Officer(2001)#265
Officer 01.05.11改稿 ★★★
製作:ファルーク・ナディアドワーラー/原案・脚本・台詞・監督:ナイーム・シャー/撮影:V・ショーカット/作詞:サイード・ラフィ、ナワーブ・アルズー/作詞・音楽・背景音楽:ディーパック・チョウドリー/振付:シャンカル&ロリポップ/美術:ラトナカル・パドケー
出演:スニール・シェッティー、ラヴィーナー・タンダン、サダーシヴ・アムラープールカル、ユシフ・クラム、ダニー・デンゾンパ、シャーバーズ・カーン、プラモード・ムトゥ、ヴィシュワジート・プラダーン、テージ・サプル、ソニア・カプール
STORY
特捜刑事サーガル(スニール)は、親友の保険屋ゴーパル(ユシフ)から実業家プラタップ(ダニー)を紹介され、自殺僻のある彼の妻ミーナル(ラヴィーナー)の監視を依頼される。そして、ふたりに恋心が芽生えた矢先、ミーナルは建築中のビルから飛び降り自殺を計る。高所恐怖症のため彼女を救うことが出来ず、意氣消沈してゴアで休養するサーガルが出会ったのは、ミーナルと瓜二つのナミーター(ラヴィーナー)だった…。
Revie-U
自殺願望の妻が海へ飛び込み、監視していた男の家で濡れた服を取り替えられる?
主人公が高所恐怖症??
そう、これはヒッチコックの不朽名作「めまい」(1958=米)のイタダキ、それもアクション版なのだった。ヒッチのオリジナルでは冒頭で、SFPDの刑事ジェイムズ・スチュアートがビルの屋根を伝って逃げる犯人を追跡中、誤って落ちそうになり高所恐怖症になったことが明かされているが、こちらは中盤、監視と称してデート中、遊園地で観覧車に乗り露見(幼い頃、屋上に逃げた強盗から突き落とされる!)。
しかし、ラヴィーナー・タンダンは健全過ぎ。オリジナルのキム・ノヴァクの持つ、どこか漂うような妖艶さが足りない。
偏愛ロマンティック・サスペンスのオリジナルは、死んだ女を忘れられない主人公が瓜二つの女を彼女に仕立て上げ、ついには転落死させてしまうというサイコがかった作品。本作では中盤でラヴィーナーがすり替えを告白。一転、保険金を狙う真犯人を探すアクション・ミステリーに(といっても、想像付くの展開)。
主演のスニール・シェッティーは「Dhadkan(鼓動)」(2000)で偏執的求愛者を演じているが、本来のアクション・スターらしい活劇をこなす。自宅でドラム・セットをたしなむ姿もよい(ラヴィーナーが寝ているというのに…)。
さて、キーパーソンを演じるダニー・デンゾンパは、「セブン・イヤーズ・イン・チベット」(1997=米)にもティベットの摂政役で出演。シッキム王族の血を引くというだけあってエクゾチックで、アクションもなかなかのもの。アニル・カプールにNational Film Awards主演男優賞をもたらした「Pukar(叫び)」(2000)の敵役も迫力満点。
サポーティングは、サーガルの踊れる使用人役に「Kachche Dhaage(不完全な鎖)」(1999)のサダーシヴ・アムラープールカルなどを配役。
どこかで聞いたようなバックスコアを手がける作詞・音楽・背景音楽のディーパック・チョウドリーも映画のグレードにマッチした仕事ぶり。
原案・脚本・台詞・監督を兼ねたナイーム・シャーの腕前は、サプライズを狙って観客を欺く不誠実な脚本共々、Bグレード。それなりに楽しめるのがこの手の映画のポイントか。