16 Decmember(2002)#020
16 Decmember(ソーラ・デーセンバー)/2002 02.10.04 ★★★★
製作:アルニマー・ローイ/製作代表・美術:アンジャリ・ジョーシー/ストーリー・台詞・脚本・編集・監督:マニ・シャンカル/詞:P・K・ミシュラー/音楽:カールティク・ラージャー
出演:ダニー・デンゾンパ、グルシャン・グローバル、ミリンド・ソーマン、スシャント・スィン、デーピンニター・シャルマー、サジール・プラカーシュ
特別出演:アーディティヤー・ゴーヴィトリカル
公開日:3月29日(上半期12位→年間36位)
STORY
軍の諜報部にいたヴィクラム(ミリンド)は、汚職をしていた上司を射殺し、今はハイテク素行調査を行う私立探偵の身。その彼の前に軍の上官ヴィジャイ(ダニー)が現れ、対テロリストの特殊な任務に駆り出す・・・。
Revie-U
前半は「ミッション:インポッシブル」(1996=米)を彷彿とさせるエージェント・チームの活躍ぶりが見物。後半、ニュージーランドでのミッション中、マイクのテストでヴィクラムが「ビューティフル・・・」と漏らした言葉からヒロイン、エージェント・シーバの恋心が目覚め、ターゲットの女にのめり込んでゆく彼に乙女心が揺れる、という展開も好感が持てる。
主役のミリンド・ソーマンは、アルジュン・ラームパールと肩を並べた人気モデル。デビュー作「Tarkieb(方法)」(2000)ではタッブーと関係を持つ陰気な役どころでパッとしなかったが、本作ではなかなかの好演。ミュージカル・ナンバル「dhooya
dhooya sa」では、自らプレイバックをこなす。新作「Pyar Ki Dhun」(2002)もリリースされるなど、最近乗ってきている。
ヒロイン、シーバ役のデーピンニター・シャルマーはアッサム出身、1998年にミス・インド・ユニヴァースの最終選考、そしてミス・フォトジェニックに輝いた売れっ子モデル。本作がデビュー作となる。スレンダーなボディは、かつてのインド美人の3分の1ほど。
殺陣やガン・ファイトといったアクションの他、NZロケ・ナンバル「dil yeh tera(心はあなたのもの)」では130mのバンジージャンプにも挑戦! ミリンドはすでに経験済みだったが、怖がったデーピンニターを説得するために監督自らダイブしたとか。インドの映画人は命賭けでないとできない(ちなみに、このナンバルのロケ地は「Soldier(ソルジャー)」、「KNPH」と同じ)。
監督のマニ・シャンカルは、本作が初長編。チェンナイでコピーライターからTVディレクターに転進。300本以上の短編映画、ミュージック・ビデオを手掛け、テルグ映画「Manish」(1991)でアーンドラ・プラデーシュ州のゴールデン・ナンディー賞(脚本賞・監督賞)を受賞した俊英。とは言うものの、冒頭の演出・編集はかなりダサイ。
全体にB級テイストだが作品を安心して見られるのは、ダニー・デンゾンパの深みのある芝居と鬼気迫るグルシャン・グローバルの賜物と言えよう。
私立探偵に身を落としたヴィクラムをヘッドハントしに現れたヴィジャイが、雑踏を歩きつつ彼を説得しながら変装してゆき、芝居もまったく別人になってゆくダニーには感嘆させられる。
一方、テロリスト役のグルシャンも凝った変装しまくりで受けて立つ・・・のだが、殺したその場で変装を捨ててはあまり意味がない・・・。
このふたり、1971年の第3次印パ戦争調停(タイトルの「12月16日」はその日を示す)に立ち合った敵同士(30年前のシーンは、ダニーとグルシャンの顔をデジタル修正しているという)。
「このドースト・カーンが生きてる限り、インドには降伏などしない!」と独り気を吐くグルシャンがテロリストと化しボンベイ潰滅を企てる! グルシャンの役名がドースト(友人)というのが皮肉。と同時に、インド人(もしくはムスリムも数多いボリウッド映画人)のパーキスターンに対するアンビバレンツを感じてしまう(もっともマニ・シャンカルは南出身だが)。
サポーティングのエージェント・ヴィクター役には、ラーム・ゴーパル・ヴァルマー作品「Jungle(ジャングル)」(2000)で盗賊のリーダー役を務めたスシャント・スィン。今回はヒゲ面でないものの、薮睨みな面構えは健在。憤死の見せ場が用意されているが、垢抜けない演出のため演技が臭く見えるのが残念だ。
ヴィクラムの弟ラージャーはハッカー少年で、パスワード解読プログラムを自作するほど。これが、クライマックスのおまけになっている。
印パ国境が緊張した時節柄、スマッシュ・ヒットとなり上半期トップ12にランク・イン。第1週が50%ながら、低予算のため回収率は高い。