Pardes(1997)#096
Pardes(他国) 01.05.17 ★★★★
監督:スバーシュ・ガイー/音楽:ナディーム-シュラワーン/詞:アナン(=アーナンド)・バクシー
出演:シャー・ルク・カーン、マヒマー・チョウドリー、アムリーシュ・プリー、アローク・ナート、ヒマーニ・シヴプリー、アプルワ・アグニホートリー
公開日:1997年8月8日(年間トップ5ヒット!/日本未公開)
STORY
アメリカで事業に成功したキショーリラール(アムリーシュ)は、インドに住む親友スーラージ・デーヴ(アローク)を訪ね、年頃に育った彼の娘ガンガー(マヒマー)を自分の息子ラジーヴ(アプルワ)の嫁に欲しいと頼む。インド行きに渋るラジーヴの先兵として、キショーリラールを父親代わりに慕うアルジュン(シャー・ルク)がガンガーを訪ねる。やがてインド入りしたラジーヴも彼女のことが気に入り、婚約中にアメリカの生活に慣れてもらおうと彼女を連れて帰国。しかし、他国でガンガーの心を影に日なたに支えるのはアルジュンであった…。
Revie-U
これもまた大ヒットした「DDLJ」(1995)の焼き直し。監督は「Taal(リズム)」(1999)のスバーシュ・ガイー。レンブラント・ライトを好む画作りや北インドの田園風景と都会(アメリカ)との対比、シャー・ルク・カーンが歌手志望、父親コンビにアローク・ナート&アムリーシュ・プリーと、いくつか共通項が見られる。もちろん監督自身、ヒッチコックばりにカメオ出演していて、今回は湖のボート上から堂々のフィルミーソング「do dil milrahe hain」さえ歌ってしまう(トレードマークのテンガロンハットを被っているからすぐ判る)!
さて、本作の魅力はなんと言ってもマヒマー・チョウドリー。これがデビューだが、芯のあるインド娘を好演。アプールワ・アグニホートリーも同じく新人だが、パッとせず。アメリカかぶれした不貞な若者(ということになる)役だから損は損なのだけど。さて、シャー・ルクだが、父親代わりのアムリーシュに恩義を感じてマヒマーへの想いを耐え忍ぶ。ここがポイントですね!
クライマックスは、仲間を引き連れた婚約者がシャー・ルクをリンチ……と、まったく「DDLJ」。ただ、今回はアムリーシュが自分の息子以上に誇らしいシャー・ルクとマヒマーの結婚を祝福するのだ。
本作は、インド独立50周年を記念して作られた。経済開放から怒濤の勢いで雪崩れ込んだ西欧的ライフスタイルへの戸惑いと牧歌的インドへの懐古が感じられる。インドとアメリカへの行き来が唐突なのと、白人キャストが素人なのは玉に瑕。カビール・ラールの撮影はどのシーンも美しく、シネマスコープの映像は至福ですらある。
*追記 2010.11.02
年間トップ5ヒットながら作品的には、すでにスバーシュの演出力破綻が垣間見える。
それでもヒットしたのは、音楽監督デュオ、ナディーム-シュラワーンによる叙情的なフィルミーソングによるところが大きい。
ヒロインのマヒマーは、これがデビュー作。全盛期のスバーシュは新人女優の発掘で知られ、マヒマーもマードゥリー・ディクシトやマニーシャー・コイララにあやかってMの芸名を使用。しかしながら、大成せずゼロ年代早々には影が薄れ、マイナー映画に追いやられ、仲間の出演者全員を殺害するシナリオライター役「The Film」(2005)という酷いオチの作品に出演するなどしていたが、苦節の甲斐あって英国映画「Pusher」(2010)にリード・キャラクターとして出演。