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Revati(2005)#277

2011.06.23
オススメ度 =陳腐 ★★=退屈 ★★★=平均点 ★★★★=面白い! ★★★★★=お気に入り!!

Revati「Revati」★★★
レーヴァティー

製作:ヴィカース・M・カテー/原案・脚本・監督・作詞:ファルーフ・A・シッディークィー/台詞:スニール・アクタル、タパン・A・バット/撮影:アクラーム・カーン/音楽:ジャティン-ラリット、ナザカト・スジャット/背景音楽:ニキル-ヴィネイ/
アクション:イリヤース・シャイク/振付:ジョジョ・カーン、ヴィッキー・カーン、ヴィシュヌ・デーヴァ/美術監督:デーヴダース・バンダレー/編集:スレーシュ・チャトゥルヴェディ

出演:カシュミラー・シャー、キラン・クマール、アユーブ・N・カーン、シュレーヤス・タルパデー、ジャーヴェード・カーン、アロークナート

公開日:2005年5月7日(日本未公開)

STORY
ムンバイー最大のスラム、シャンティナガルに暮らすレーヴァティー(カシュミラー)は、雨宿りで富豪(キラン・クマール)と知り合ったことから数奇な運命を歩むこととなる…。

Reivi-U
スラムドッグ$ミリオネアがオスカー・フィーバーに湧いた頃、「地元の映画界はインドの現実を描いて来なかった」などという声が漏れ聞こえてきたが、どうしてどうしてマイナー映画にも底辺の暮らしぶりを描いた佳作がいくつか見られる。

レーヴァティーはスラムに住む年頃の娘。町を歩けば日がな一日「Jism(肉体)ビパーシャー見たか?」などと与太話に興じている男どもから熱い視線を集める。
しかしながら、クズ拾いで生計を立てる身だけあって、実に小汚い。それでも
スラムの中で地面に4本の棒きれを立てては布を巻き、シャワールームとして汗と汚れを洗い落とすのを欠かさない。

そんな彼女の人生にも転機が訪れる。
スコールのため雨宿りした際、富豪の氣まぐれから邸宅のバスルームを使わせてもらい、手の届かない夢のような生活を垣間見るのだ。

扮するカシュミラー・シャーが2000年前後から持て囃されたアイテム・ガールだけあって、ここで濃厚なシャワー・ナンバルを披露(「水戸黄門」の由美かおる程度だが)。さらに雲上の妄想郡部ナンバルも用意されている。

こうしてアッパークラスの生活に触れたレーヴァティーは、富豪に取り巻く悪徳ビジネスマンたちの黒い欲望に狙われることとなる。
もっとも彼女は下町育ちで曲がったことが大嫌いで肝っ玉の持ち主。自分を曲げずに己の道を忘れぬに生き抜くのだ。

サポーティングは、レーヴァティーに想いを寄せる近所の好青年にIqbal(2005)でブレイクする前のシュレーヤス・タルパデー。シャイなキャラクターが青臭さとマッチしている。

富豪役のキラン・クマールはTezaab(酸)」(1988)、Khuda Gawah(神に誓って)」(1992)、Aaag Hi Aag(火には火を)」(1999)などの定番悪役であるが、本作では実にジェントル。それだけに小娘に振り回される様が可笑しい。

また、レーヴァティーの父にラガーン」Lagaan(2001)のジャーヴェード・カーン、弁護士役に家族の四季」Kabhi Khushi Kabhie Gham…(2001)のアロークナートを起用。
ファキール(イスラームの乞食僧)役でカイラーシュ・ケールが特別出演。継ぎ接ぎ衣装で神への嘆きを歌う。

驚きなのは、監督クレジットが出るタイミング。なんとストーリーが半分進んだインタルミッション(休憩)代わりなのだ。
Hello Hum Lallann Bol Rahe Hain(ハロー、おいらラーッランだけど) 」(2010)」同様、予算や技術レベルも低いものの、その演出の姿勢は真摯なもの。
貧しいが雨降りの夜に戻らぬレーヴァティーを心配する母親や住人たちを描く一方、暮らしぶりはよいが家族間の信頼が崩壊している対比スケッチも忘れない。

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