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Garam Masala(2005)#114

2010.11.19
オススメ度 =陳腐 ★★=退屈 ★★★=平均点 ★★★★=面白い! ★★★★★=お気に入り!!
Garam Masala

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Garam Masala(ガラム・マサラ) 06.11.29 ★★★

製作:ガネーシュ・ジャイン、アショーク・カトワーニー/原案・脚本・監督:プリヤダルシャン/台詞:ニーラージ・ヴォーラ/撮影:ティッルー・S/作詞:サミール/音楽:プリータム/振付:ポニー・ヴェルマー、プラサンナ、ガネーシュ・アチャルヤー/美術:サブー・シリル/編集:N・ゴーパラクリシュナン、アルン・クマール/衣装:カルパナ・ジャイン、アキ・ニルーラー、ロッキー・S、コーマル・シャハーニ

出演:アクシャイ・クマール、ジョン・エイブラハム、パレーシュ・ラーワル、リミー・セーン、ネーハー・ドゥピア、アスラーニー、ラージパル・ヤーダウ、マノージ・ジョーシー、ヴィジュー・キョーテー、ニトゥー・チャンドラ、ナルギス・バゲーリー、ディジー・ボーパンナ

公開日:2005年11月2日(年間トップ7/日本未公開)

STORY
マック(アッキー)サム(ジョン)は<ガラムマサラ・マガジン>のカメラマン。一応、マックが師匠ということになるが、サムが借用写真で写真家賞を受賞し、立場が逆転! 一路アメリカへ。仕事を失ったマックは、マンボ(パレーシュ)のフラットに使用人となって住み込むものの、3人のスッチーをとっかえひっかえ大騒ぎ・・・。

Revie-U
昨年、プリヤダルシャンがもう1本の自作Kyon Ki…(なぜならば…)(2005)と日を同じくして放ったスラップスティック小品。
主演はアクシャイ・クマールジョン・エイブラハム。アッキーがMr.Hotで、ジョンがMr.Coolと言われれば、これで期待しない方が無理というもの!

実際、婚約指輪を一旦は彼女たちの薬指に差し込んで口説き落とすや、すぐさま言いくるめて抜き取ってゆく芸当は、ボリウッド広しと言えどアッキーの右に出る者はいないだろう!

笑わせぶりも堂に入っていて、さすがにFilmfare Awardsコメディロール受賞は頷ける。

さて、そのスッチー3人組、ニトゥー・チャンドラナルギス・バゲーリーディジー・ボーパンナは、いずれも新人。容姿はそこそこながら、芝居もダンスもからきしダメという今どきの新人平均点に留まる。

期待のジョンは、これが初のコメディであったが、アッキーとのコンビも良好。しかしながら、ダンスとなるとあまりに重々しく、リズムを追いかけるのに忙しそうなのが珠に瑕(というより、かなり唖然とさせられる…)。

アッキーのフィアンセ役が「Kyon Ki…」のセカンド・ヒロイン、リミー・セーン。ながら顔見せ程度の出番とあって、これでは新人以下の扱い?? 「Kyon Ki…」と込みの契約であろうか??

また、「Kyon Ki..」に続きアスラーニーマノージ・ジョーシーらすっかりプリヤダルシャン組となって脇を固め、彼らは続く「Chup Chup Ke(こっそりと)(2006)にも登用されている。 マノージは、ふたりの上司ながら「Kyon Ki…」と同じく小銭に動く、というのが笑いを誘う。

雑誌社の受付嬢役で、ネーハー・ドゥピアがゲスト出演。ふたりが同時にデートに誘うので、あのQayamat(破滅)(2003)で破滅的な芝居でヒロインを演じたネーハが今回も?と思って氣を落としかけたが、ゲスト出演と知ってひと安心。

しかし、新人3人に比べると「chori chori」ヘーマー・サルデーサーイースクヴィンダール・スィン)で見せるステップは意外に軽やか、ジョンの醜態も手伝ってなかなか踊れるように見えるから不思議だ。

ウェットな台詞まわしも、かなり向上。「Chup Chupke」ではサブ・リードとしても好印象と、向上しているのはなんだか嬉しい(苦笑)。

本作は、プリヤダルシャンお得意の自前リメイク。ヒンディー化にあたって、Yeh Tera Ghar Yeh Mera Ghar(君の家、僕の家)(2001)同様、ニーラージ・ヴォーラが台詞を担当。

もっとも、スッチー3人組の入れ替わりスケッチが延々続くため、「YTGYMG」や「Kyon Ki…」と比べるとその演出は、やや空振り。第2幕の長〜い室内劇は、まるでTVのシリアル・コメディを見るようだ。

本年前半、スマッシュヒットとなった「Malamaal Weekly」(2006)などもそうだが、プリヤダルシャンはデーヴィッド・ダワン以上の全編スラップスティックを作る一方、「Kyon Ki…」、「Chup Chupke」のようにしっとりとした情感を誘う哀調も巧みで、どちらかの作風だけ観ていると好みの分かれることになる。

プリヤダルシャンに欠かせない名優パレーシュ・ラーワールが立場逆転の使用人役に招かれているものの、大した芝居を用意されていないのが残念。かえって、ふたりの友人役ラージパル・ヤーダウの方が印象に残る。

「Dhoom(騒乱)」(2004)/「Dhoom:2」(2006)のプリータム・チャクラワルティーによるフィルミーソングは、どれも粒ぞろい。ボリウッドで流行したアラビック調のサウンド・アレンジが大いに耳を楽しませてくれる。

注目なのは、Jaan-E-Mann(愛しい人よ)(2006)のサブー・シリルによる美術だろう。Main Hoon Na(私がいるから)(2004)のファンタジックさをさらにエスカレート!
まさにアートと呼ぶに相応しい。

サミールの詞が心に響くナンバル「falak dekhun(空を見よ)」ソーヌー・ニガム)中のセット・デザインには目を見張らせられる。いやはや、ボリウッドも3人の踊れない女優をカバーするために美術が重用される時代になろうとは!

*追記 2007.09.09

3人のスッチーと繰り広げる後半は、デーヴ・アナン(アーナンド)×ヴィジャヤンティマーラー主演「Duniya(世界)(1968)の中でジョニー・ウォーカルによる幕間スケッチのスープアップ。

海辺で強盗に襲われた美女3名を助けたことから(実はヤシの実が落下して強盗を直撃!)、ジョニーのアパートメントを訪ねて来た美女たちを奥の小部屋に押し込み、入れ替わり立ち替わりナンバル「thhi
meri laxmi」(モハムド・ラフィ)
へ突入。もちろん、指輪を抜き取る描写もあり!

ついでに言えば、「空を見よ、地を見よ」と歌う詩的なナンバル「falak dekhun」(作詞:サミール ソーヌー・ニガム)の歌詞は、「Bunty Aur Babki(バンティーとバブリー)(2005)の「chup chupke」(作詞:グルザール/ソーヌー・ニガム)からインスパイア。同じ<空>でも「アスマーン(ペルシア語源)」から「ファラーク(アラビア語源)」に変換し、単なるパクリに留まらず、品格のあるナンバルに仕上がっているところが流石、ボリウッドのトップ・アーティスト!

曲名の方は、「Chup Chupke(こっそりと)(2006)とそのままタイトルに昇格!(ダルメンドル主演のは「chupke chupke」!)

その分、本作のキャッチコピー「Mr.Hot Mr.Cool」は、マイナー映画「Mr.Hot Mr.Kool」(2007)に譲渡。

もうひとつ、「Bunty Aur Babli」のアイテム・ナンバル「kajra re」アリーシャー・チノイ)終了後、アミット・ジーが投げ掛ける「マダ〜ム、アイ・アム・オンリー・ユア・アダム!」は、さっそく「Shaadi
No.1(結婚No.1)
(2005/11月公開)でもサミールがナンバル「hello madam」にて流用している。

*追記 2010.11.19
>リミー・セーン
「Dhoom(騒乱)」(2004)のヒロインとして世を騒がせるかに見えたものの、「Kyon Ki…(なぜならば…)」(2005)、「Phir Hera Pheri(またイカサマ)」(2006)、「Golmaal(ごまかし)」(2006)など立て続けに出演しながら急降下。「Dhoom:2」(2006)ではワン・シーンのみの扱いに。「Welcome」(2007)のアニース・バズミー監督作「Thank You」(2011)でアッキーと久々に再共演。もっともヒロインはソーナム・カプール

>プリータム
洗練されたサウンドは、ボリウッド・バブルに相応しい作りで、どれも秀逸。アラビックなアレンジは、この時期、ボリウッド・フィルミーソングでちょっと流行となったが、特徴がある分、長くは続かず。

Garam Masala

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