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Antardwand(2010)#314

2012.07.18
オススメ度 =陳腐 ★★=退屈 ★★★=平均点 ★★★★=面白い! ★★★★★=お気に入り!!

Antardwand

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「Antardwand(内なる対立)」(2010)
★★★☆
アンタルドゥワンド

製作:Dr.ローメン・クマール・ジャー/原案・監督:スシール・ラージパル/
脚本・台詞・作詞:アミターブ・ヴェルマー/撮影監督:マレイ・ラーイ/音楽:バッピー-トゥトゥル/プロダクション・デザイン:シュルティー・アニンディター/美術監督:D・K・スィン&ラジーヴ・ドゥイヴェディ

出演:アキレンドラ・ミシュラー、ヴィネイ・パタク、ラージ・スィン・チョウドリー、スワティー・セーン、スムキー・ペーンドセー、ジャーヤー・バッターチャルヤー、ニーリマー、ヒマンシー、ダディ・ラージ、シャクティー・シンハー、Dr.ウィジャハト・カリーム、ヴィジョイ・クマール・ジャー、コォーシャル・キショーレー・スィン、サンデープ・シャーヒー
公開日:2010年8月27日(日本未公開)
第55回National Awards Best Film(社会派部門作品賞)

STORY
デリーでIAS(インド高等行政官)コースを勉学中のラグー(ラージ)は恋人シア(ヒマンシー)を妊娠させてしまった事から結婚の承諾を求めるため実家を訪ねる。しかし、待っていたのは縁談話。これでは埒があかないと、その夜のうちにそっと家を出るラグーだが、何者かに拉致監禁された上になんと村の娘ジャーンキー(スワティー)と強制結婚させられ…。

Revie-U
このところ、サルマーン・カーンNカトリーナー・ケイフ主演「Ek The Tiger(タイガーがいた)」(2012年8月世界公開=日本以外)等、大作路線へ回帰しているヤシュ・ラージ・フィルムズだが、一方でインドのトレンドとなっているニュー・ストリーム映画も押さえておきたい、という事でDVD化されたNational Awards Best Film(社会派部門作品賞)。

主演は、骨太作品「Black Friday」(2004)、「Gulaal(色粉)」(2009)等、ニュー・ストリームの雄、アヌラーグ・カシャップ監督作(弟はDabanggの監督アビナーヴ・カシャップ)でステップを踏んできたラージ・スィン・チャウドリー。上記2作の他、7 Khoon Maaf(七人殺しを許して)」(2011)等で知られるヴィシャール・バルドワージ製作でアヌラーグ作品中、最もカルト性の高い「No Smoking」(2007)の脚本も手がける。往年の中堅スター、ラージェンドラ・クマールを思わせる苦み走ったタイプだが、演技面では可もなく不可もなし。

メジャー作品に出ている俳優としては、クレジットのトップ・ビリングを奢られている悪役俳優アキレンドラ・ミシュラーShootout at Lokhandwala)が花婿拉致させる父親役に。自分なりの家族愛をにじませ好演。
また、不運の花婿ラグーの父親役にRab Ne Bana Di Jodi(神は夫婦を創り賜う)」(2008)のヴィネイ・パタクを起用。

Antardwand

(c)Nawabs Cottage Productions, 2010.

父親の道具として拉致花婿に嫁がされる悲しきヒロイン、ジャーンキー役スワティー・セーンは、インド映画テレビ研究所出身で、これまで短編映画でキャリアを積んできた。ひたすら慣習に翻弄されるも、ラストでは父親譲りの氣の強さを見せる悲しき花嫁を演じ切っている。
インド映画らしいこだわりは、彼女の役名だろう。ジャーンキー(=ジャーナキー)は、「ラーマヤナ」に登場するミティラーの王ジャナカの娘でシーターの別名。これが劇中の台詞にあるように、花嫁と恋人シアの名前が別名で重なっているばかりか、神話ではシーターの下に求婚者がこぞってやって来、争いになったが本作ではジャナカにあたるジャーンキーの父親が花婿を拉致するという皮肉な仕掛けになっている。

これまでしばしば描かれて来た花嫁の略奪婚でなく、本作で狙われる対象は花婿だが、これは盗賊団や誘拐ビジネスが横行するビハール州やUP(ウッタル・プラデーシュ)州での現実。大学を続けたい娘の意志などお構いなし、高等行政官と強引に縁者となる事で村の発展を望む父親に悪氣がないところや、拉致家族が単なる極悪一家でなくそれぞれが呵責を持ちながら流れに抗えない様が深い問題を突きつける。
粛々と進められてゆく結婚式の準備がもの悲しさを増し、泥酔した新郎が抱きかかえながら滞りなく行われる結婚の儀式は実に異常。「強制結婚」が成立する背景は、ヒンドゥー婚が儀式さえ成立してしまえば神が認めた覆せない結婚であるとされるからだ。

度重なる出来事の末、意を決したジャーンキーがひとり家を出るラストは、タッブー主演「Astiva(存在)」(2000)に重なる。この10年余り、インド人女性の生きる険しさは変わっていない。
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