Taal(1999)#001
TAAL(リズム)/1999 01.01.26UP/01.06.16 Re ★★★★
タール
監督:スバーシュ・ガイー/撮影:カビール・ラール/音楽:A・R・ラフマーン/詞:アナン・バクシー/振付:シアマク・ダヴァル
出演:アイシュワリヤー・ラーイ、アクシャヱ・カンナー、アニル・カプール、アムリーシュ・プリー、アローク・ナート、ソォーラブ・シュクラー
公開日:1999年8月13日 (年間トップ6ヒット!/日本未公開)
Filmfare Awards:助演男優賞(アニル・カプール)、撮影賞、音楽監督賞、作詞賞、女性ベストプレイバックシンガー賞(アルカー・ヤーグニク)、録音賞
Screen Awards:助演男優賞(アニル・カプール)、音楽監督賞、作詞賞、男性ベストプレイバックシンガー賞(スクヴィンダール・スィン)、衣装賞
STORY
ヒマラヤにほど近いヒマーチャル・プラデーシュ州チャンバの伝統歌手タラバブーことターラチャンド(アローク)の娘、マンシー(アイシュ)は、村へやって来た実業家ジャグモーハン・メーター(アムリーシュ)の息子マヌー(アクシャヱ)に見初められる。しかし、ムンバイー(旧ボンベイ)へ彼を訪ねるものの、彼とその家族から門前払いを受ける始末。更に落胆する彼女が唖然としたのは、父の歌をサンプリングしたポップスター、ヴィクラーント・カプール(アニル)のパフォーマンスであった!
Revie-U
1999年度のフィルム・アワードを総ナメにしたアイシュワリヤー・ラーイ。2000年秋の東京ファンタでも上映された「ミモラ 心のままに」HDDCS(1999)に続くもう一本の受賞作が本作。ヒットメーカーのスバーシュは、音楽にインドを代表するA・R・ラフマーンを起用。名優アニル・カプール演ずるトリックスターによってプロモートされたヒロインがスターダムにのし上げるというインド版「スター誕生」(1976=米)。無名の少女から輝くスーパースターへと運命を登り詰めるアイシュの華麗な衣装を見るだけでも十分の価値がある(前半、未明の山頂でヨーガを行ずる姿はまさに天女か女神の美しさ!)。
監督スバーシュ・ガイーの演出は力強く、赤をシンボライズし、アイシュのサーリー、マフラー、アクシャヱ・カンナーの赤いバイクとクルマ、赤い家、火事、消防車、某炭酸飲料、ステージでの赤い垂れ幕にトドメはファイヤースタントダンス(!!!)までと徹底している(反面、恋に破れたアイシュの衣装はブルー)。
後半、一挙に国際的なスターとなったアイシュがアニルに求婚され、群衆が見守る中、婚姻届の順番を待つふたりの前にアクシャヱが現れて・・・クライマックスとなるのだが、それでも彼女がアクシャヱを選ぶというのがどうにも納得いかないオチ。というのもアクシャヱは、火事で頭に包帯、彼女が贈った赤いマフラーをたすき掛けして愛犬ブラウニーを背負って登場と、どうにも情けない。
くわえて、訪ねて来た彼女とタラバブーが自分の家族と争う場面で恋人を守るどころかタラバブーを一喝し彼女と対立してしまい(家族の面目を守るというインド的習慣によるのだろうが)、そのくせ謝りもせずに彼女を一途に追いすがるアクシャヱになかなか感情移入づらい(最近、とみに頭が薄くなってきたから??)。
因みに、アクシャヱがやたらと彼女に某炭酸飲料を飲ませようとするのは、単に間接キッス&タイアップということだけでなく同じ食べ物を口にすることはヒンドゥーの不浄観を超えた関係(夫婦や恋人)へのアプローチのため。
山岳部の空気感を捉えたカビルラールの撮影、シャルミスター・ローイの美術も見事。ラフマーンの音楽とアイシュの美しさを堪能したい向きは必見!
追記2007.07.26
赤をシンボライズした演出は「たとえ明日が来なくても」Kal Ho Naa Ho(2003)の台詞でも揶揄されている。
また、バックダンサーの中にはシアマク・ダヴァルの練習生だったシャーヒド・カプールの姿が認められる。