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Page 3(2005)#271

2011.06.15
オススメ度 =陳腐 ★★=退屈 ★★★=平均点 ★★★★=面白い! ★★★★★=お気に入り!!

Page 3

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「Page 3」★★★

製作:ボビー・プシュカルナー/着想・台詞・監督:マドゥール・バンダルカル/脚本:ニナー・アローラー、マノージ・ティアギ/台詞:サンジーヴ・ダッタ/撮影:マドゥー・S・ラーオ/作詞:サンディープ・ナート、アジャイ・ジングラン/音楽:シャミール・タンドン/背景音楽:ラージュー・スィン/振付:ロンギネス・フェルナンデス、アンディ・クマール/美術監督:シャイレーシュ・マーハーディク/アクション監督:ハリーシュ・シェッティー/編集:スレーシュ・パイ

出演:コンコナー・セーン・シャルマー、ボーマン・イラーニー、ビクラム・サルージャー、ターラー・シャルマー、サンドゥヤー・ムリドゥル、レハーン・エンジニーア、ウペンドラ・リマイェー、ソーニー・ラズダン、アンジュー・メヘンドルー、クニカー・ラール、スハーシニー・ムーレイ、マダン・ジャイン、クルーシュ・デブー、アトゥール・クルカルニー、マノージ・ジョーシー、ボビー・ダーリン、ナスィール・アブドゥーラー
カメオ出演:スニール・シェッティー

公開日:2005年1月21日(年間20位/日本未公開)
National Film Awards:作品賞・脚本賞・編集賞
Filmfare Awards:脚本賞

STORY
「Nation Today」の芸能記者マードヴィー(コンコナー)は、連日スノッブなパーティーを取材。自身もセレブ氣取りになりかけるが、社会派のジャーナリストに転向を希望し…。

Revie-U
タイトルは、オープニング・スケッチでムンバイーのパーティー・システムが解りやすく説明されてあるようにゴシップ満載の「三面記事」。

本作は、社会問題を扱った<リアリティー映画>として注目を集め、Filmfare Awards作品賞、監督賞にノミネートされ、ひと足早く発表されたNational Film Awardsで作品賞、銀蓮編集賞/脚本賞を受賞。
が、どうにもこれが退屈なのだ。監督のマドゥール・バンダルカルタッブーを起用したインディーズ秀作Chandni Bar(2001)で見せた冴えはなく、取って付けたような説明台詞、編集も音響(アフレコ)もキレがない。
(リアリティーを重視して不美人女優ばかり揃えているせいもあるが?)

いきおいボリウッド・セレブリティが集まる享楽的なパーティー・モブ・シーンばかり延々描かれ(かと言ってOm Shanti Omよろしく、本当のトップスターがこぞってカメオ出演する訳ではなくスニール・シェッティーのみ)、セレブたちの上っ面だけが描かれている印象(時間待ちしているドライバーたちの駄弁りは面白い)。
National Awards受賞は、経済新政策による消費社会の奨励からか?? と邪推してしまうほど。

ようやく面白くなるのは、コンコナー・セーン・シャルマー扮する主人公が社会派ジャーナリストに転向してから。
飲酒・喫煙・妊娠という今どきのインド女性、ドラッグ、ゲイ事情+child abuse(実の少年を出演させ二重の虐待?)など現実を直視するバンダルカルの姿勢は健在(女優の卵を喰ってしまった自虐ネタも実にしたたか)。さらに厚顔無恥なムンバイー社交界の切り取りぶりが、National Awards受賞に結びついたのだろう。

しかしながら、やはり低予算映画の質からして、テーマに対して背伸びした感が否めない。
普段伺い知れないセレブたちの豪勢な(ハレンチとも言う)暮らしぶりをいかにも説明的な演出で綴っていることからも、観客ターゲットは都会的な生活を謳歌しているミドルクラスでなく、実際にはバブルの恩恵に与っていないが生活レベルの上昇を夢見ているロワークラスのように思える。
と言うのも、2005年時点で他の小粒映画はもっと洗練されており、マルチプレックス(シネコン)に足を運べるスノッブな観客には物足りないだろうから。

フィルミーソングさえ作る余裕がなかった「Chandni Bar」と打って変わって、今回はデヴィッド・ボウイ「let’s dance」他も使用する贅沢さ(無許可?)。
もっとも、今どき映画ながらラター・マンゲーシュカルアーシャー・ボースレーをフィーチャルするところなど、「Chandni Bar」にてメモラブル・フィルミーソングを継ぎあわせていたバンダカルは、社会派を氣取っていてもやっぱり芯はボリウッドに染まっているのがよい。

メインリードのコンコナー・セーン・シャルマーは、まだまだブレイク前。
収穫は、編集長役のボーマン・イラーニーだ。他のボリウッド作品ではオーバー・アクティングに見えがちな西洋映画的演技メソッドが珍しくマッチング。
マードヴィーに<ジャーナリズム>を目覚めさせる先輩記者役のアトゥール・クルカルニーは「Chandni Bar」に続く出演だが、特異なキャラクターだけあってやや異質な印象を受けるも、社会的なテーマにシフトしてゆく後半に活躍。
パーティーを徘徊する上層部のACPと異なり、現場で睨みを効かすインスペクター・アルン役のウペンドラ・リマイェーも味わい深い。

一方、唖然とするような演技を見せるナスィール・アブドゥーラーは、デビュー作Dil Aashna Hai(心は愛してる)」(1992)据え置きの氣不味い芝居が意外にも上流階級の無関心な暮らしぶりを炙り出す効果を生み出している。
喰われ女優ガヤトリー役ターラー・シャルマーは、長い黒髪が美少女風ながらダミ声なのが難点。このへんが伸び悩みの理由だろう。

その他、セレブなマダムにクニカー、パーティー主催のNRIにMunna Bhai MBBS(2003)のDr.ルスタム役、クルーシュ・デブーが、Khatta Meetha(酸いも甘いも)」(2010)のマノージ・ジョーシーがドライバー役、またGandhi My Father」ガンジー、わが父(2007)のダルシャン・ジャリワーラーが大役前にパーティーの客(アテレコ)でちらりと出演。
あのボビー・ダーリンが売れっ子デザイナー役で登場というのも嬉しい限り。

冒頭の献辞を捧げられているシャトルガン・スィナーDabanggソーナークシー・スィナーの父)夫妻、ラージ・バッバルNikaah)は共にボリウッド・スターにして政治家。
これこそ本作の本質と言えそうだ。

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