Mere Brother Ki Dulhan(2011)#309

Yash Raaj Films 正規盤はオリジナルの赤ケース入り。
「Mere Brother Ki Dulhan(オレの兄貴の花嫁)」★★★☆
メーレー・ブラザル・キー・ドゥルハン
製作:アディティヤ・チョープラー/原案・脚本・台詞・監督:アリー・アッバース・ザッファル/脚本監修:タンメイ・モーハン/撮影:スデープ・チャッテルジー/作詞:イルシャード・カミル/音楽・背景音楽:ソハイル・セーン/振付監督:ボスコー-カエサル/プロダクション・デザイン:スルティー・グプテー/衣装デザイン:ロッキー・S、ハルミート・セーティー、ネーハー・バートナガル、アルン・チョハーン/VFX:プライム・フォーカス/編集:リティーシュ・ソーニー
出演:イムラーン・カーン、カトリーナー・ケイフ、アリー・ザッファル、ターラー・デスーザ(新人)、プリクシート・サハント、カンワジット・スィン、スパルナー・マルワーフ、マーフル・シェイク、アルフェーン・カーン(新人)、モード・ズィーシャン・アユーブ、タリーク・ワースデーヴァ
特別出演:ジョン・エイブラハム、ラーキー・サーワント(声)
2011年9月9日世界公開(日本以外)/145分
STORY
ロンドン在住のラヴ(アリー)は、恋人ピヤリー(ターラー)とブレイク・アップ。思い余ったラヴはムンバイーで助監督をしている弟クシュ(イムラーン)に電話し、結婚をアレンジするよう命令。さっそく実家に戻り、デリーに住む一家との婚約を取り付ける。しかし、見合いの場に現れたのは5年前にふとした出会いを重ねたDことイカれ女のディンプル(カトリーナー)で、次第に恋心が芽生えてしまい…。
Revie-U
このタイトルから思い出されるのは、ヤシュ・ラージ・フィルムズ(YRF)をボリウッドのトップ・コングロマリットに<押し上げた>「Mere Yaar Ki Shaadi Hai(オレのダチの結婚)」(2002)。
どう<押し上げた>かと言うと、チョープラー家の愚弟ウダイを俳優デビュー作「Mohabbatein(幾つもの愛)」(2000)に続いて売り出すべく、ジミー・シェールギルとの共演で制作。「Raaz(秘密)」(2002)が大当たりするビパーシャー・バスを押さえながらもセカンド・ヒロインに留め、洋顔の新人トゥリープ・ジョーシーをヒロインに据えてしまった事や90年代のテイスト引き摺ったスタイル(しかも尺は159分!)のため、ヤシュ・ラジ痛恨のフロップとなり、これを反面教師として兄アディティヤはデシ(在外)志向の中流若者層をターゲットに集客堅実なビッグスター限定の配役、上映時間2時間サイズのコンパクトかつキャッチーな作品を連打し、見事、ボリウッドのトップ・ブランドへと華麗な変身を遂げたのだった。
当然、本作のタイトルから企画段階でも不安が過ぎったはず。と言うのも、商才に長けたアディティヤは、10年代がニュー・ストリームの時代と見るや、サイーフ・アリー・カーンやラーニー・ムカルジーなどのビッグスター主演のいかにもボリウッドらしい作りから一転、「Badmaash Company(悪人商会)」(2010)、「Band Baaja Baaraat(結婚狂騒楽団)」(2010)、「Lafangey Parindey(無頼の鳥たち)」(2010)など先進的なテイストで変わり身を遂げたばかり。
配給のみ手がけた新人映画「Luv Ka The End(ラヴのジ・エンド)」(2011)がフロップした反動か、アディティヤは再びメジャー・スター路線に戻り、本年はYRF初のサルマーン・カーン主演(しかもヒロインにカトリーナー!)「Ek Tha Tiger(タイガーがいた)」(2012)を製作。さらに来年には、いよいよ「Dhoom:3(騒乱3)」がリリース(公開)か?!

(C)Yash Raaj Films, 2011.
さて、本作だが「Tere Bin Laden(ビン・ラーディンなしでは…)」(2010)で注目を集めたパキスタンの人氣アーティスト、アリー・ザッファルをフィーチャル(「Luv Ka The End」でも特別出演するなどYRF付いてる)。本業がシンガーとあって酔っぱらいナンバル「madhubala」でプレイバックも披露。
キアヌ・リーブス似だけにコメディ抜きのシリアス&ロマンスな作品もぜひ観たいもの。次回作は3月公開のFox Star インディア配給「London、Paris、New York」(2012)に期待。

(C)Yash Raaj Films, 2011.
その弟クシュ役のイムラーン・カーンは、ランビール・カプールと比べるといささかキャラクターの弱さが感じられる。「I Hate Luv Storys」(2010)や「Break Ke Baad(別れの後で)」(2010)等の氣真面目な小物青年の延長上にあるように思える。それだけに今風のテイストにマッチする訳だ。
その点も本人は解っているのか、デビュー当初続いた「Kidnap」(2008)、「Luck」(2009)等のマッチョなアクション路線は避けているように思える。

(C)Yash Raaj Films, 2011.
一方、ヒロインを務めるカトリーナー・ケイフは、さすがボリウッドのトップ女優に登り詰めただけあって、ダンス・ナンバルで見せる華は絶品。数年前までは隙だらけだったステップも日々進化しキレが増し、ボーダーラインのロック・ガールも板に付く。
本年は「Ek Tha Tiger」に続き、ヤシュ・チョープラーの次回監督作でシャー・ルク・カーンと共演、「Dhoom:3」にもその名が上がり、すっかりYRFの看板女優となった感がある(小粒系路線を取った2010年のYRF看板女優アヌシュカー・シャルマーもヤシュの次回作には配役されている)。

(C)Yash Raaj Films, 2011.
音楽監督は「What’s Your Raashee?(君の星座は何?)」(2009)のソハイル・セーン。すっかりヤシュ・ラジらしいポップ・チューンを紡いでいるのが、さすが。
90年代のテイストをふんだんに取り入れ「DDLJ」(1995)、「ディル・セ 心から」Dil Se..(1998)、果ては「Dabangg(大胆不敵)」(2010)まで妄想全開なボスコー-カエサルによる振付もキャッチー。
「Pyaar Impossible(愛はインポッシブル)」(2010)を踏まえたガールズ・ロック・チューン「dhunki」のワルノリぶりが微笑ましい。
パキスターニー・シンガー、ラーハト・ファテー・アリー・ハーンをフィーチャルしたメロー・ナンバル「ishq risk(恋のリスク)」の言葉遊びには脱帽。
アリー・ザッファルのセルフ・プレイバック「madhubala」は、映画看板にある通り「Mughal-E-Azam(偉大なるムガル帝国)」(1960)の美女マドゥバーラーに当てた陶酔ナンバル。同じく「Dabangg」の看板は、もちろんカトリーナとUP州認可のバーング(大麻ミルク)・ショップへの引っかけ。
さて、ボリウッド・ネタと言えば、オープニング、ロンドンの夜景ショットに重なって流れるのが、「Padosan(お隣さん)」(1968)からのメモラブル・ナンバル「mere bhole balaam」。
歌っているのはプレイバックも彼自身で務めるキショール・クマール。ザンギリ頭のカツラを被っているのが主演のスニール・ダット(サンジャイ・ダットの父)で、ヒロインは可憐なサイラー・バーヌー。
窓が向かい合った隣の建物にヒロインが住んでいて、という設定はサルマーン&アクシャイ・クマールNプリティー・ズィンター主演「Jaan-E-Mann(愛しき人よ)」(2006)でも<引用>されている。
配役のバランスからしても、結婚のアレンジに奔走した弟が兄嫁とデキてしまう展開が読め、もうひとつふたつツイストが欲しかったところ。
ディンプルの兄弟役が「天才」と紹介されるのは、とどのつまりアスペルガーだからで、これを演ずるアルフィーン・カーンが映画初出演とあって芝居に奥行きがなく、単に「マイ・ネーム・イズ・ハーン」My Name is Khan(2010)のシャー・ルクを真似ているだけにしか見えないのが興醒め(「天才」という設定ながら片時も手から離さないルービックキューブはまったく完成せず)。
ゼロ年代初頭までのジョニー・リーヴァルらコミックリリーフが懐かしい。
また、ジョン・エイブラハムが彼自身として特別出演している。

(C)Yash Raaj Films, 2011.
なお、You Tubeではヤシュ・ラジ公式HDストリーミングの72時間パスが250円!(「Dostana」はさらにお得な150円)
http://www.youtube.com/movie?v=yiTcnmeYk5I&ob=av1n&feature=mv_sr
www.facebook.com/namastebollywoodjapan
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