はやわかりボリウッド(3)

Namaste Bollywood #13
世界的な潮流となっているボリウッド。しかし、どういう因果か、日本はこの流れに乗れず、また国内でも未だ「インド=オヤジと美女が急に踊り出す変なB級映画」という刷り込みが拭えない状況にある。そこで、キング・オブ・ボリウッドことシャー・ルク・カーン主演作5本が怒濤の勢いで劇場公開/映画祭上映された2008年の「ボリウッド・ベスト」特集号より「はやわかりボリウッド」を5夜連続で再録してゆきます。
(text by すぎたカズト/ナマステ・ボリウッド#13 2008年10月初出改訂)
叡知を紡ぐ映画一族
インドの経済界を牽引しているのは、ひと握りの財閥。ボリウッドも同じく、映画一族が実に多い。これはスターに限らず、主立った制作プロダクションが映画製作者の家系であることは珍しくない。
家内制とも言えるシステムだが、ボリウッドではこれが実に有効に機能している。なにしろ、90年代のトップ5はいずれも映画一族、内4本は1〜2本目の新人監督なのだから驚き! トップ2「DDLJ」(1995)のアディティヤ・チョープラーは父のプロダクション、ヤシュ・ラージ・フィルムズを業界トップのコングロマリットへと発展、トップ4「Kuch Kuch Hota Hai」何かが起きてる(1998)のカラン・ジョハールもボリウッドのニュー・リーダーへと成長。蓄積された叡知と若き才能が結びつくインド経済活性化の秘訣を見るようだ。
1990年代トップ5
1 「Hum Aapke Hain Koun…! (私はあなたの何?)」(1994)スーラージ・バルジャーツヤー/監督2作目
2「DDLJラブゲット作戦」Dilwale Dulhania Le Jayenge (1995)アディティヤ・チョープラー/監督1作目
3「Raja Hindustani」 (1996)ダルメーシュ・ダルシャン/監督2作目
4 「Kuch Kuch Hota Hai」何かが起きてる(1998)カラン・ジョハール/監督1作目
5 「デザート・フォース」Border (1997)J・P・ダッタ/監督7作目
ボリウッド・スターの秘密
インド映画が絵空事を前提とした妄想映画であるのは、なにより美人女優が断トツに多いことが実証している。
それにしても、多くを要求されるのは、インド映画の俳優達だろう。ハリウッドスターのように得意なジャンルだけをこなしていればよいわけでなく、ロマンス、コメディ、アクション、文芸物、善人から悪人、そしてダンスが出来てこそ、一人前のスターたり得る。
人氣俳優ともなれば主演作が年間4〜5本は当たり前。世界各国のロケ地をファースト・クラスで飛び回り、毎月のように行われる映画賞のセレモニーやパーティー、慈善活動に出席する他、自己プロデュース作の進行など連日のハードワークが待っている。男優ならマッチョな筋肉を維持するためのワークアウト、女優ならスケジュールの合間を縫ってのダンス・レッスンも欠かせない。
本物のスターであればあるほど、自己鍛練が更なるオーラを生み出す仕掛け。これが、ボリウッド・スターの秘密。
はじめてのボリウッド(1)
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