カタックを語る。#01 新「Umrao Jaan」
カタックを語る。
#01 踊り子達の系譜〜「Umrao Jaan」(2006)
(ナマステ・ボリウッド#03号/2007年1月号初出)
「Umrao Jaan(ウムラーオ・ジャーン)」(2006)は19世紀の文人、ミルザー・ルスワーによって書かれた高級タワーイフ(芸妓)の物語を再映画化。インドが誇る超美人女優アイシュワリヤー・ラーイ扮したウムラーオが歌い踊るのはガザル(愛を詠む歌)…。
1996年の冬。親交していたインド人マダムに、VIPが頻繁に訪れるというパラスに連れて行ってもらった。広大な庭園に組まれた舞台で、着飾った若い踊り子が二人、音楽と歌の伴奏にのって次々とサム(静止)を決めていく。しかし、それは国立舞踊学校カタック・ケンドラで習っていた正統派の踊りとは全く違っていた。
カタック・ダンスの歴史を調べていくにつれ、学校で習っていたものが、インド人間国宝ビルジュ・マハラジ師によって、伝統を残しながら時代に合わせて新しく創られていったのもので、パラスで見たカタック・ダンスが19世紀から20世紀初頭にかけてタワーイフ達の住むコーター(白い塀で囲われた家屋)で踊られていた形式であるらしいということが判ってきた。
新「Umrao Jaan」では、一般的なコーターで踊られていたと思われるカタック・ダンスを垣間見ることができる。コーターに引き取られた少女達がタワーイフとなるためにグル(師匠)から特訓を受けているシーンで、サムが決まったときの彼女たちの表情は真剣である。
佐藤雅子/インド宮廷舞踊家。1995年渡印、インド人間国宝Pt.ビルジュ・マハラジ師に直接師事。師の許しを得て、2005年帰国。みやびカタックダンスアカデミーを設立し、2008年、東京都千代田区麹町に専用スタジオをオープン。古典のカタック・クラスの他、ボリウッド・カタック・クラスも併設中。
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