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Hamara Dil Aapke Paas Hai(2000)#109

2010.11.14
オススメ度 =陳腐 ★★=退屈 ★★★=平均点 ★★★★=面白い! ★★★★★=お気に入り!!

Hamara Dil Aapke Paas HaiHamara Dil Aaapke Paas Hai(私の心はあなたのもの) 01.03.30UP/02.02.15Re ★★★

ハマラ・ディル・アープケー・パース・ヘー

製作:ボニー・カプール/監督:サティーシュ・コゥーシク/撮影:カビール・ラール/音楽:サンジーヴ・ダルシャン/詞:ジャーヴェード・アクタル

出演:アニル・カプール、アイシュワリヤー・ラーイ、ソーナーリー・ベンドレー、プール・ラージクマール、サティーシュ・コゥーシク、ムケーシュ・リシ、ジョニー・リーヴァル、ラザック・カーン、ヒマーニー・シヴプーリー、スミター・ジャイカル、ムスターク・カーン、ターナーズ・カリーム

特別出演:アマル・スィン

公開日:2000年8月25日

Screen Awards:助演女優賞(ソーナーリー・ベンドレー)

STORY
白昼堂々、通りで起きた殺傷事件を証言したプリティー(アイシュ)は、そのためにレヱプされてしまう。ヒンドゥー司祭の家族からも疎まれ、孤立した彼女をアヴィナース(アニル)が保護し、やがてふたりに愛が芽生える。しかし、彼の前にアメリカ帰りのクシー(ソーナーリー)が現れ・・・。

Revie-U
前半、アンダーワールド(マフィア)による殺傷事件を証言したヒロインがレヱプされ、婦人保護団体の女性たちが押し寄せる。一種の社会派作品なのか、と思い氣や、ヒーローのアニル・カプールが一氣にアンダーワールドのドンを殴り倒して解決! 後半は、不意に登場したソーナーリー・ベンドレーがふたりの仲をかき回す、という脈略のない展開。しかも、パンジャーブ人、ベンガル人、南インド系などの全く異質な隣人たちの幕間喜劇がインサートされるのだ(これは、ヒンディーの「paas」に「近所」という意味も含まれるからか???)。

それにしても、人氣絶頂のアイシュワリヤー・ラーイがレヱプされる(設定のみ)汚れ役を受けるとは!!!!!!
劇中、彼女はひたすら受難続き。ヒンドゥー司祭の父親、隣人のすべて(!!!!)、友人、彼の母親から散々なじられセカンド・レヱプを受けたかと思えば、後半は無邪気なクシーにジェラシーを感じ続け、ようやくアヴィナースの愛を受け入れられるようになったかと思えば、彼の母親から圧力がかかり家を出るはめに・・・。

これほど惨めに耐えるアイシュはかつて見たことがない。おしん!? そう、これは女性客の同情心にアピールする典型的なマサーラームービーなのであった。

もっとも、子供たちとピクニックへ行くミュージカル・ナンバルやグランド・キャニオン及びカナダ・ロケのナンバルできらびやかに踊るアイシュは、さすがに美の権化と言えよう(タミル映画「ジーンズ」Jeans 公開に合わせて日本側が取材した時期に撮影されていたのが本作。「アサヒグラフ」及び「ジーンズ」パンフに金色のサリー姿で踊る彼女が載っていた)。

アニルは本作でも、ひたすら正統派ヒーローを演じている。小学生の姉弟を育てる男ヤモメかと思えば、実は仲違いする父が捨てた愛人の遺児を引き取って我が子として育てていたりする(それを知ったプリティーが彼女に慕う子供たちに「今日からお母さんと呼んで」と言い放ってしまうのだ)。反面、幼なじみのクシーが現れるや、仕事そっちのけで彼女と遊びまくったりする無神経なところもあるのも、少年のような純朴さを兼ね備えるアニルのキャラクターらしい。

クシーに扮するミス・ボンベイのソーナーリー・ベンドレーは、受難続きで全体に地味なトーンのプリーティーに比べ、快活なキャラクターであるためか、時にミス・ワールドのアイシュをしのぐ華を見せる。さらに、アヴィナースとプリティーを結ばせるなど、ゲスト・キャラクターとして花を持たせる愛らしさからScreen Awards 助演女優賞を受賞している。

サポーティングは、公衆の目前で平然と殺人を犯すアンダーワールドのドン役にムケーシュ・リシ。厳めしいカブキ者として登場するも、ヒーロー・アニルに殴り飛ばされっ放しというのがいかにもムケーシュ。

ヒロインをレヱプした上、臆面もなく彼女の親友バブリーやプリティーの父親に結婚を申し込む不敵なナマステ男を演じるのが、プール・ラージクマール。主役作品Uljhan(2001)が控えていたせいか、一応ビリングはメインキャスト扱いになっている。

本筋と異質なコメディを展開する隣人たちに、夢遊病と称して夜這いに出る南インド系夫アヌパム・ケールと同じくキョンシー夢遊病で迎え撃つ妻ヒマーニー・シヴプーリー、勝手に祭日を祝うベンガル人のジョニー・リーヴァルなどおかしな連中ばかり。またBadal(雲)(2000)でジョニーとハネムーン・カップルを組んだウパサナー・スィンの姿も見られる。

その中で異彩を放つ(?!)のが、Z級芸人だったラザック・カーン。晴れて、天下のアイシュワリヤーと共演!? しかしながら、尻に刺さったロケット花火で打ち上げられたり、ホーリーの色水をかけられたり、ともっぱら受難役を担当。

その他、不埒な警官役にムスターク・カーン、プリティーの親友バブリー役にKaho Naa…Pyaar Hai(言って・・・愛してるって)(2000)でアミーシャー・パテールの友人役としてニュージーランドのパートに出演していたターナーズ・カリーム。アヴィナースの母親役にスミター・ジャイカル。監督のサティーシュ・コゥーシク自身も、アヴィナースの秘書ジョジョ役で出演。

ストーリーの破綻などお構いなしにひたすら弟アニルのヒロイズムに徹するエンターテイメントは、佳くも悪くもボニー・カプールの特色。その点を踏まえつつ、何不自由ない幸福な富豪の家族に思われた主人公の一家が実は疑似家族だったと判ってゆく構成や、レヱプされた女性側が社会的に避難されがちなインド社会にあって、被害者である女性側の心理を描こうとしている点などは評価すべきであろう。

また、出会いの回想シーンで見せる嵐の前の雰囲氣などカビール・ラールの撮影、サンジーヴ・ダルシャンによるリリカルなタイトル・メロディーも佳い。

監督のサティーシュはコメディアン出身。「Roop Ki Rani Choron Ka Raja(美しき女王、盗賊の王者)」(1993)で監督業にも乗り出し、Mujhe Kucch Kehna Hai(私に何か言わせて)(2001)などヒット作も多く手掛けれる。演出はノー・プロブレム。前年のカジョールをヒロインに迎えたHum Aapke Dil Main Rehte Hai(私はあなたの心に住んでいる)(1999)に続くアニル主演作で、スミター、アヌパム、ジョニーらを引き続き起用。スバーシュ・ガイーのヒット作Taal(リズム)(1999)同様のアニルとアイシュ共演作ながら、タイトルが「HADMRH」に似通っていて新鮮味に欠けたのか、グジャラート州でヒットした以外はそこそこの興行成績に留まった。

*追記 2010.11.14

>サティーシュ・コゥーシク
2009年東京国際映画祭にて出演作のアート系「Road,Movie」ロード、ムービー(2010)が上映。砂漠を放浪するメカニック役。映画自体は、米国資本の関係からか米ダウナー系インディーズ・ムービーのテイストで、映画祭の観客からはそれなりに評価を得たようだが、ボリウッドのレベルからすると小粒映画のアベレージというところ。

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