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Khiladi 420(2000)#115

2010.11.20
オススメ度 =陳腐 ★★=退屈 ★★★=平均点 ★★★★=面白い! ★★★★★=お気に入り!!

Khiladi 420Khiladi 420(偽闘士) 01.10.10 ★★★★
キラリ・チャール・ソー・ビース

製作:ケシュー/脚本・監督:ニーラージ・ヴォーラ/音楽:サンジーヴ・ダルシャン/詞:サミール

出演:アクシャイ・クマール、マヒマー・チョウドリー、アロークナート、ムケーシュ・リシ、サヤージ・シンディー、グルシャン・グローバル、ラザック・カーン、アンタラー・マリ、スダンシュー・パーンディー

カナダの空港に降り立った実業家バーラドワジー(アローク)と娘のリトゥー(マヒマー)の難儀を助けた富豪のデーヴ(アクシャイ)は、ボンベイに渡ってバーラドワジーの共同経営者となる。日々信頼を得るデーヴだが、彼が詐欺師と知ったバーラドワジーは逆に殺されてしまう。デーヴは傷心のリトゥーに取り入り、彼女と婚約する。やがて、リトゥーもデーヴの正体に気付き、格闘の末、リトゥーはデーヴを討ち倒すが、彼女の前にデーヴの双子の弟、アナン(アクシャイ)が現れ・・・。

Revie-U

アクシャイ・クマールのヒット・シリーズ最新作にして、コメディアン、ニーラージ・ヴォーラの初監督作。脚本も彼が担当しており、得意のマシンガントークのような、氣の利いたハイテンポな展開が楽しめる。もっとも、ギャグ爆発というわけでなく、あくまでアクシャイを活かしたスケールのあるストーリーラインを守ったプロっぽい仕事ぶりである(自身の出演はなし)。クライマックスもローラーブレードで逃走する車を追うチェイスにパイロSFXをデジタル合成で仕掛けるなど遊び心も満載!

後半、登場したてのアナン(=アーナンド)はどこかデーヴを引き摺っている。これはニーラージの意図だろう。詐欺師のデーヴにさんざん苦しめられながらもリトゥーはアナンが双子の弟だと2分で信じてしまうが、観客はまだ疑問に思っていて、サスペンスが引き伸ばされる。

アナンを受け入れるのは、デーヴの殺害現場を目撃しショック状態にあったリトゥーの幼い妹リアーが、デーヴとアナンの違いを耳たぶで見分けてからとなる。シーンはすぐにリアーの誕生日となり、ショックで笑顔を失った彼女をピエロに扮したアナンが必死で笑わそうとする。子供嫌いだったデーヴとは大違い。そこへデーヴの兄貴分たちがタカリに現れ、ピエロめいた手腕で彼らを撃退するに及び、一気にアナンへ感情移入が強まる仕掛けとなっている。

さらにニーラージは、リトゥーがアナンに好意を抱くミュージカル・ナンバルを1曲設けた後、早々にアナンをカナダへ帰してしまう。後を追い、アナンがコーチするキャンプ講習会に参加したリトゥーが熱気球で連れ去られての複葉機スタントに雪崩れ込み、エモーションは頂点に達する。

これまたインドへ戻ったふたりを待っているのが、リトゥーの友人ラーホール(=ラーフル)。警官である彼は常々、デーヴを胡散臭く思い、バーラドワジーの死因に疑問を抱いていた。リアーのノートからデーヴが詐欺師である証拠が発見され、彼はアナンを逮捕しようとするわけだ。その後もアナンがデーヴの双子の弟と主張できないプロットになっており、まさに結末までどう転ぶか判らない。

少々粗っぽいところもあるが、それが常道のマサーラーにあって、無理を承知の二役物をうまくまとめたニーラージの才能は一級品と言えよう。

主役のアクシャイは、まさに看板スター。前半のデーヴを優雅さと邪悪さを手のひらを返すように鮮やかに演じ分けたかと思えば、後半、双子の弟アナンで誠実さを滲みだすなど芝居も伸びている(どちらかと言うとデーヴのインパクトが強い)。もちろん、アクション・シーンもスタントの吹き替えなし! 熱気球を追うため、アトラクション用とは言え複葉機の翼の上に乗って追いかける空中スタントは圧巻だ!!!

ヒロイン、マヒマー・チョウドリーは、久々のファースト・ヒロイン。Dil Kya Kare(心迷って)(1999)でもそうだったが、マヒマーの絶叫は真に迫っており、絶叫女優とならねばよいが。

バーラドワジー役のアロークナートが前半で死んでしまうのは、一種「サイコ」(1960)のジャネット・リー的扱い。

デーヴの兄貴分らに扮するグルシャン・グローバルサヤージ・シンディー、彼らに脅されるラザック・カーンなど、脇の出番が少ないのが残念だが、一人ムケーシュ・リシが熱氣球から落ちたり、カースタントで爆死するなどがんばりを見せている。

*追記 2002.08.19
デーヴの情婦モニカ役は、Company(カンパニー)(2002)でヴィヴェーク・オベローイの相手役アンタラー・マリ

*追記 2006.02.20
ネガティヴ反転&着色したオープニング・タイトルバックは、いささかレトロなセンスだと思っていたら、アミターブ・バッチャン主演、チャンドラ・バロート監督作Don(ドン)(1978)へのオマージュであった。

*追記 2010.11.20
やはり圧巻は、アクシャイのWロール。天使と悪魔を演じ分けられるのはアッキーだけなのは、「8X10 Tasveer(写真)」(2009)でも再認識。

タイトルにある「420」はインド刑法420条から「詐欺罪」のスラング。転じて詐欺師、偽者などの意味に。

>ニーラージ・ヴォーラ
コメディアンとしての出演は減って、もっぱら脚本家・台詞家として活躍。監督作としては アルジュン・ラームパール主演「Familywala(家人)」(2011)、ゴーヴィンダ主演「Run Bhola Run」(2011)が待機中。ただ、アルジュン主演「We Are Family」(2010)がメガ・フロップだったので心配だが…。

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