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Pyaar Impossible!(2010)#082

2010.10.10
オススメ度 =陳腐 ★★=退屈 ★★★=平均点 ★★★★=面白い! ★★★★★=お気に入り!!

Pyaar Impossible!

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「Pyaar Impossible!(恋はインポッシブル!)」 ★★★☆
製作・原案・脚本・台詞:ウダイ・チョープラー/監督:ジュガル・ハンスラージ/撮影監督:サントーシュ・ドゥンディヤイル/作詞:アンヴィター・ダット・グプタン/音楽・背景音楽:サリーム- スレイマン/振付監督:アフメード・カーン/編集:アミターブ・シュクラー/

出演:ウダイ・チョープラー、プリヤンカー・チョープラー、アドヴィカー・ヤーダウ(新人)、ラーフル・ヴォーラー

特別出演:ディノ・モレア、アヌパム・ケール

ストーリー
キモヲタ学生だったアブヘイ(ウダイ)は、カリフォルニアに留学中に憧れていたキャンパス・クイーンのアリーシャー(プリヤンカー)を今も忘れられないまま、プログラマーの父(アヌパム)とどんなOSでも橋渡し出来る新OS<ユニティ>を開発するが、腹黒ITエンジニアシドゥー(ディノ)に盗まれてしまう。その転売先のシンガポールへ向かうと、そこで憧れのアリーシャーに再会。彼女はバツイチの子持ちになっていて…。

Pyaar Impossible!

(c)Yash Raj Films, 2010.

Revie-U
ヤシュ・ラージ・フィルムズの愚弟ウダイ・チョープラーの復帰最新作、即ちウダイ版Rab Ne Bana Di Jodi(神は夫婦を作り賜う)」(2008)と言えるのが本作。
ウダイは映画一族に生まれたことから何か悪い冗談のように21歳で(兄アディティヤよりも早く!)アクシャイ・クマールサイーフ・アリー・カーン主演「Yeh Dillagi(これは冗談)」(1994)をプロデュース。調子づいてMohabbatein(幾つもの愛)」(2000)で俳優デビューした後もサルマーン・カーンを氣取ってヒーロー路線を画策。一旦、「Dhoom(騒乱)」(2004)で三枚目にシフトし新境地を開いたかに見えたものの、Neal ‘N’ Nikki(2005)でまたも二枚目路線に。共演のタニーシャーカジョールの妹)と婚約したのも束の間、ブレイク・アップし、その後はすっかり音沙汰なく、ネット三昧の引きこもり状態が伝えられていた。

再び彼の名前が挙がったのは、兄アディティが8年ぶりに監督復帰作「RNBDJ」をアナウンスしたあたり。ウダイの「Dhoom:3」監督説が流れ、耳を疑ったものだが、結局それが化けたのが本作というわけか。

しかしながら、そのストーリーはアディティが「RNBDJ」で躍起になっているのを横目で見ながら「俺なら…」と思いついたようなダサ男と美女の物語(学生時代の片想いへ再熱はJaan-E-Mannとも言える)。

ストーリー的には、神への信仰と愛から深い感動をもたらすアディティの「RNBDJ」とは異なり、ハリウッド・ラヴコメをこよなく愛す?ウダイらしくライトな仕上がりでノット・バッド。

Pyaar Impossible!

(c)Yash Raj Films, 2010.

さて、本作の成功は、ヒロインにプリヤンカー・チョープラーを得たことだろう。
キャスティング的にウダイとの釣り合いも(ケミストリーでなく)まずまず。これがファルハーン・アクタルの如く不相応にコネの力に言わせてディピカー・パドゥコーンカトリーナー・ケイフを起用していれば「ふざけるな!」となるところ。

プリヤンカーはミス・ワールド2000に輝いたが、それには自分自身でも驚いていたようにアイシュワリヤー・ラーイ・バッチャンのような高嶺の花ではなく、ちょっと身近に居そうなボリウッド女優(笑)。その点ではプリティー・ズィンターに近い立ち位置か。
それだけにWhat’s Your Raashee?(君の星座は何?)」(2009)のような12変化の演じ分けも可能なのだ。

本作でも冒頭のキャンパス・シーンではロングの女子大生、7年後の現時点ではボブのキャリア・パーソン、さらにはウダイに促される形で<キモヲタ>コスプレと、これまた3バージョンを自然体かつ快活に演じて、目を楽しませてくれる。

Pyaar Impossible!

(c)Yash Raj Films, 2010.

さて、日本市場(アキバ)的に話題となってよさそうなのが(笑)、アリーシャーの愛娘タニア役のアドヴィカー・ヤーダウ。なにしろ子役ながら、アイシュ顔! ウダイを奴隷化する様が微笑ましい。その後の出演はまだ未定で、10〜15年後にヒロイン女優としての再デビューが楽しみ?!

監督は、ウダイの幼馴染みで同じく「Mohabbatein」で子役から再デビューを試みたジュガル・ハンスラージ。役者としてさっぱり芽が出ず、フルCGアニメRoadside Romeo(2008)をヤシュ・ラージ・フィルムズ(というかウダイに?)に売り込み、見事、監督デビュー。
今回は氣落ちしていたウダイを慰めているうちに実写劇映画の監督となった模様ながら、その演出は良好。

感心してしまうのは、室内セットの背景グリーンバック処理だろう。明らかにセットな内装の室内と窓外の空氣感がしっかりマッチしていて、現地に設営したオープン・セットと間違えそうになる。これは現地ロケの玄関先とスタジオ・セットのカットバックもよく練られているということで、さすがアニメを監督しただけはある。

ウダイに話を戻すと、黒縁眼鏡のキモヲタ役がハマリ過ぎ!(役名が反してアブヘイ=勇ましい、というのが可笑しい)
今回はかなり自己統制してサルマーンを真似た「脱ぎ」も自粛。彼自身の氣弱で人の良さそうな「素」の部分も透けて見え好感が持てるものの、ウダイのナレーションはまるで<コメンタリー>のように深みが足りず、特にホーム・パーティーの場面で乗り込んで来たディノ・モレアに面が割れないように顔を隠して給仕するやや長めのスケッチともなるとさすがに荷が重く、役者としての精進が望まれる。

Pyaar Impossible!

(c)Yash Raj Films, 2010.

一方、ウダイ作品では「NNN」がそうであったように、本編以上にフィルミー・ソングが粒ぞろい。「Rock On!!」(2008)以降のちょっとしたボリウッド内のロック・ブームに乗る形で、アリーシャーが学生時代にロック・バンドを組んでいた設定となっていて、生きのいいロック・チューンが用意されている。
キャンパス・シーンのファースト・ナンバルalishaでは自然体でノリまくりのプリヤンカーが楽しめる。本作の音楽監督サリーム-スレイマンサリーム・メルチャント自身がサブ・ヴォーカルを担当。
子守奴隷ナンバル10 on 10におけるステージで熱唱するプリヤンカーにかぶる形で入るウダイの妄想演出が秀逸。お遊戯会でのネタバレ・ナンバルek thi ladki(こんな子がいたの)」も胸キュンだ。
また、主題歌pyaar impossibleには、音楽監督デュオ、ヴィシャール-シェーカルヴィシャール・ダドラニーをゲスト・フィーチャルしている。

元々、「25年目のキス」などを狙ったライトな作品なので、終盤の落としどころもこの程度と思っていれば、そこそこ楽しめるはず。

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