ブック・レビューfile.6 brand bollywood
2011.05.13
毎週金曜日にナマステ・ボリウッドのサポーター・ショップからオススメ商品を紹介!
「brand bollywood」
Derek Bose
SAGE Publications
English / 138×215×15mm / 230 pages
書肆なゆた屋/2200円(2009年7月現在/送料別)
長年、映画雑誌に携わってきた映画ジャーナリスト、デーレーク・ボースがカラン・ジョハールとヤーシュ・チョープラーから思いついたという本書、タイトルもズバリ「brand bollywood」。もっとも、ボリウッドのブランドヴァリューを検証するというよりは、今後、コンテンツ産業としてより発展してゆくための提言が詰まっている。その点では、日本のMANGAビジネス書にも類書があってしかるべき内容だ。「シャー・ルク・カーンがブラッド・ピットと主演を分け合ったり、アイシュワリヤー・ラーイがトム・クルーズのヒロインを務めるのもそう遠くない」と2006年の初版時に書かれた一節も、「スラムドッグ$ミリオネア」でアニル・カプールがセカンドリードを務め、アイシュも「ピンクパンサー2」に出演を果たし、ワーナーやディズニーがインド国内でローカル・プロダクトを始めた現在、時代が追いついてしまった感がある。本書が提唱するビジネスモデルは先を行く存在としてのハリウッドであり、米国が閉塞感を抱える現在では姉妹書が望まれる。もっとも、ボリウッドの世界戦略に依然、日本市場が含まれていない点を取り残されている我々自身が考察するためにはよい資料となるだろう。
(ナマステ・ボリウッド #19 2009年7月号初出)
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