2/21〜「女神は二度微笑む」Kahaani(2012)#321
「女神は二度微笑む」Kahaani(2012)★★★★☆
カハーニー
製作・脚本・監督:スジョイ・ゴーシュ/台詞・脚本:リティーシュ・シャー他/音楽監督:ヴィシャール&シェーカル/背景音楽:クリントン・セレージョー/撮影:セートゥ/編集:ナムラター・ラーオ
出演:ヴィッディヤー・バーラン、ナワーズッディーン・スィディーキー、パラムブラタ・チャッテルジー、ダルシャン・ジャリーワーラー、インドラニー・セーングプター
本国公開日:2012年3月9日(123分)
2015年2月21日、渋谷・ユーロスペースより全国順次公開!
ベンガルという風土が醸し出す極上ミステリー!
混沌としたコルカタの国際空港に降り立った人妻ヴィッディヤー(ヴィッディヤー・バーラン)は2年前に失踪した夫ミランを探すため警察を訪れるーーアジアフォーカス・福岡国際映画祭2012でも好評を博した「物語」の仕掛けを堪能するなら、これ以上のストーリー詳細には耳を塞いでおく事をオススメする。
(ただし、重要なバックボーンとなるドゥルガー・プージャーについては「インド映画はお祭りがいっぱい」を参照)
主演のヴィッディヤー・バーランはケーララ州出身で、10代からTVシリアルに出演、CFの女王と呼ばれ、ベンガル文学の映画化「Parineeta(既婚女性)」(2005)でボリウッド・デビュー。久々にサリーの似合う新人と話題になり、次作「Lage Raho Munna Bhai(続けて、ムンナー兄貴)」(2006)でも柔和なヒロインとして新風を放ったが、ボリウッド女優としてはダンスもこなす事なく地味な出演が続き、時より見せるその名<学問>譲りのどこか融通の利かない堅物な印象から伸び悩んだかに思えた。
しかし、早老症の息子を育てるシングル・マザー「Paa(父)」(2009)で見事主演女優として認知され、殺人事件の実話「No One Killed Jessica」(2011)も果敢に真相を追及する被害者の姉がまさに適役。悪女「Ishqiya(情欲)」(2010)、恋に翻弄される踊り子女優「The Dirty Picture」(2011)等、役柄も拡げ、一枚看板を背負える大女優へと変身した。
監督スジョイ・ゴーシュはカルカッタ出身で、ロンドンでMBAを所得しロイターの南アジア部門勤務を経てボリウッド作品「Jhankaar Beats」(2003)で監督デビュー。前作はファンタジー「アラジン」Aladin(2009)というように毎回異なる作風にチャレンジし、脚本家としてもリティク・ローシャンNカトリーナー・ケイフ主演のアクション「Bang Bang!」(2014)に参加。
共演は、注目度急上昇のナワーズッディーン・スィディーキー。「めぐり逢わせのお弁当」The Lunchbox(2013)ではお調子者役だったが、彼本来のパワフルな演技が見物。脇を固めるベンガル俳優では冴えない営業マン役サースワタ・チャッテルジーがおいしい。
中盤とエンディングに流れるのは、アミターブ・バッチャンが唄うラビンドラナート・タゴール(ロビンドロナート・タクゥル)の有名な詩「ekla cholo re(ひとりで歩め)」。道険しくとも独りでも歩めーーとは、まさしく見知らぬ土地へ単身乗り込み奮闘するヒロインに相応しい。
*レビュー記事の完全版については、「ナマステ・ボリウッド+42号」をご覧下さい。
*2015年2月7日(土)、「ボリウッド講座15@早稲田」にて「女神は二度微笑む」予習としてドゥルガー・プージャーなどベンガル文化や見どころ解説を行います。ご興味ある方は、ぜひご参加ください。
*2015年6月8日 追記
いつもご愛読くださり、ありがとうございます。
「女神は二度微笑む」をご覧になった方から、2012年9月発行のフリーペーパー版「ナマステ・ボリウッド34号」の記事がネタバレで楽しめなかった、とのメールを頂きました。ネタバレ注意の配慮が足りず、失礼しました。返信エラーになってしまったため、こちらにてお知らせ致します。
2014年12月発行の有料版「+42号」に続き、最新の「+43号」でも作品の見どころやベンガル文化について解説しています。これらの記事を参考にDVD化された際に見直して頂くとまた違った角度から楽しんで頂けれる事と思います。
今後ともボリウッド映画を深く掘り下げて参りますので、どうぞよろしくお願い致します。
(ナマステ・ボリウッド/すぎたカズト)
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