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インド映画はお祭りがいっぱい(6)ガネーシュ聖誕祭

2011.02.07

早稲田大学でボリウッド映画を題材にインド学を研究している高橋 明氏による「ナマステ・ボリウッド」連載コラム。毎回、映画に登場するインドのお祭りを月1でアップしてゆきます。コラムと連動したボリウッド講座@早稲田大学も企画しています。次回、開講をお楽しみに。

6章 バードラパダ 太っちょ三日月の日はガネーシャ神の誕生日
/ガネーシュ・チャトゥルティー

(ナマステ・ボリウッド #20/2009,9月号)

雨季第2月バドンの4日はガネーシュ(聖天)の誕生日、ガネーシュ・チャトゥルティーアッキーディーピカーミトゥン・ダー(兄貴)、Are you stupid?の超端役さんまでステキだったチャンドニー・チョーク・トゥ・チャイナ」CC2C(2009)ではジャガイモ姿で出演、なんだかんだ言われながら山も谷もオチも経巡って最後の対決へとアッキーを導いたあの方だ。障害を排し正しい道に導くという現世利益性ゆえ、またぽっこりお腹の幼児体型に象頭というご愛嬌も手伝って、現実でも映画でも人気が高い。
8月の三日月の日の翌日、自身の体に塗っていた白檀の粉をガンガー(ガンジス)の泥に混ぜて創出したパールヴァティーが母、行き違いから彼の首を刎ねてしまい、かわりに象の首をつけて再生したシヴァ神が父とされる。この日、人々は様々な共同体単位で、専業の職人から買っておいた泥粘土製の神像を新造の祭壇に安置し、プージャーを行う。「CC2C」のジャガイモ・ガナパティ開眼供養シーンをすこし真面目にしたものと思えばよい。荘厳した祭壇に安置した神像に宿った神を、水、花輪、供物、讃歌で、賓客をもてなすように歓待することをプージャーという。この祭りでは、ラッドゥーという黄色の球形で甘い粉菓子と牛乳の供物が特徴的だ。善男善女はお下がりのラッドゥーをいただき、さらに甘いお菓子を…祭りの期間中、信者たちは毎日礼拝を欠かさない。10日目の満月の日、神像を川(ムンバイでは海!)に流す。偶像を解消し、神を本来の居所(天界および人の心の中)にお帰りいただく。導きの神との関係はかくあるべし、だ。
「CC2C」のアッキーが本当の自分の心とそこに住みたもう神を覚って、最後の試練に打ち勝ったこととの相応は決して偶然でないだろう。
高橋 明(早稲田大学文学学術院非常勤講師)

CC2C

(c)2008 Warner Bros.Pictures(India)Pvt.Ltd.and RSE People Tree Films.

Satya(真実)」サティヤ(1998)ラスト近くのシーンがリアル。

次回、ボリウッド講座@早稲田大学は2011年4月に開講予定。
その前に、ボリウッドおしゃべりお茶会@西早稲田へどうぞ

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