No Problem(2010)#288
「No Problem」★★★
製作:B・K・モーディ、アニル・カプール、ラジャト・ラーワイル/原案・脚本・台詞・監督:アニース・バズミー/脚本:ラジーヴ・コォール、イクラーム・アクタル/追加脚本:ラジャン・アガルワール/追加台詞:ニサル・アクタル/撮影:ボビー・スィン/作詞:クマール、シャビル・アーメド/音楽:プリータム/背景音楽:サジード-ワジード/振付:チンニー・プラカーシュ、ヴァイバヴィー・メルチャント、ボスコー-カエサル/アクション監督:アッバース・アリー・モーグル/プロダクション・デザイン:ラジャト・ポッダル、アムリター・マハル(南ア)/編集:プラシャント・スィン・ラトール
出演:アニル・カプール、サンジャイ・ダット、アクシャヱ・カンナー、スニール・シェッティー、パレーシュ・ラーワル、スシュミター・セーン、カングナー・ラナウト、シャクティ・カプール、ランジート、スレーシュ・メノン、ヴィシュワジート・プラダーン、ヴィジャイ・ラーズ、ジートゥ・ヴェルマー、ムケーシュ・ティワリ、ベビー・サローニー、カマル・チョープラー、ラージェーシュ・バルワーニー
特別出演:ニートゥー・チャンドラ
公開日:2010年12月10日(日本未公開)138分

(c)Eros Entertainment, 2010.
STORY
自称ソーシャルワーカーの泥棒兄弟ヤシュ(サンジャイ)とラージ(アクシャヱ)は、アフリカ某所の片田舎で銀行から大金を盗み出すも、銀行主のザンドゥラール(パレーシュ)とダルバン(ダーバン)で再会。警部のアルジュン(アニル)、国際的犯罪者のマーカス(スニール)が、これに絡んでドタバタに…。
Revie-U
アクシャイ・クマール主演「Welcome」(2007)でシャー・ルク・カーン製作・主演「Om Shanti Om」オーム・シャンティ・オーム(2007)をぶっちぎって年間トップ1ヒットを獲得した奇才アニース・バズミー監督作。

(c)Eros Entertainment, 2010.
製作には「Welcome」に出演しアニースとも氣心が知れたアニル・カプールが一枚噛んでいるものの、見事、スーパー・フロップ?
「スラムドッグ$ミリオネア」で国際派俳優と知られるようになったアニルが、「Race」(2008)を一歩押し進めたドジな警部ぶりで顔面ケーキにも果敢に挑む(姿が痛々しくもある)。
ノー・プロブレム。
しかしながら、アッキーがアンダーワールド(マフィア)の娘と結婚するにあたって、という基本ラインにスーパー・スラップスティックがミックスされ、ドリフ的ギャグが大連発だった「Welcome」と違い、本作は軸がなく行き当たりばったりのギャグも外し氣味。
ノー・プロブレム。

(c)Eros Entertainment, 2010.
このへんの乗り切らない要因は、アクシャヱ・カンナーとカングナー・ラナウトに負うところが大きい。
アクシャヱはアニル製作「Gandhi My Father」ガンジー、わが父(2007)で新境地を開拓したかに見えたが、ライト・コメディには向かない乗りの悪さがネックで女装もオーバー・アクティング。
カングナーも「Knock Out」(2010)に引き続き<明るい>役だが、今ひとつ。
ノー・プロブレム。

(c)Eros Entertainment, 2010.
兄弟役のサンジャイ・ダットも「Khoobsurat(見目美しき)」(1999)の頃と違って、コメディではキレが感じられない。
ノー・プロブレム。

(c)Eros Entertainment, 2010.
一方、出色なのが、アニルの二重人格的暴力妻役スシュミター・セーン。氣氣として日本刀を振り回す姿がスシューらしくキマっている。
その娘役がミス・ユニバースとまったく接点がない不細工のメタボ系なのはが苦笑。
ノー・プロブレム。
これに意味なく絡む国際的犯罪者マーカス(=マルコス)が「Main Hoon Na(私がいるから)」(2004)のテロリスト役を引き摺るスニール・シェッティー。意味ない大がかりなアクションは、まあ、ギャグのうち。
この取り巻きが、「X-MEN」シリーズばりに意味なく電氣人間のムケーシュ・ティワリ。
HDカメラ(日本映画は、これで撮影するレベル)を片時も手を離さない茶髪男がビシュワジート・プラダーン。
マイク・タイソン風顔面タトゥーのスキンヘッドが「Soldier」(1998)ジョジョ役のジートゥ・ヴェルマー。
「Qayamat(破滅)」(2003)のイーシャー・コーッピカルを彷彿とさせるセクシー悪女ソフィア役は、スニール出演の「One Two Three」(2008)の女警部役で氣を吐いていたニートゥー・チャンドラ。
ノー・プロブレム。
カングナーの父親で署長役がシャクティ・カプール。風格あるメイクながら、「Zameer(魂)」(2005)とは異なり期待通りのギャグ・モード。

(c)Eros Entertainment, 2010.
また、意味なく登場する自殺願望男が「Prarambh(始まり)」(2004)のヴィジャイ・ラーズ。単身、どんなシチュエーションもお構いなしに振る舞う様がソー・クール。
おとぼけ警官スレーシュ・メノンも好ポイント。
懐かしいところでは、70年代の定番ヴィレイン(悪役)ランジートがヒゲもじゃメイクで登場。往年の出番からすると端役なのが惜しい。
ノー・プロブレム。
音楽監督のプリータム、珍しく背景音楽を手がけるサジード-ワジードもやや空振り。全編南ア・ロケというゴージャスな製作スタイルがゼロ年代のボリウッド・バブリー全開といった分、プロモ的にも10年代のストリームに乗り遅れた印象を強め、このへんがフロップの原因だろう。
「Welcome」同様、ドリフ的スペクタクルを用意しているものの、アニースのフォロワー的珍作「One Two Three」からイタダキ返しなのが氣になる。
ノー・プロブレム?