+44号記事紹介「ボリウッド異文化研究所❸ボリウッド おける 性描写の変貌」
2012年、ニュー・デリーで起きた無認可バスにおける集団レイプ事件以降、インド国内で頻発するレイプ事件が国際的に問題視されている。今年(2015年)1月にはビハール州で日本人女性が3週間監禁される事件をはじめ、3月には西ベンガル州で71歳のカトリック修道女がギャング・レイプを受け、タミル・ナードゥ州では聖なる雌牛をレイプする事件までも起きている。性暴力に対して厳罰化され死刑判決も出ているが効果は薄く、事件をセンセーショナルに扱うメディア報道やネット/MMSの普及が模倣犯を造成しているとも言えるのが現状だ。
しかしながら、インドーー南アジアにおけるギャング・レイプは近年急増したのでなく、長年に渡って女性(あるいは男性被害者)を蹂躙し続けて来た深刻な問題であった。同様に、インド映画におけるレイプ・シーンの多さも以前から指摘されていた。男性観客のリビドーを商売にして来た一方、ここ数年のボリウッド映画における性描写にも変化が見えて来た。この傾向を掘り下げてみたい。
すぎたカズト(ナマステ・ボリウッド)
トラフィッキング=根深い人身売買の問題
ミーラー・ナーヤル監督の『サラーム・ボンベイ!』Salaam Bombay!(1988)はボンベイの赤線地帯フォークランド・ロードが舞台となっていて、そこへ売られて来るのがネパールからの少女であった。ネパール貧困層から身売りされたり、誘拐され人身売買される少女は年間1万人とも言われていたが、本年4月25日に発生したネパール大地震の影響からこれが加速し、7月には28人の女性を人身売買の目的でドバイへ送ろうとしたエア・インディア従業員2名が逮捕され、大半はネパール人の被災女性だったと報道された。背景には貧困・教育問題も絡み実に根深い。
街中で女性を拉致しては売春を強いる人身売買組織を描いた作品には、テルグ「Gulabi(ピンク)」(1996)のリメイド、ボビー・デーオール主演「Aashiq(愛)」(2001)があり、強引に拉致するだけでなく、恋愛に疎い女子を駆け落ちと称して連れ出すパターンが見られる。
そして、昨年、このトラフィッキングを真っ向から取り上げたのが、ラーニー・ムカルジー版「Sarfarosh(命懸け)」(1999)とも言える「Mardaani(勇ましき女)」(2014)だ。実話ベースで脚本が書かれており、映画内の説明によれば、インドは人身売買の世界的なハブ(中継地)になっており、8分に1人の割合で子供が誘拐され、年間約4万人が虐待され、1万1千人が行方不明のままだという。
この売春クラブには男だけでなく女も関与していて、更に大臣も訪れる。さもありなん、というだけでなく、「(ギャンブルについて)取り締まる事は不可能、という事は簡単だ。レイプは防げないならエンジョイしろ、と言うようなものだ」(2013年11月、インド中央捜査局局長)、「レイプはうっかり起きる」(2014年6月、チャッティスガル州内相)、「レイ その「Mardaani」クライマックスだが、「おまえを逃がさない」と歌うサビに、「これがインドだ」と台詞が繰り返され、拉致されていた少女たちー人民の怒りが爆発する形となっている。タイトルは〈男らしさ、勇ましさ〉を意味する男性詞「Mardaana」を女性形にしたもので、インド女性もタフに立ち上がれ、とエールを贈る。
以下、続きの記事全文は、「ナマステ・ボリウッド+44号」をご覧下さい。
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