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Khatta Meetha(2010)#270

2011.06.14
オススメ度 =陳腐 ★★=退屈 ★★★=平均点 ★★★★=面白い! ★★★★★=お気に入り!!

Khatta Meetha「Khatta Meetha(酸いも甘いも)」★★★☆
カッター・ミーター

企画(製作):トゥインクル・カンナー(アクシャイ・クマール)/原案・脚本・監督:プリヤダルシャン/台詞:ジャイ・マスタル/撮影:V・マニカンダン/

作詞:イルシャード・カミル、ニティン・ライカル、シェーザード・ローイ(bull shit)/音楽監督:プリータム/振付:ガネーシュ・アチャルヤー、ポニー・ヴェルマー、C・プラサンナー・スジート/背景音楽:オウセパッチャン/アクション監督:アッバース・アリー・モーグル、グルバッチャン/プロダクション・デザイン:サブー・シリル/編集:アルン・クマール

出演:アクシャイ・クマール、トリシャー、ウルワシー・シャルマー、アルナー・イラーニー、ジョニー・リーヴァル、ラージパル・ヤーダウ、クルブーシャン・カルバンダー、アスラーニー、マクランド・デーシュパーンデー、ティヌー・アナン(=アーナンド)、ミリンド・グナージー、マノージ・ジョーシー、ニーラージ・ヴォーラ

公開日:2010年7月23日(年間11位/日本未公開)

STORY
零細土建屋を引き継いだサチン(アクシャイ)は、大口の契約をとるために市当局の部長ゲーヘナー(トリシャー)相手に悪戦苦闘。ところが、腹黒い義兄たちの策略から妹のアンジャリー(ウルワシー)が惨殺され…。

Khatta Meetha

(c)Eros Entertainment,2010.

Revie-U
昨年は作風の異なる作品を3本放った早撮り+リメイク職人のプリヤダルシャン
本作もマラヤーラム映画時代の「Vellanakalude Nadu」(1988)をリメード。主人公がYeh Teraa Ghar Yeh Meraa Ghar(君の家、僕の家)」(2001)のスニール・シェッティー同様、コウモリ傘(日傘兼用)を片時も離さない野暮な出で立ちなのは、本作の原版におけるモーハンラールからの継承。ただし、ドーティー(伝統の一枚腰布)ではなくなっている。

 

主演は「Hera Pheri(イカサマ)」(2000)以降、これで6本のオファーを数えるアクシャイ・クマールチャンドニー・チョーク・トゥ・チャイナ」CC2C(2009)のシドゥーとはひと味違ったダサ男役だが、侮辱された妹のために果敢に身体を張るまっすぐなキャラクターが好感。

Khataa Meetha

(c)Eros Entertainment,2010.

ヒロインは、南インド映画界からボリウッド・デビューとなるトリシャー・クリシュナン
Filmfare South(南インド限定の映画賞)で何度も主演女優賞を獲っている彼女だが、ボリウッド水準からすると今ひとつ華に欠けるのが惜しい(襟付きチョーリーはよい)。

ただ、落ちぶれたとはいえ、そこそこ豪勢なハーヴェリー(旧家の豪邸)や道路工事場面などの生活者ぶりがしっかり再現されていて目を愉しませてくれる他、Band Baaja Baaraat(花嫁行列狂騒楽団)」(2010)のような傾向映画と違い、クセのある脇役俳優がたっぷり顔を見せているのが嬉しい。

サポーティングは、サチンの片腕となるボケ男ランギーラにラージパル・ヤーダウ
隠居した父親にGhayal(傷ついた者)」(1990)、Water(2006)の名優クルブーシャン・カルバンダー。
母親にかつてはヴァンプ女優として鳴らしBeta(息子)」(1992)やRaja Babu(ラージャー坊ちゃん)」(1994)のアルナー・イラーニー
ヒロインの兄にKhiladi 420(偽闘士)」(2000)のニーラージ・ヴォーラ

Khatta Meetha

(c)Eros Entertainment,2010.

腹黒義兄たちにKyon Ki…(なぜならば…)」(2005)のマノージ・ジョーシーDevdas(2002)のミリンド・グナージー。彼らの犠牲になるドライバー役がティヌー・アナン(=アーナンド)
そして、ゲスト出演的に場面をさらうロードローラーワーラー(運転手)役にジョニー・リーヴァルが登場! もちろん暴走するのは期待通り。

不運な妹役にはNaqaab(仮面)」(2007)でデビューしたウルワシー・シャルマー。173cmの高身長が邪魔するのかヒロイン女優は遠のくばかりで、Kisna(2005)のイーシャー・シャルワーニーの二の舞にならなければよいが。

製作はアッキーの自社プロダクションであるハリ・オーム・エンターテイメントで、アッキー夫人であるトゥインクル・カンナーが<プロジェクト・デザイナー>としてクレジットされている。

一方、作品のトータル・デザインを手がけるプロダクション・デザイナーは、プリヤダルシャンの盟友サブー・シリルが担当。
ハーヴェリー内のアンティークな趣味からぶち壊されるオープン・セットのヒロイン宅、実物そのもの精巧に作られたロードローラー(本物は重すぎるため)など目を見張るばかり。緻密なデザインを誇るだけあって、通常、高さが合わないためファイルが斜めにぶち込まれている書類棚がしっかり収まっているのは、几帳面な彼らしい。

このオンボロ・ローラーを引っ張る象がなんとなくデジタル処理されているのは、映画での動物虐待にうるさいインドならでは(現実はともかく)。ただし、CGIでなくフィルターでそれっぽく見せているのが、実に確信犯。

Khatta Meetha

(c)Eros Entertainment,2010.

大学時代に恋人だったものの、手痛い別れを経てサチンとは犬猿の仲のヒロイン、ゲーへナー。建設部長に出世した彼女と再会するも蟠(わだかま)りは氷解せず、サチンは一杯喰わせるために、なんと偽装賄賂を仕掛けて彼女を逮捕させてしまう!
これはさすがにお灸の据え過ぎ。しかも彼女は自殺を計って一命を取り留めるのだ。
しかし、これがボリウッド、というよりマラヤーラム映画仕込みのプリヤダルシャン流ツイスト。病室のベッドに横たわる彼女の前でサチンが滔々(とうとう)と胸の内を発露。ゲーへナーは、そっと彼を受け入れるのだ。

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