Dilwale Dulhaniya Le Jayenge(1995)#012
「シャー・ルク・カーンのDDLJラブゲット作戦」
Dilwale Dulhaniya Le Jayenge 01.03.23UP/01.09.22 Re
製作:ヤシュ・チョープラー/原案・脚本・台詞:監督:アーディティヤー・チョープラー/共同製作・衣装デザイン・プレイバック:パメラー・チョープラー/共同製作:ウダイ・チョープラー/台詞:ジャーヴェード・シッディーキィー/タイトル考案:キロン・ケール/撮影:マンモーハン・スィン/音楽:ジャティン-ラリット/作詞:アナン(アーナンド)・バクシー/振付:サロージ・カーン、ファラー・カーン/アクション:ティヌー・ヴェルマー、アクバル・バクシー/衣装:パメラー・チョープラー、マニーシュ・マルホートラ他/シャー・ルク・カーンの衣装:カラン・ジョハール/美術:シャルミスター・ローイ/編集:ケーシャヴ・ライドゥ
出演:シャー・ルク・カーン、カジョール、アムリーシュ・プリー、ファリーダー・ジャラール、サティーシュ・シャー、アヌパム・ケール、アチャルヤー・サッチデーヴ、プージャー・ルパレール、ラリット・ティワリ、ダムヤンティー・プリー、ヘムラター・ディーパック、パルミート・セティー(新人)、マンディラー・ベディ(新人)、アルジュン・サブローク(新人)、カラン・ジョハール(新人)、アナイター・シュロフ(新人)、パルラヴィー・ヴヤス(新人)、トゥリカー・トリパティー(新人)
公開日:1995年10月20日(年間トップ1、1990年代トップ2ヒット! 800週オーバー・ロングラン・ヒット中)
1998年 東京国際ファンタスティック映画祭上映
1999年9月25日劇場公開
Filmfare Awards:作品賞・監督賞・主演男優賞・主演女優賞・助演女優賞(ファリーダー・ジャラール)・道化賞(アヌパム・ケール)・作詞賞(クマール・サーヌー)・男性プレイバックシンガー賞(ウディット・ナラヤン〜mehndi lagake rakhna)
Screen Awards:作品賞・監督賞・主演男優賞

(c)Yash Raj Films, 1995.
STORY
ロンドンで暮らす厳格なインド人一家に育ったシムラン(カジョール)は卒業旅行中に、C調なトラブルメーカー、ラージ(シャー・ルク)と恋に落ちる。それを知った堅物親父のバールデーウ(アムリーシュ)は娘を結婚させるため、家族を引き連れて強引にインドへ帰国。ラージの花嫁奪回作戦はいかに!?
Revie-U
シャー・ルク・カーンとカジョールを不動のトップスターに押し上げ、今もインド各地でモーニング・ショーが続く大ヒット作。前半はヨーロッパ・ロケ恋の旅、後半はインドでの花嫁奪回作戦と全編まったくムダのない構成。
見どころは、シャー・ルクのすべて!
前半はお調子者でトラブルメーカー、カジョールにとっては徹底的に疫病神となる。パリのレストランにて、無理矢理、有名ピアノ・プレーヤーとしてステージに上げられれば、苦肉の策からヨースケ・ヤマシタばりのアヴァンギャルドで乗りきったかのように見せ、その実、名曲風にさらりと演奏してみせる。
翌日、彼女に謝るかに見せて、またまた悪戯を仕掛ける。それでいて案外シャイなキャラクターは、語り草となることだろう。しかし、卒業式に遅れるからと白のカウンタックで出かけるってのもスゴイ!!
後半は得意の口八丁手八丁で、たちまち頑固オヤヂ以外の家族に気に入られてゆく。もっとも、気に入られ過ぎて、縁談の話さえ浮上してしまうのだが・・・。
鬼瓦顔負けのアムリーシュ・プリーが、鳩の鳴き真似や長年の伴侶ファリーダー・ジャラールにのろけた歌を披露してみせるのも可笑しい。
ファリーダーは、インドの母親を代表するかのごとく、娘の氣持ちを理解するや、ふたりを駆け落ちさせようとさえする。
クライマックスは、アムリーシュに追い出されたシャー・ルクがフィアンセとその仲間に囲まれての血まみれ大乱闘、とマサーラーの定番的構成。もちろん、ラストはハッピーエンド! このギリギリ感がたまらない。
カジョールも「Kuch Kuch Hota Hai」何かが起きてる(1998)よりムッチリとした青春真っ盛り。健康的なお色気を見せるヒロインに、当時67歳(!!!!)のラター・マンゲーシュカルがプレイバックしてしまう感覚は一般日本人にはオドロキであろう。
ジャティン-ラリットのリリカルなメロディーも佳い。
本作はヤシュ・チョープラーの息子、アーディティヤー・チョープラーの監督デビュー作。第2作「Mohabbatein(いくつもの愛)」(2000)で俳優としてもデビューした弟ウダイが、アシスタントと共同プロデューサーを務め、「KKHH」を監督したカラン・ジョハールが端役で出演している。
今、改めて観返してみると、シャー・ルク&カジョールのスター性プラス、ヨーロッパ旅行、古い結婚意識に対する新しい恋愛観が、90年代の経済改革により欧米的ライフ・スタイルへの憧れが高まっていった時代とマッチした、と言えよう。
ボリウッドへの影響も大きく、さっそく同じシャー・ルク主演でスバーシュ・ガイー監督が作った米国バージョン「Pardes(他国)」(1997)、頑固オヤヂが3人の伯父に転じたサルマーン・カーン主演「Dulhan Hum Le Jayenge(花嫁は僕が連れてゆく)」(2000)、浮氣の調査に転じてゴーヴィンダ&ラーニー・ムカルジーが恋に落ちる「Hadh Kar Di Aapne」(2000)など様々なバージョンが生まれ、「Dhadkan(鼓動)」(2000)のヨーロッパ・ロケでもそっくり再現されている。
*追記 2005,12,02
前半、パリのクラブで無理矢理担ぎ出されたシャー・ルクがピアノを出鱈目に弾きお騒がせナンバル「ruk ja oh dil deewane(行かないで、心乱す人よ)」へと突入する前、ドレス姿のカジョールが嫌みで拍手をしてみせる姿は、「ピクニック」(1955=米)のキム・ノヴァクに匹敵するフェロモン・シーン。
後半、シャー・ルクがカジョールたちの輪に入って歌うのは、シャシ・カプール&ムンターズ主演「Chor Machaye Shor」(1974)のパーティー・ナンバル「le jayenge」と判明。「Chalte
Chalte(ゆきゆきて)」(2003)でも、ジョニー・リーヴァルが路上の酔っ払い役で歌っていた。
「Neal ‘N’ Nikki(ニール&ニッキー)」(2006)のタイトルソングに、シャー・ルクが劇中マンドリンで弾いていたフレーズが一部引用されているが、なぜか今どきの登場人物からは「ナあー」との声が。主演は、アディティの弟ウダイなんだけども・・・。

(c)Yash Raj Films, 1995.
*追記 2011,02,12
ムンバイーのマーラタ・マンディル劇場で、なんと800週以上のロングラン記録を更新中。1995年10月の公開日に生まれた子が15歳になっても上映中ということになる快挙。もちろん、毎年欠かさず観に行く家族も多いはず。まさしくマーラタ・マンディル(寺院)詣でと言えよう。
記録的なロングランではカルト映画の代表作「ロッキー・ホラー・ショー」(1975=米)が知られるが、こちらは週末のイベント的深夜上映。国民的に幅広く愛される「DDLJ」とはひと味違うが、どちらもミュージカル・シーンがあるのが興味深い。
90年代のトップヒットを飾った作品はどれも若手(新人)監督の手によるもので、本作の面々もこれでブレイク。
タイトル考案は、アヌパム・ケール夫人のキロン・ケール。今でこそ「Devdas(デーヴダース)」(2002)、「Main Hoon Na(私がいるから)」(2004)などボリウッドの定番母親として知られるが、当時は女優業を休業中の一介の主婦?に等しい。
シャー・ルクとユーロ旅行をするボンクラ仲間のアルジュン・サブロークはその後、リティク・ローシャン主演「Na Tum Jaano Na Hum(君も僕も知らずして)」(2002)で監督デビュー。同じくカラン・ジョハールは「Kuch Kuch Hota Hai」何かが起きてる(1998)で監督となり、全米Fox配給「マイ・ネーム・イズ・ハーン」My Name is Khan(2010)に至る。カランは自作以外でシャー・ルクの衣装デザインを手がけるが、それも本作から。
カジョールの女友だちとしてユーロ旅行し、すぐ口説きに乗るアナイター・シュロフは「たとえ明日が来なくても」Kal Ho Naa Ho(2003)でもMBAクラスでサイーフ・アリー・カーンに口説かれていたが、本業は衣装デザイナー。「Dhoom(騒乱)」(2004)などを担当。
マイナーなところでは、カジョールの婚約者となるパルミート・セティーは「KKHH」の英語助教授ミス・ブリガンザー役アルチャナー・プーラン・スィンの夫。
また、米「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」、「Karan Arjun」カランとアルジュン(1995)などの悪役として名を馳せたアムリーシュ・プリーが厳格ながら情愛深い父親役にシフトするきっかけとなった。
振付のファラー・カーンも、本作まるまる担当するはずだった大御所サロージ・カーンが多忙のために穴をあけ、急遽「rukja oh dil deewane」を引き継ぎ、売れっ子コリオグラファーに成長。
注目すべきは、ゼロ年代に入ってボリウッドのトップ・コングロマリットに急性調したヤシュ・ラージ・フィルムズがまだホーム・プロダクトだったということ。
長年のヒットメーカーで今回は製作にまわったヤシュ・チョープラーは監督アディティヤの父親であり、共同製作に名を連ねるウダイは愚弟(俳優としての最新作は「Pyaar Impossible!」)。
そして共同製作だけでなく衣装デザイン、プレイバックまで買って出ているパメラーは、ヤシュの妻。打ち合わせも彼女の手料理をついばみながら自宅で行われ、楽しげな雰囲氣の中でアヌパムの夫人であるキロンのタイトル発案もなされたのだろう。
友人知人だけでなく家族そろって制作に打ち込む家内制映画産業だからこそ、ボリウッド映画は人々に愛され続けると言えよう。
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