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Prince(2010)#263

2011.06.01
オススメ度 =陳腐 ★★=退屈 ★★★=平均点 ★★★★=面白い! ★★★★★=お気に入り!!

Prince「プリンス」Prince(未公開ソフト)★★★☆

製作:レーヌー・タウラーニー、クマール・S・タウラーニー/監督:コーキー・V・グラティ/原案・脚本:シラーズ・アフメド/台詞:マユール・プリー/撮影監督:ヴィシュヌ・ラーオ/作詞:サミール/音楽監督:サチン・グプタ/振付:ボスコー-カエサル、ポニー・ヴェルマー/背景音楽:サンディープ・シロドーカル/アクション監督:アラン・アミン/衣装:ナレンドラ・クマール・アフメド/美術監督:キラン・K・カンナー/プロダクション・デザイン:スカンタ・パニグラフィ/VFX:タタ・エクジシ ELXSI LTD-VCL/編集:ニコラス・トランバシエヴィッツ

出演:ヴィヴェーク・オベローイ、イザヤー、アルナー・シールズ、ニールー・スィン、ダリープ・タヒル、マニーシュ・アナン(=アーナンド)、マユール・プリー、ラージェーシュ・カッタル
特別出演:ナンダナー・セーン、サンジャイ・カプール

公開日:2010年4月9日(日本未公開)

Prince

(c)Tips Film, 2010.

STORY
記憶を失いながらもある朝目覚めた彼(ヴィヴェーク)は、自分が国際的に活動するハイテク盗賊のプリンスだということを知る。やがて、自称恋人マーヤーという謎の女たちが次々と登場。そして謎のコインを巡ってI-GRIP(インド国際情報局)や国際的シンジケートのドン、サーラング(イサイアー)が動き出し…。

Revie-U
Dum(強靱)」(2003)、Shootout at Lokhandwala(2007)、「Mission Istanbul」(2008)など骨太路線が似合うヴィヴェーク・オベローイを主演に米「ミッション:インポッシッブル」系アクション。
「it’s show time」という歯の浮くキメ台詞と共に、10年ほど前にさんざん流用された某「アニメ」の夜景ダイヴなど観ている方が氣恥ずかしくなりそうな引用コラージュが満載なれど、ここまで金とVFXを注ぎ込んであると心地よくもある。
ヴィヴェークは、アイシュと別れた後、やっかみも含めてかなりの日陰道を歩むこととなり、一枚看板の主演としてはKisna(2005)以来の新作となる。

肝心のストーリーは、記憶を埋め込んだチップが絡むなどありがちながらトリッキーなツイストの連続でなかなか楽しめる。
プリンスに忍び寄る謎の美女マーヤーがニールー・スィンナンダナー・セーン(アテレコ)、アルナー・シールズ(アテレコ)とどれも怪しく、記憶を失ったプリンスにとってその名の通りマーヤー(幻影)となっているばかりか、この3人が「羅生門」=「藪の中」同様、謎めいて展開。そして何よりこの3人、どれもパッとしないため、ヒロインがなかなか見抜けないのがよい(苦笑)。

このナンダナー、サンジャイ・リーラー・バンサーリー作品「Black」(2005)では理知的な印象だったものの、続くB級駄作「Tango Charlie」(2005)でさっそく色物女優に格落ち。本作では<特別出演>扱いでバイクに跨る悪女ぶりを披露しているが、やや外し氣味。

Prince

(c)Tips Films, 2010.

真のヒロインとなるアルナー・シールズは、英国出身のアングロ・インディアン(英国系インド人)。英「マイプライベートセックス」が未公開ソフト化されている。
スタイル上々のモデル系美人ではあるが表情が乏しい上、例によってアテレコであるため芝居が浮いてしまい玉に瑕。

Prince

(c)Tips Film, 2010.

一方、本作に色を与えているのが、国際シンジケートのドン、サーラングに扮するイザヤー。これがボリウッド・デビューとなる(これまたアテレコ)。ヴィヴェークに勝るとも劣らない骨太な存在感を持つ。
メカニカルな右腕は、ヒメーシュ・リシャームミヤー主演「Karzzz…(借りりり…)」(2009)でのメカニカル・グローブをCGIにより進化させた借用アイディアだろう。

10年代に入り、ボリウッドでも過剰にワールドワイドな作品が少なくなって寂しくもあったが、本作では南ア(ダーバン、ケープタウン、ヨハネスブルグ)、タイ(バンコック、パタヤ)で大規模なロケーションを敢行しており、そのバブリーさがたまらない。
ちなみに終盤、パキスタンとアフガニスタンの国境付近として登場する渓谷はインド国内マナリでの撮影。きっと、うまくいく」3 Idots(2009)にも使われたロケ地だ。

Prince

(c)Tips Film, 2010.

米「バットマン」シリーズへの敬愛やアメコミ風ハリウッド・アクションを狙った製作スタイルは筋が通っていて、編集に、ジェット・リー主演「ダニー・ザ・ドッグ」(仏米)や「PUSH 光と闇の能力者」(米)を手がけたニコラス・トランバシエヴィッツを招いていることからもその氣気込みが見て取れる。

サポーティングは、I-GRIP(インド国際情報局)のチーフにSoldier(1998)のダリープ・タヒル
プリンスの世話をする謎の使用人PKにシャー・ルク・カーン製作・主演Om Shanti Om」オーム・シャンティ・オーム(2007)にも姿を見せていたマユール・プリーが本作の台詞と兼業で配役(ただし、台詞作家としてはやや退屈な仕事)。
そして、事件の真相に迫る?CBI(インド中央捜査局。米FBIに相当する実在機関)オフィサーにChuppa Rustam(大勇者)」(2001)のサンジャイ・カプール。映画のテイストをBグレードに落とす効果的なキャラクターぶりが苦笑。

さて、音楽監督にはインディ・ポップ出身のサチン・グプタを、リード・プレイバックパキスタニー・ポップのスター・シンガー、アーティフ・アスラムをフィーチャル。甘い歌声が未来感に郷愁を添える。
さらに重厚なバックスコアを提供するサンディープ・シロドーカルが収穫。

スタローンinハリウッド」Kambakkht Ishq(2009)に続く未公開ソフト化にはオススメの作品と言えよう。

追記 2013.06.19邦題「プリンス」として、本年1月11日に未公開ソフト化されている。

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