カタックを語る。#17
「Devdas」(2002)でマードゥリー・ディクシトに振付を施したインド人間国宝Pt.ビルジュ・マハラジ師に直接師事したインド宮廷舞踊家、佐藤雅子女史(みやびカタックダンスアカデミー主宰)による「ナマステ・ボリウッド」連載コラム。華麗な舞踊について月1でアップしてゆきます。
カタックを語る。
#17 君の瞳〜「チャンドニー・チョウク・トゥ・チャイナ」(2009)
(ナマステ・ボリウッド#19号/2009年7月号初出)
チャンドニー・チョウク(月光通り)。デリーの下町であり主要商業地域として名高いが、ムガル帝国時代には王侯貴族の臣下やその家族、芸術家達が住む街でもあった。賑やかな街中を歩くと、旧い門構えの建物やハーベリーなど、歴史的な建造物があちこちに見られ、過去の威光を偲ぶことが出来る。灼熱の大地が涼み始める夕暮れ時には詩人が路地を徘徊し、音楽師が美しい音楽を奏で、カタックダンスの踊り子が鳴らすグングル(足につける鈴)の音が聞こえてきたという。
「チャンドニー・チョウク・トゥ・チャイナ」Chandni Chowk To China(2009)では、前半部分に雑多な下町の様子が描かれている。筆記すべき点は、パロディーCM「ダンスマスターG9」だろう。足首につけるダンス用アイテムがグングルではなく、ベルトになっていることだ。ベルトにはLEDと電子機器がついており、リモコンをオンにすると、音楽に合わせてアゲアゲのボリウッドダンスが踊れるようになっている。時代は変わるものだ。
人々の気質は今も昔も変わらない。恋を謳歌する劇中歌「tere naine (あなたの瞳…)」に表されるような韻を踏んだロマンチックな歌詞は昔と変わらず。一方、楽曲は、北インドで受け継がれている伝統的な音楽と現代のミュージック・シーンを融合させた新しい表現形式になっている。
ナマステボリウッド主催「ボリ祭2」で「CC2C」公開記念を祝し「tere naine」を踊らせていただいた。流れるような美しいメロディ・ラインに合わせて身体を揺らすたびに、ダンサー達は微笑んでいたようだ。良いものは良い。国境を越えて人々から愛される表現は今も昔も夢とロマン、そして美しさである。
佐藤雅子/インド宮廷舞踊家。1995年渡印、インド人間国宝Pt.ビルジュ・マハラジ師に直接師事。師の許しを得て、2005年帰国。みやびカタックダンスアカデミーを設立し、2008年、東京都千代田区麹町に専用スタジオをオープン。古典のカタック・クラスの他、ボリウッド・カタック・クラスも併設中。
お知らせ:2012年6月16日(土)、みやびカタックダンスアカデミー主催の「Bollywood~Indian Dance Party」が開催されます。
また、6月29日(金)には佐藤雅子さんがソロ出演する「ノスタルジー都電100年を踊る~現代のカオス新宿より~」が四谷区民ホールにて開催されます。
詳しくは情報ページをご覧下さい。
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