はやわかりボリウッド(2)

Namaste Bollywood #13
世界的な潮流となっているボリウッド。しかし、どういう因果か、日本はこの流れに乗れず、また国内でも未だ「インド=オヤジと美女が急に踊り出す変なB級映画」という刷り込みが拭えない状況にある。そこで、キング・オブ・ボリウッドことシャー・ルク・カーン主演作5本が怒濤の勢いで劇場公開/映画祭上映された2008年の「ボリウッド・ベスト」特集号より「はやわかりボリウッド」を5夜連続で再録してゆきます。
(text by すぎたカズト/ナマステ・ボリウッド#13 2008年10月初出改訂)
世界を取り巻くボリウッド≠インド映画?!
日本映画は日本で作られる映画、アメリカ映画は概ねNYで作られてもハリウッド映画と思われているお国柄。これからすると「インド映画≒ボリウッド」となりそうだが、そう単純には言えないのがなんともインド。
ドバイ、イギリス、アメリカ、フランス、スウィス、ドイツ、ギリシア、ルーマニア、ロシア、ポーランド、アフガニスタン、ネパール、モーリシャス、南アフリカ、チュニジア、香港、タイ、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、ブラジル、韓国、マレーシア、シンガポール……これら24カ国はここ数年でボリウッドがロケを行った国々。今や全編海外ロケも珍しくない。
各国に散る観客もインド/南アジア系に限らず、数年前からドイツでも熱狂的なブームが興り、英米を巡業しスタジアムを埋め尽くすシャー・ルク・カーンのステージ・ツアーでは白人女性をも熱狂、ボリウッド・スターに英仏政府から文化勲章が贈られたりするほど。
特に強い基盤を築いているのが、旧宗主国の英国。ほぼ毎月のようにボリウッドの新作がランクインするUKチャートTop10に7位、8位と2週連続で食い込んだのが、シャー・ルク自社製作の「Om Shanti Om」オーム・シャンティ・オーム(2007)。この週の英国絡み3作はどれも合作で、純然たる英国資本はゼロ。ハリウッドに独占されている英国映画市場におけるボリウッドの健闘ぶりが解ろうというもの。
映画の都ムンバイの旧名ボンベイをハリウッドになぞらえてボリウッドと言われるようになったヒンディー映画界。時は流れ、世界展開を果たした今、グローバルのGを冠してGollywoodと呼ぶべき日も近い。
VFXはファーストクラス!
「最近、ボリウッドのクオリティも上がって来たけれど、ハリウッドに比べるとイマイチなんだよなあ」という声も、そろそろ返上する時期が近づいている。
このところ、頓に製作スケールが増し、大型アクションや3DCGアニメを前面に押し出した作品が続々登場。インドのお家芸であるデジタル・エフェクトーVFXもめきめき進化。「Main Hoon Na(私がいるから)」(2004)の頃にはまだ粗かった合成処理も、「Om Shanti Om」では60〜70年代のスター映像をまったく違和感なく新人女優と共演させてしまったVFXは驚愕に値し、香港の国際映画祭では作品賞/脚本賞などと共に特撮賞を獲得。
こうした特殊効果をあえて売り物にするシーンだけでなく、グリーンバック撮影によるデジタル合成で見せる運転シーンの車内などは、よほど目を凝らさないと実際の走行撮影と区別できないほどに向上している。
はじめてのボリウッド(1)
はじめてのボリウッド(2)
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はじめてのボリウッド(6)
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