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Border(1997)#274

2011.06.19
オススメ度 =陳腐 ★★=退屈 ★★★=平均点 ★★★★=面白い! ★★★★★=お気に入り!!

Border

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Border 01.04.19版改稿  ★★★☆
(ビデオ化タイトル:「デザート・フォース」)

製作・脚本・監督:J・P・ダッタ/台詞:O・P・ダッタ/撮影:イシュワル・ビドリー/音楽:アヌー・マリック/詞:ジャーヴェード・アクタル/振付:ファラー・カーン/背景音楽:アーデーシュ・スリワスターワ/アクション監督:ビクー・ヴェルマー、ティヌー・ヴェルマー/美術監督:ラトナカル・パドケー/衣装:ビンディヤー・ゴースワーミー/編集:ヴィラス・ラナーデー、ディーパック・Y・ウィルクード

出演:ラーキー、サニー・デーオール、ジャッキー・シュロフ、スニール・シェッティー、アクシャヱ・カンナー、プージャー・バット、タッブー、クルブーシャン・カルバンダー、スデーシュ・ベーリー、プニート・イサル、シャルバニー・ムカルジー、ラジーヴ・ゴースワーミー、サプナー・ベディ

公開日:1997年6月13日 (年間トップ1ヒット)

Screen Awards:作品賞、監督賞、脚本賞、作詞賞
Filmfare Awards:監督賞、新人賞(アクシェヱ・カンナー)
National Film Awards:男性プレイバックシンガー賞(ハリハラン)

STORY
1971年に起きたインド・パーキスターン戦争での「ロンゲワーラ-の戦い」クルディープ少佐(サニー)は妻と子供を、エリート士官のダラームヴィール(アクシャヱ)は盲目の母と恋人を、らくだ部隊の隊長バイラヴ大尉(スニール)は結婚式を挙げたばかりの新妻を銃後に残して最前線へ向かう…。

Revie-U
オープニング早々、米「トップガン」を思わせるミグ戦闘機のフライトシーンに本格派の予感。それもそのはず、インド空軍・陸軍が全面協力、1971年の印パ戦争を描いたインド映画史上最大の戦争巨篇なのだ。
特に迫撃砲火シーンがリアルで、パーキスターン軍の戦車師団がキャノン・パイロ・テクニックで次々と吹っ飛ぶシーンはド迫力。ミリタリーマニアなら必見であろう。

戦争映画だけに男臭いキャストが結集! いつもはむさ苦しいサニー・デーオールが堂々たるスィクの軍人を好演。
ジャッキー・シュロフは、おいしい空軍パイロット役。スニール・シェッティーアクシャヱ・カンナーも口髭を蓄えタフガイの印象を強めているが、離れ離れとなった恋人たちへの想いを露に散ってゆく。
女優陣はタッブーがサニーの妻、ラーキーがアクシャヱの母、プージャー・バットがアクシャヱの恋人を演じるが、タッブー以外のヒロインはなぜかラーキーorレーカー顔のため、ボリウッド初心者には違いが解りにくいはず。

米国製娯楽戦争映画とは異なり、戦場へ赴く兵士たち、送り出す側の女たちの心情がしっかり描き込まれている。
もちろん、ミュージカル・シーンもあって、塹壕掘りや無反動砲を手入れする兵士たちが歌う戦場ミュージカルも秀逸。パキスターン側にはキャラクターが置かれず敵国一辺倒の扱いだが、ラストカットではインドとパキスターンの国旗が太陽に二重写しにされる。分離独立となったものの、かつては同じ文化を生きてきた同胞だけに複雑な心情が感じられる。

兵士と家族の絆を戦場に届けられる手紙に託したフィルミーソングke ghar kab aao geは作詞賞を受賞し、早くもクラシックとして定着。

サポーティングは、コック長役のクルブーシャン・カルバンダーが若い兵士に混じって好々爺ぶりが好印象。
スィクの猛者役がデビュー作でアミターブ・バッチャンを本番撮影中に骨折させた<伝説>を持つプニート・イサル
また、スニールの妻役でラーニー・ムカルジーカジョールの従姉妹にあたるシャルバニー・ムカルジーがデビュー。

アヌー・マリックによるフィルミーソングは、ハリウッドの戦争映画にありがちな煽り系でなく、実にメロディアスで牧歌的な郷愁を誘う。それだけに守るべき銃後の存在を強く印象づける。

因みに製作者のバーラト・シャーは、2001年1月にアンダーワールド疑惑で逮捕されたボリウッドの出資者。
衣装デザインは、本作の監督J・P・ダッタと結婚した元女優のビンディヤー・ゴースワーミーが担当。J・Pの監督作である「Refugee」(2000)、「レッド・マウンテン」LOC:Kargil(2003)、アイシュワリヤー・ラーイをフィーチャルした踊り子映画「Umrao Jaan」(2006)も手がけ、「LOC」ではエグゼクティヴ・プロデューサーにも名を連ねている。
女優としては、リシケーシュ・ムカルジー監督版「Gol Maal(ごまかし)」(1979)、アミターブ・バッチャン&シャシ・カプールカリーナー・カプールの大伯父)の大活劇「Shaan(栄光)」(1980)などの愛らしい様が記憶に残る。

監督J・P・ダッタの演出は戦闘場面では力強い反面、インド人らしく母親に対する愛情をこまやかに描き込み、インド人観客にとってより愛国的感情を炙り出すことに成功している。

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