Love Ke Liye Kuch Bhi Karega(2001)#126
Love Ke Liye Kuch Bhi Karega(愛のために何もかも) 01.08.16 ★★★★
製作:ニティン・マンモーハン、ラーム・ゴーパル・ヴァルマー/監督:E・ニワス/原案・脚本・台詞:ラージニーシュ・タークル/音楽:ヴィシャール・バラドワージ/作詞:アッバース・タイヤワーラー/撮影:ヴェンカト・R・プラサード/振付:アーメド・カーン/美術:R・ヴェルマン/アクション:アラン・アミン/編集:バノーダヤー
出演:サイーフ・アリー・カーン、ファルディーン・カーン、アーフターブ・シヴダサーニー、ソーナーリー・ベンドレー、トゥインクル・カンナー、ダリープ・タヒル、ジョニー・リーヴァル、シャラード・サクセーナ、スニーハル
ナレーション:パレーシュ・ラーワル
公開日:2001年6月29日(日本未公開)
STORY
社長令嬢サプナー(ソーナーリー)と結婚したプラカーシュ(サイーフ)は、何かにつけて義父(ダリープ)に疎まれていた。一方、大家の娘アンジェリー(トゥインクル)とつきあいつつもコネも金もなく就職にあぶれているラーホール(ファラディーン)は居候のハリー(アーフターブ)と組んで強盗を企む。地下駐車場でふたりに襲われたプラカーシュは、ふと思いつきサプナーの偽装誘拐を依頼する・・・。
Revie-U
「Shool(槍)」(1999)で一躍注目されたニューウェーヴの新星E・ニワスの監督第2作。オープニングから名優パレーシュ・ラーワルの饒舌なナレーションが新鮮味を感じさせる。もっとも3時間べったりというのではなく、登場人物が出そろうまでのお楽しみでしかないが。
前作と打って変わって、ニワスの演出はライト・タッチ。
プロットは例によって某アメリカ映画のイタダキだが、それ以外はすべてアレンジがなされ、特にふたつの物語が絡み合う流れも不自然さを感じさせない。コーエン兄弟のオフビート感に対し、ニワスは軽快なステップを見せる。ラストもひねってあり、主人公たちがサプナーを「救出」に向かわせハッピーエンドと言うのも佳い。
切れ過ぎる風貌のサイーフ・アリー・カーンは、オーソドックスな恋愛物よりこの手のクセのあるキャラクターの方が似合っているようだ。
ソーナーリー・ベンドレーは着実に伸びていて、ヒマに任せてあらゆる習い事をこなす有閑コマダムに華を感与えている。
先輩格ながらセカンド・ヒロインに甘んじるトゥインクル・カンナーだが、一時に比べるとダンスも上達。
意外だったのは、「Jungle(ジャングル)」(2000)でゲリラに誘拐されたウルミラー・マートーンドカルを待ち続け暖かみあるヒーローを演じたファルディーン・カーン。なんと1年足らずで脂肪過多に!(コカインのせい?)
弟分ハリー役の中堅若手ナンバー1のアフターブ・シヴダサーニーも腹がたるみ気味。「Mast(陶酔)」(1999)の頃の初々しさはどこ吹く風。余計なお世話だが、ボリウッドのトップスターたちに追随出来るのか心配になってしまう。
下町のボスに扮するジョニー・リーヴァルの映画談義に加え、「DDLJ」(1995)はじめ随所にボリウッド映画ネタが登場。ラーム・ゴーパル・ヴァルマーらニューウェーヴ派の映画オタクぶりが感じられる。
またダリープ・タヒルの中小企業っぽさ、シャラード・サクセーナの警官の藪睨みな感じも愉しい。
興行面では全国的には苦戦ながら、ムンバイーでは83%〜72%と好調であった。
*追記 2010.12.02
>E・ニワス
ことさら名の売れた監督とは言い難いが、「My Name is Anthony Gonsalves」(2008)が佳い出来。アーフターブ主演「De Taali」(2008)を撮った後はフィルモグラフィが途絶えているのが残念。
>ソーナーリー・ベンドレー
本作の出演後、アビシェーク・バッチャン主演「Bas Itna Sa Khwaab Hai…(夢はほんのこれだけ…)」(2001)の監督ゴールディー・ベールと結婚。
「たとえ明日が来なくても」Kal Ho Naa Ho(2003)の特別出演でプリヤーを演じた後、「Munna Bhai MBBS(医学博士ムンナー兄貴)」(2003)のリメイク「Shankar Dada MBBS(医学博士シャンカル兄貴)」(2004=テルグ)でのヒロインが引退作に。
>トゥインクル・カンナー
本作の公開数ヶ月前にアクシャイ・クマールと結婚。きれいさっぱりと女優業から引退し、インテリア・デザイナーに転向。2009年の映画賞などに夫婦で姿を見せている。
>ビシャール・バラドワージ
本作の出世組はサイーフと音楽を手がけたビシャール・バラドワージ。本作の後、ホラー仕立ての子供映画「Makdee(黒魔術)」(2002)で念願の映画監督に。しばらくはインディーズ・ヒンディー映画だったが、シェイクスピアの「オセロ」を翻案した「Omkara」(2006)でメジャーに昇格、シャーヒド・カプール主演「Kaminey(イカれた野郎)」(2009)がトップ9ヒット! プリヤンカー・チョープラー主演の最新監督作「Saat Khoon Maaf(七人殺しを許して)」(2011)が待ち遠しい。
>アッバース・タイヤワーラー
そして、もうひとり出世頭が作詞を手がけた脚本家のアッバース・タイヤワーラー。アーミル・カーンのプロデュースで「Jaane Tu…Ya Jaane Na(知ってるの? 知らないの?)」(2008)で監督デビュー。ジョン・エイブラハム主演で監督第2作「Jhootha Hi Sahi」(2010)が本年10月に公開されたばかり。