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インド映画はお祭りがいっぱい(5)ティージ祭

2010.12.27

早稲田大学でボリウッド映画を題材にインド学を研究している高橋 明氏による「ナマステ・ボリウッド」連載コラム。毎回、映画に登場するインドのお祭りを月1でアップしてゆきます。コラムと連動したボリウッド講座@早稲田大学も企画しています。次回、開講をお楽しみに。

5章 ブランコは大地から天へのラブコール/
ティージ祭

(ナマステ・ボリウッド #19/2009,7月号)

「飛んでいけ、黒いカラスたち…私のことづけを持っていけ…庭にはブランコが今年も揺れて、マンゴーの実は熟して甘い…愛の歌の季節が、足の鈴を鳴らしてやってくる」亜熱帯インドの雨季(7月~10月)**は英語字幕でよくspringと訳される。これは誤訳ではなく、英語ネイティヴの人へのサービスだろう。花は咲き誇り緑が最も美しいこの季節の情緒は、我々から見ても春のそれに近い。インドの人々にとって、この湿り気が多く過ごしやすい季節は恋の季節とされるのだから、なおさらだ。
雨季は、天が大地に雨という愛を降らせ、大地はそれに答えて植物を天に向かって伸ばす、天地交感の季節だ。人はその営みのすこやかなるを祈って多くの祭りを捧げるばかりでなく、凧を揚げ、ブランコに乗って、空と交わる。季節限定の宗教的意味を持った習俗的遊びだ。ブランコを中心としたティージという祭りもある。「3日」という意味で、サーワン(7月)の三日月の日に行われ、盛装した女たちが野遊びをして儀礼的ブランコ遊びをする。こうした習俗が愛の季節を演出する大道具として、数多く映画に登場することに気づいている方も多いだろう。
宗教、身分、印パ分離時の騒乱、そして国境を越えて貫かれる「ひとつの愛の物語」、サニー・デーオルアミーシャー・パテール主演Gadar(暴動)」2001も十余年の月日を描きながら、雨季の場面が多い映画だ。ブランコ・観覧車(ヒンディーでは同じhindol***)の美しい情景が随所にちりばめられ、結婚生活をつづるミュージカル・シーンではティージも現れる。成長した息子と迎える歓びのホーリーで最後の戦いへの序曲が…しかし、心配するな。彼こそがボリウッド・ヒーローNo.1なのだから。
高橋 明(早稲田大学文学学術院非常勤講師)

カラスはもと人語をしゃべり、使者の役割を果たしていた(ギリシャ神話と同じ)。カラスに限らず、空を飛ぶ鳥、空を渡る風は雨季のメイン・アイテムのひとつ。
**雅を重んじる6季説だと雨季(7-8月)、秋(9-10月)となるが、実用的には雨季(7-10月)、冬(11-2月)、夏(3-6月)と3季説(古くから仏教徒が用い、庶民の実感にちかい)で考えるのが便利。
***aandol,jhuulaaなども同じ。hindol,aandolは「揺らす」、jhuulaaは「つるす」から来る言葉。映画では「ヒンドーラ」とサンスクリット式に発音する事も多いのが面白い。

次回、ボリウッド講座@早稲田大学は2011年1月22日(土)に開講致します。
詳しくは、こちらの情報ページをご覧下さい。

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