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Radio(2009)#259

2011.05.25
オススメ度 =陳腐 ★★=退屈 ★★★=平均点 ★★★★=面白い! ★★★★★=お気に入り!!

Radio

ティラキタでCDを試聴する。

Radio ★★★★
レーディヨー

製作:ラヴィ・アグラワル/脚本・監督:イシャーン・トリヴェディ/撮影:アッタル・スィン・サイニー/作詞:スブラト・スィナー/音楽:ヒメーシュ・リシャームミヤー/振付:シャビナ・カーン・アンサーリー、ロンギヌス・フェルナンデス/背景音楽:バッピー-トゥトゥル/プロダクション・デザイン:ワシーク・カーン/編集:アーリフ・シェイク

出演:ヒメーシュ・リシャームミヤー、シャーナーズ・テレーズリーワーラー、ソーナル・セーガル(新人)、パレーシュ・ラーワル、ラージェーシュ・カッタル、ウルワシー・ヤーダウ、ヒマーニー・シヴプリー
カメオ出演:ザーキル・フセイン

公開日:2009年12月3日(日本未公開)110分

Radio

(c)Plus Entertainment PVT LTD, 2009.

STORY
レディオ・ミルチのスターRJヴィヴァン(ヒメーシュ)は、行き違いから妻プージャー(ソーナール)と離婚して女性関係<リレーションシップ>は懲り懲り。しかし、ひょんなことから出会った健氣な娘シャーナーヤー(シャーナーズ)とのコンビを番組上、仕掛けることになって…。

Radio

(c)Plus Entertainment PVT LTD, 2009.

Revie-U
バブリーなゼロ年代後半を自らプレイバックした破竹系サウンドで一世風靡した音楽監督ヒメーシュ・リシャームミヤーの主演第3弾。役どころは、1979年、白いアンバサダーの中で生まれ落ちた<すべてに混乱した男>。
RJ(レディオ・ジョッキー)という設定から俳優デビュー作「Aap Kaa Surroor」(2007)での歌手役、つまりは彼自身に乗っかった映画と思えそうだが、どうしてどうして役者という素材としての魅力が引き出されており、これがなかなかに佳い。
ヒメーシュ提供の楽曲もひと皮むけた大人のテイストで、主題歌mann ka redio(心のレディオ)」における歌唱力も深い奥行きを持ち、心を奮わせる。

Radio

(c)Plus Entertainment PVT LTD, 2009.

ヒメーシュ演ずるヴィヴァンは、ラジオでは歯切れのいいトークを聞かせるものの、実生活では妻とすれ違い協議離婚。財産分与で新型の****は手に留めるが、ダッシュボードに祀られたガネーシュ神像は元妻となったプージャーに持ち去られ、これが運の下降となり、より混乱した人生を送ることとなる。
この、コリオグラファー(振付師)で身を立てる妻プージャー役が、TV女優で銀幕デビューとなるソーナル・セーガル。ルックスはメグ・ライアンを地味にしたような印象。
離婚を突きつけたものの、元夫のヴィヴァンに心惹かれ続ける。

Radio

(c)Plus Entertainment PVT LTD, 2009.

そして、ヴィヴァンとプージャーの合間に巻き込まれる形となるのが、若いシャーナーヤー。パルシー(ペルシア系のゾロアスター教徒)の母とパンジャービー(クセのあるバックボーン、という意味合い)の父を持ち、ヴィヴァンをより混乱させる設定。
扮するは、シャーヒド・カプール共演「Ishq Vishk(愛に恋)」(2003)でボリウッド・デビューを果たしたシャーナーズ・テレーズリーワーラー。その後、伸び悩んだだけに愛らしくもある一方、どこか押しが弱く、それ故、本作ではソーナルとどちらが真のヒロインとなるか、ヤキモキさせられる仕掛け。

監督は、イルファン・カーン N ジュヒー・チャーウラー共演「7 1/2 Phere(7周半)」(2005)でこれまた混乱したラヴ・ストーリーを手がけたイシャーン・トリヴェディ
離婚や友情以上恋愛未満の三角関係をテーマに、チャプターを区切り、スタイリッシュな映像に乗せた都市型映画に仕上げており、そのスタイルはロバート・アルトマンの群像劇を思わせる。

Radio

(c)Plus Entertainment PVT LTD, 2009.

しかしながら、部屋に元夫を招き入れたプージャーがそっとChalte Chalte(ゆきゆきて)」(2003)のメローなタイトル・ナンバルを流し、ふたりが元の鞘に戻るかに思わせるなどボリウッド技がいじらしい。

若いシャーナーヤーは「とっても」を「バート」と発音、その度にヴィヴァンが「バフォット(=バフット)」と訂正する。言わば、「ら」抜き言葉の20代女子と40男の年の差カップル(ヒメーシュは37だが設定は30)。

Radio

(c)Plus Entertainment PVT LTD, 2009.

結局、ヴィヴァンが選ぶのは、騒々しい一家と暮らすシャーナーヤーの方。婿殿扱いながら、衛星TVのパラボラアンテナを大騒ぎでチューニングさせられる、そんな雑音混じりの家族がヴィヴァンの心を捕らえた訳だ。
西洋的なライフスタイルから核家族志向にある現代(都市部)インドにあって、<家族>に回帰してゆくのがインドの伝統を振り返る10年代初頭のトレンドを先取りしていると言えよう。

また、一見まったくストーリーに絡まないが、人を喰った幕間スケッチとして名優パレーシュ・ラーワルのちょっとしたコントが挿入され、こちらも秀逸。

That's Bollywood 2000's.

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