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カタックを語る。#02 旧「Umrao Jaan」(1981)

2010.10.25

Katha Kahe Kathak

みやびカタックダンスアカデミー

Devdas(2002)でマードゥリー・ディクシトに振付を施したインド人間国宝Pt.ビルジュ・マハラジ師に直接師事したインド宮廷舞踊家、佐藤雅子女史みやびカタックダンスアカデミー主宰)による「ナマステ・ボリウッド」連載コラム。華麗な舞踊について月1でアップしてゆきます。

カタックを語る。
#02 踊り子達の系譜〜「Umrao Jaan」(1981)
(ナマステ・ボリウッド#04号/2007年3月号初出)

高級タワーイフ(芸妓)となったウムラーオの哀しい反省を描いた「Umrao Jaan」踊り子(1981)。古きよき時代のラクナウとその文化を豊かな感性で描いたこの作品は、演技、詩、歌曲、台詞、踊りはもちろん、セット、衣装、ジュエリー、装飾品等、細部に至るまで凝りに凝って作られ、名女優レーカーが主演し、国民的ヒットを博した。

美しい。全てにおいて、非の打ちどころ無く美しい。
舞台は19世紀のラクナウ。英国のインド進出、そして隣国ラージプート一族との関係悪化によって終焉に近づくムガル帝国を逃れ、多くの芸術家達が目指したアワド藩王国の首都である。ワジド・アリー・シャー太守によってムガル芸術が最後の花を開かせていた。
他国の脅威を忘れ、一時の夢を見るために貴族の子弟達がこそって訪れていたコーター(郭)では酒が振る舞われ、ガザル(愛を詠む詩歌)を作り、歌い踊ることのできる美しいタワーイフが賞賛された。
劇中、5曲のガザルが歌われているが、そのうち3曲がレーカーによって踊られている。振付は、カタックダンスの古典ナンバーを熟知したクムディニ・ラキア女史ゴーピー・クリシュナ。格調高い詩と心に響く旋律、目にも麗しいダンス・ナンバー。英国統治以前の、リッチで誇り高いインド文化を垣間見ることができる。監督は北インドの粋人ムッザファー・アリー。芸術に造詣の深いのは、アワド藩王国の貴族に連なる故。詩韻の美しさがウルドゥー語マニアには堪えられない。カタックの心に触れるには、必見である。

佐藤雅子/インド宮廷舞踊家。1995年渡印、インド人間国宝Pt.ビルジュ・マハラジ師に直接師事。師の許しを得て、2005年帰国。みやびカタックダンスアカデミーを設立し、2008年、東京都千代田区麹町に専用スタジオをオープン。古典のカタック・クラスの他、ボリウッド・カタック・クラスも併設中。

Umrao Jaan (1981)

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