56th Filmafare Awards 2011
今年で56回を数え、インド政府が選定するNational Film Awardsと同じく長い歴史を持ち、ヒンディー映画産業で最も愛される「Filmfare Awards」が発表された。後発の映画賞の授賞式に先行されてしまうためインパクトが薄まってしまうためか、繰り上がって行われたものの、やはり受賞作品の顔ぶれは、Zee Cine Awards、Screen Awardsと大差ない。
逆に「Filmfare Awards」としてどう配分するかが注目するところであった。昨年のトップ1メガヒットであるサルマーン・カーン主演「Dabangg(大胆不敵)」が先の映画賞で圧勝を重ねて来たのに対し、監督賞(カラン・ジョハール)、主演男優賞(シャー・ルク・カーン)、主演女優賞(カジョール)がトリオで征し「マイ・ネーム・イズ・ハーン」My Name is Khan に面目を保たせつつ、「Dabangg」に作品賞はじめ5冠を与えている。
一見、これで因縁のトップスター両作を持ち上げた形に思えるも、その実、2010年におけるボリウッドの動向を如実に炙り出しているのが、ノンスター小品「Udaan(飛翔)」が最多の7部門制覇。この他、先鋭的な「Love Sex Aur Dhokha(ラヴ、セックス、そして裏切り)」2冠などからして、既存のメジャー作品に対してニュー・ストリームの隆盛ぶりが見てとれる。
カランの「MNIK」にしても「旧来」のスタイルからの脱却ととれ、ボリウッド全体でこの傾向は進むであろう。ただ、ここで云う「旧来」は単純に「歌と踊りのあるマサーラー映画」でなく、音楽面に関しても2010年後半からゼロ年代中盤あたりに強まったクラブ系サウンドの勇み足から変化を見せていること、またグルザールの「Kitaab(本)」(1977)などのように実は古くから市井の暮らしをみつめた非マサーラー映画の歴史があり、10年代に入って軌道修正が為されているように思える。
作品賞
「Dabangg(大胆不敵)」
監督賞
カラン・ジョハール/「マイ・ネーム・イズ・ハーン」My Name is Khan
主演男優賞
シャー・ルク・カーン/「My Name is Khan」
主演女優賞
カジョール/「My Name is Khan」
助演男優賞
ローニト・ローイ/「Udaan(飛翔)」
助演女優賞
カリーナー・カプール/「We Are Family」
新人男優賞
ランヴィール・スィン/「Band Bajaa Baaraat(花婿行列狂騒楽団)」
新人女優賞
ソーナークシー・スィナー/「Dabangg」
新人監督賞
マニーシュ・シャルマー/「Band Bajaa Baaraat」
音楽賞
サジード-ワジード&ラリット・パンディット/「Dabangg」
作詞賞
グルザール/「Ishqiya(色欲)」〜「dil toh baccha hai ji(心は子供のままに)」
男性プレイバックシンガー賞
ラーハト・ファテー・アリー・ハーン/「Ishqiya」〜「dil toh baccha hai ji」
女性プレイバックシンガー賞
マムター・シャルマー/「Dabangg」〜「munni badnaam」
スニディー・チョハーン/「Tees Maar Khan(勇ましき大法螺野郎)」〜「sheila ki jawani」
ストーリー賞
アヌラーグ・カシャップ&ヴィクラムアディティヤ・モトワン〜「Udaan」
脚本賞
アヌラーグ・カシャップ&ヴィクラムアディティヤ・モトワン〜「Udaan」
台詞賞
ハビブ・ファイサル/「Band Bajaa Baaraat」
撮影賞
マヘンドラ・シェッティー/「Udaan」
振付賞
ファラー・カーン/「Tees Maar Khan(勇ましき大法螺野郎)」〜「sheila ki jawani」
アクション賞
ヴィジャヤン/「Dabangg」
衣装賞
ワルシャー・シルパー/「Do Dooni Chaar」
背景音楽賞
アミット・トリヴェディ/「Udaan」
編集賞
ナムラター・ラーオ/「Love Sex Aur Dhokha(ラヴ、セックス、そして裏切り)」
音響設計賞
プリータム・ダース/「Love Sex Aur Dhokha(ラヴ、セックス、そして裏切り)」
クナール・シャルマー/「Udaan」
プロダクション・デザイン賞
ムクンド・グプタ/「Do Door Chaar」
ベスト・シーン賞
「Golmaal 3」
生涯功労賞
故マンナ・デイ
40周年記念賞
アミターブ・バッチャン
批評家選作品賞
「Udaan(飛翔)」
批評家選主演男優賞
リシ・カプール/「Do Dooni Chaar」
批評家選主演女優賞
ヴィッディヤー・バーラン/「Ishqiya」