためか、アーミル自身もナーシルの脚本助手としてクレジットされている。アーミルは妻レーナーと駆け落ちしたというから、その実体験が加味されているのかもしれない。
デビュー当時24歳のアーミルは、さすがに青臭い(なんと短パン!!)。その心もとなさが女性層に受けた?!
乗馬シーンでさっそうと登場するヒロイン、ジュヒー・チャーウラーもミス・インディア1984の後、ポツポツと映画出演していたが本作のヒットでようやくブレイク。「ラジュー出世する」Raju Ban Gaya Gentleman(1992)や「Darr(恐怖)」(1993)の頃どころか、ボリューム・アップした以外は現在と変わらぬ愛らしさなのがスゴイ。
アーミルとジュヒーは「Ishq(恋)」(1997)において、公衆の面前でキス・シーンをこなしていたが、本作でも初々しいキス・シーンが見られ、これが年間5位の動員力となった???
ストーリーは、ボリウッド定番ラヴ・ストーリーの「ロミオとジュリエット」物。かの「ボビー」Bobby(1974)もそうであるが、本作はそれに相応しいエンディング。両タークル家が対立するきっかけとなった悲劇から幕開けし、まさにタイトル通り「Qayamat Se Qayamat Tak(破滅から破滅へ)」となる。
マンソールはこの手の話が好きなのか、「Josh(激情)」(2000)でも「ウエストサイド物語」(1961=米)を下敷きに再度チャレンジしているが、ハッピーエンディングになっている。
翌年リリースされたスーラージ・R・バルジャーツヤーの「Maine Pyar Kiya(私は愛を知った)」(1989)も同様のストーリーであるからして、本作のヒットが刺激になっているとみえる。
ちなみに、駆け落ちしたアーミルが小屋を建ててヒロインと暮らすエピソードは、インドラ・クマールの「Dil(心)」(1991)にも継承されている。
話の展開は、この頃のボリウッド映画らしくのんびりとした物だが、十数年ぶりに出所したダンラージがラージからの手紙を手にカレッジのパーティーを訪ねて彼を探すシーンで、観客も「まだ見ぬ」アーミルを一緒になって探すことになる演出がニクイ。
ラージの父親ダンラージは、ほとんど主役ともいえるキーパーソン。扮するダリープ・タヒルも演技に力が入る。
その父親ジャスワントに、お馴染みアローク・ナート。
ラージの弟シャーム役は、「Lagaan」でイスマイェルを演じていたラージ・ズトシー。「Grahan(日蝕)」(2000)や「Hum To Mohbbat Karega(恋しようよ)」(2000)など頻繁に登場するまで10年越しのマイナー役者だ。
対する宿敵ランディール・シンに、ゴーガ・カプール。大柄低音強面の父親像は、後のアムリーシュ・プーリーの原型に思える。
ラーシュミーの母カルマーには、「Vaastav(現実)」(1999)のリーマー。まだまだ母親役としては印象薄い。ダリープとアローク、そしてリーマーの3人は、それぞれ若いのだが、本筋では全員老け役となっている。
オープニング・エピソードのみ登場し、両家の因縁を作るラータン・スィン役が「カランとアルジュン」Karan Arjun(1994)の悪役アルジュン。まだスリムなため恋愛物に出ても可笑しくない青年に見えるが、やはり重用されず、すぐダンラージに射殺されてしまう。
その他、第3幕でランディールに傭われるワニ目の殺し屋は、「Yeh Raaste Hain Pyaar Ke(愛の道標)」(2001)などでしばしば登場するブリージ・ゴーパル。マン・スィン役ヴィジュー・コーテーのドカベン顔も見た顔だ。
また弁護士役で「Aankhen(目)」(2002)のアジート・ヴァチャニーがちらりとゲスト出演している。
音楽のアナン-ミリンは、Film Fare Award音楽監督賞を受賞。ウディット・ナラヤンが男性プレイバック・シンガー賞を受賞した「papa kehte hain」は、アーミル登場シーンのオールデイズ・バージョン、エンディングのサッド・バージョンともによい。ただし、ウディットのヴォーカルは本氣なのか冗談なのか時よりかなり調子っ外れに聞こえる。
アルカー・ヤーグニクも本作のヒットを契機にボンベイへ移り、本格的にプレイバック・シンガーの道を歩むなど、本作はアーミル、ジュヒー、ウディット、アルカーらがボリウッドのトップ・アーティストとなるきっかけとなった。
*追記 2010,12,12
俳優賞こそ逃したものの、Filmfare Awards6冠受賞とかなりのセンセーションを巻き起こしたことが解る。
オープニングの序章シーンにて、幼年時代のラージ役となっているのが、アーミルが製作を買って出たデビュー作「Jaane Tu..Ya Jaane Na(知ってるの? 知らないの?)」(2008)のイムラーン・カーン。台詞もなく、子役というより、ただその場に連れて来られた子供といった印象。